Emily ハーフ絵本作家

自分のアイデンティティを模索しながら、文章を書いています。

Emily ハーフ絵本作家

自分のアイデンティティを模索しながら、文章を書いています。

最近の記事

わたしのアイデンティティは国家に依存しない

頑張って生きてきた。 本当に頑張った。 頑張っていれば 必ず きっと必ず その先に明るい未来がある 幸せがある。 そう信じていた。 父はよく言った。 「継続は力なり」 「力」の意味は 安心な日々が続くことだ。 不安な毎日ではない。 その言葉を信じていた。 夜空に月を見つければ いつも祈っていた。 苦しいことや悲しいことは 人には言えなかったけど、 月を見ているときだけは 心の内をあかせた。 その時だけ 心のなかで正直な気持ちをつぶやいた。 8年間模索し続

    • 「わたし」がいない

      わたしは自分が人と違うことに、 いつも恐れていた。 顔では笑っていたけど、 心のなかでは、いつも泣いていた。 心がしめつけられ、 息ができないほどに苦しい。 いくら考えてもわからなかった。 自分で自分のことがわからない。 この長い道のりから抜け出すには どの道を選べばいいのか。 淋しかった。 切なかった。 苦しかった。 両手で顔を覆う。 身体は温かいが、心の涙は冷たい。 ふと顔を上げた。 東京の冬はいつだって青空だ。 気づけば、青空を見つめていた。 わた

      • 信じる心 それが欲しかった

        紅葉した木から、葉がはらりと下に落ちる。 そっと手をのばした。 葉は手に触れず、静かに水面に落ちた。 ただの、普通が欲しかった。 普通になりたかった。 みんなと同じになりたかった。 そして、それが幸せだと思っていた。 「普通」とは、なんだろう? いつもみんなと違う「ハーフ」「ガイジン」の自分には、「普通」がわからない。 顔を変えたらいいのか。 名前を変えたらいいのか。 肌の色を変えたらいいのか。 中学高校の時には、到底変えることはできないと絶望していた。 それ

        • この血があるかぎり

          頑張って生きていれば、必ずいいことがある。 そう信じていた私に、 ある友人はこう言った。 「ぜったいではないよ」 ショックだった。 「ああ、そうか、」 それだけの返事をした。 彼女は母子家庭で育った。 目の前にある、 やらなければならないことを ただ一生懸命にこなしながら、 幸せを信じていても、 幸せにはなれない。 心苦しさから逃れたくて、 どこかにあるだろうゴールを目指し、 暗闇を一生懸命に走り続けたが、 一向にゴールは見えなかった。 ただ道のりが続くだけだ

        わたしのアイデンティティは国家に依存しない

        マガジン

        • わたしが私になるまでには
          7本

        記事

          みんなとちがう「わたし」かけがえのない「自分」

          自分は、いったい、なにものだろうか。 このことについて考えだすと、 心が痛む。 ありもしない臓器の、 いったいどこが痛むのか。 誰かに相談したいと、一度も思わなかった。 誰かに相談して解決できると思わなかった。 自分でもわからない問題を、 他の誰が解決できるというのか。 このまま抱えながら 生きていくのだと思っていた。 この問題から離れたかった。 もう考えたくなかった。 それなのに、いつも胸がしめつけられる。 考えたくないのに、考えてしまう。 正確に言えば、

          みんなとちがう「わたし」かけがえのない「自分」

          たったひとつのこと

          自分はいったい何者なのか。 自分とはなんだろう。 私はおとなしい性格だった。 そして、誰にでも優しく親切にした。 だから、お友達には本当に恵まれた。 中学高校で自分について悩んでいた時、この内なる悩みを誰かに相談しようとは思わなかった。 恥ずかしさもあったかもしれない。 難しすぎて、困らせてしまうのではないか。 親にも友達にも相談しなかった。 お友達とは仲良く笑っていたかったから、そんな話はしたくなかった。 家族にも心配かけたくなかった。 自分で解決できれば、

          たったひとつのこと

          「そのさきの、むこうに」自分は何者か

          幼い時の自分を振り返ってみる。 もしもあの時の自分に会えるのなら優しく抱きしめてあげたい。 そして、こう言いたい。 「だいじょうぶだよ」 ただ、それだけでいい。 ただ、それだけで、どんなに安心しただろうか。 「ガイジン」とは言われたけど、特別にいじめられたことはない。 そんなの、なんでもなかった。 チビ、デブ、ブス、バカなど、昭和の時代の子供はズケズケ言ったのを覚えている。 だから、たまたま私は「ガイジン」なだけ。そう思って、なんとか乗り越えた。 お友達はみんな優

          「そのさきの、むこうに」自分は何者か

          「たとえ、だれもいなくても」ハーフとして

          先日、子供のお友達のお母さんに「ハーフですか」と聞かれた。 久しぶりに聞いた言葉だった。大人になってから、あまり聞かなくなったから。 私を一目見れば、完全な日本人でないことに気づくはずだ。白い肌、茶色の髪、高い鼻、明るい茶色の目、一般的な日本人とは違う。 「ハーフ」という言葉、やっぱり好きになれない。 子供の頃から自分を説明するたびに話していた。何度も使いすぎた言葉、そして何度も聞きすぎた言葉、どちらもその理由だろう。 先日「ハーフですか」と聞かれたとき、まだこの言

          「たとえ、だれもいなくても」ハーフとして

          ただ素直に生きてみる

          出産と子育てで、 私は大切なものを教わった。 何事も素直な気持ちで見ること。 そのほうが、うまくいく。 そして、自分自身についても。 もっと素直に生きることにした。 将来のため、健康のため、子供のため、 これを今やっておいたら後が楽だとか、 将来なにかにつながるかもしれない、 もう、そんなのどうだっていい。 人生の先のことなど誰にもわからない。 いま、どうしたいのか。 いま、どう生きるのか。 いまを大切にしようと決めた。 いま、満足していないのなら、 その後はもっ

          ただ素直に生きてみる

          エミリーは みんなと ちがう

          わたしの かみは みんなと ちがう  わたしの はだは  みんなと ちがう わたしの めは   みんなと ちがう わたしの はなは  みんなと ちがう  わたしの かおは  みんなと ちがう わたしの ことばは  みんなと ちがうわたしの たべものは  みんなと ちがうわたしの ようふくは  みんなと ちがう わたしの おやは  みんなと ちがう わたしの すべてが  みんなと ちがう わたしも みんなと おなじに なりたいな おおきくなったら  みんなと おなじに

          エミリーは みんなと ちがう