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わたしのアイデンティティは国家に依存しない

頑張って生きてきた。

本当に頑張った。

頑張っていれば
必ず
きっと必ず
その先に明るい未来がある

幸せがある。

そう信じていた。


父はよく言った。
「継続は力なり」

「力」の意味は
安心な日々が続くことだ。
不安な毎日ではない。

その言葉を信じていた。


夜空に月を見つければ
いつも祈っていた。


苦しいことや悲しいことは
人には言えなかったけど、
月を見ているときだけは
心の内をあかせた。

その時だけ
心のなかで正直な気持ちをつぶやいた。



8年間模索し続けた。


山あり谷ありだった。

あと何回山を登ったら、終わるのか。
必死に数えた。


谷にいる時は無我夢中だ。
とにかく山を目指す。



くじけて、つぶされそうになる瞬間もある。


いつかあたたかい光が差すにちがいない。

夜空に浮かんでいた
あの月のような希望があるにちがいない。

ただ
そう思うことに必死だった。



だけど


だんだんと
なぜだか疲れてきた。


突然涙が出てくるようになった。


光が差すようなきざしが、全く見えない。


今が全然幸せじゃない。


夜空に月を見つけても
なにも感じなくなっていた。


この先に幸せが待っていると
どうして言えよう。


自分のやっていることが
疑わしくなってきた。


希望がかすんで見えなくなると、
心が重かった。



「継続は力なり」
はうそだ。

どれだけ努力を重ねても
方向が間違っていれば
その先にはなにもない。

どんなに頑張っていても
報われるはずもない。




ずっと考えてきた。

自分は一体何者なのか、


でも

いくら考えてもわからなかった。


まるで
大きな海をさまよう
小さな船のようだ。

荒波にもまれながら
航海を続ける。

たどり着ける場所はあるのか。


結婚して
出産して
子育しても
さっぱりわからない。

結論が出ないから
そのまま考えるのをやめた。


忙しいうちは忘れてしまう。



ふとした瞬間
やっぱり思い出す。


わたしは

ナニ人なのだろう。


ナニ人の
「ナニ」に入るのが国だと言うなら、
混血である自分は2つ持っている。


どちらが本物だろうか。


誰かに決めてもらいたいくらいだ。


顔を見て判断するのか

どの国の言葉を話せるかで判断するのか



どれだけ考えても結論が出ない。




どちらの国の

人間でもあるように感じる


一方で


どちらの国の

人間でもないようにも感じる。



わたしの心は


アイデンティティーは


一体どこにあるのだろう。



そのうち
わたしらしく
生きられなくなってしまった。




自分らしく生きられない


人生など


そんなものは



いらない。



「ナニ人」か


わからない自分に


国家は


いらない。