詩:永遠にはじまらない旅
小さなアパートの一室
そこには池があってボートが浮かんでいる
(なんでこんな狭い部屋に池なんかが?)
ボートには中年を少し過ぎた男が座っている
あなたはこう話しかける
「こんなところにボートを浮かべて何をしているんですか?」
男はこう答える
「待ってるのさ」
何を?とあなたは聞こうとするが声が出ない
その代わり「それじゃ、また」と言う
男は待っていた
旅がはじまるのを
男は待っていた
この池が未知なる世界につながるのを
「トイレの水を流すみたいに」
男は言った
「トイレの水を流すみたいにいつかこの水はどこかに吸い込まれ、どこかにつながるのさ」
夜、眠れないとき
耳を澄ましていてほしい
もしかしたらトイレの水が流れる音が聞こえるかもしれない
それはあなたの家のトイレの音ではない
それは男がどこかに旅立ったという証なのだ
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