記事一覧
【火ノ丸 記紀奇譚】第02話 黄泉国
数日後、カグツチは目を覚ました。
「ん?何処だ、ここは?」
辺りを見渡すと知らない世界。
暗い森の中、白と蒼の境目のない色味の霧に包まれていた。
遠くに灯りは見えるが、太陽の光は射していなかった。
グゥと腹が鳴った。
「腹減ったなぁ」
自分が生きている事に、疑問も持たずに立ち上がると、そのまま歩き出した。
一里ほど歩いたところで、またグゥと腹が鳴った。
ふと立ち止まり見上げると、小高い丘
【火ノ丸 記紀奇譚】第01話 火之迦具土神
数多の神々を産み続けるイザナキとイザナミにとって、重大な事件が発生する。
新たな神が、赤子が産まれ出る。
その神は全身に炎を纏い、業火の如く燃え出た。
火の神、火之迦具土神である。
その炎は母であるイザナミの陰部を焼き、やがて事切れてしまったのだ。
愛する妻を失ったイザナキは天と地とも境なく、豪雨の如く涙を流し、その手に握った十拳剣「天之尾羽張」を狂ったように振り回し叫んだ。
「この親不孝もの
【火ノ丸 記紀奇譚】序章-神代の始まり
【天地のはじまり】
天地のはじまりの時、高天原という場所に、神々が出現した。はじめに出現したのは天之御中主の神、次に高御産巣日神、その次に神産巣日神だった。
その後、地上世界がまだ未成熟で、水面に浮いた脂と同じく、クラゲのように漂う状態であった時に、葦の若芽のように萌えあがるものによって出現した神は、宇摩志阿斯訶備比古、遅神ついで天之常立の神であった。 ここまでの五柱の神は、「他と区別された、特別
【詩】晴れているのに白い空
あなたに聞きたい事がある
その想いが溢れ落ちる
何度も 何度も
言葉にしようとして胸が詰まる
あなたとずっと一緒にいたい
だからこそ聞けないこと
あなたのいない世界が想像できない
まだ受け入れられないでいる
何度も 何度も
言葉にしようとして涙が溢れる
サヨナラを覚悟しないと
あなたと一緒にいられないから
【詩】空の向こう側で
公園のブランコに
今も揺れてる 青臭い頃の想い
近所にいて 同じクラスで
それでも顔がわかるくらいで
なんであの夜
ふたりで話したんだっけ
曇り空に問いかけてる
輝いていた夢の欠片と
想う女の子の話
お前はあの時
笑ったんだっけ
それとも泣いていたっけ
馬鹿な話で朝まで笑って
馬鹿だなぁ ガキだったなぁ
あれから あの娘
母親になったらしいよ
俺も親父になったよ
今 どうしてる
空の向