マガジンのカバー画像

クボタのエッセイ 第一部

144
クボタの800文字エッセイの第一部です。 2022年の4月から毎日投稿するつもりだったのに、ズボラがゆえにグダって9月に終わってしまいました。 ぶっちゃけ第二部から読んでほしい(…
運営しているクリエイター

2022年6月の記事一覧

軽スポーツ部と高級レストラン

高級レストランに行く機会があった。
老舗百貨店の中に入っている某有名高級ホテルの系列店だ。
偉手の方に誘われて行ったのだが、本当に恐縮してしまった。
理由は、単純明快で、オレがその辺の人より俗っぽい人間だからだ。
まず、小綺麗な装いのウェイターさんがわざわざ入口までお出迎えをしてきた時点で、背筋に緊張が走った。
と言うか、そもそもウェイターさんなんて呼び方で合っているのか?
ファミレス過ぎないか?

もっとみる

一眼レフの妖精さん

国立西洋美術館に行ってきた。
ル・コルビュジエの設計した建物そのものや松方幸次郎のコレクションなど、西洋美術の変遷や作者の感情がダイレクトに伝わって来る作品の数々は、圧巻だった。
特に、常設展もさることながら、同時に開催されていた企画展は各アーティストの自然に対する想いを軸とした内容で、投影される個性を愉しめた。
さて、このような美術館や博物館に普段行き慣れない人だとご存知ないかもしれないが、実は

もっとみる

強冷房車

「弱冷房車」は、最も嫌いな四字熟語である。
ペーパードライバーのオレにとって、電車は欠かせない交通手段だ。
しかしながら、乗り込む電車に「弱冷房車」表記があるだけで、肩を落としてしまう。
照り付ける太陽から、解放される喜びを感じたいからだ。
「弱冷房車」は、そんな解放感には程遠い。
猛暑厳しい夏なんて「強冷房車」でもいいぐらいだ。
昨今、節電を求める影響で、エアコンの使用、もとい使い方にまで、国は

もっとみる

気持ち悪い

気持ち悪い生物の展示会に行ってきた。
古今東西の気持ち悪い生物は、不気味さもありながら、どこか可愛らしかった。
急ごしらえみたいなチープさのある会場だったが、捻出した費用ぐらいは楽しめる内容だったと思う。
ただ、その展示物以上に鳥肌が立ったことがあった。
それは、順路を回っていた際の出来事だ。
展示会の中には、これでもかと言うほどミルワームを集めた展示物があった。
知らない人のために説明すると、ミ

もっとみる

あの消費カロリー

カラオケの最後に出てくる消費カロリーって、マジで何なんだ。
確か、オレが小学生ぐらいの頃まで、そんな表記は一切出ていなかった。
中学高校ぐらいの頃に出始めて、いつの間にか一般化していた気がする。
だとすれば、定着は約15年ぐらい前と言うことだ。
おそらく、ダイエットをする男女の集客増加を狙って、見事にヒットしたのだろう。
誰も珍しがらないほど、表示されることが当たり前になった。
ただ、よくよく考え

もっとみる

ハナから座らなきゃ良かった

これは、大学時代に起きた話だ。
その日、オレは帰省するために、都内から地元へ向かう電車に乗っていた。
車内は満員と言うほどでもないが、オレの座っている席を含め座席は全て埋まっていた。
目的駅まで立たずに済んだことへと幸福を噛み締めつつ、売店で買った本を読むオレ。
すると、ある駅でおばあさんが乗ってきた。
気付いたオレは、すかさず席を譲ろうと声を掛けた。
「おばあさん、この席どうぞ」
「あら、二駅ば

もっとみる

革命家の空き缶

先日、家の最寄り駅で、自販機の上に乗ったビールの空き缶を見かけた。
普段なら何となく流してしまいそうな光景だが、その日はやけに気になった。
と言うのも、ある疑問が浮かんだからだ。
そこに乗せた、及び捨てた人は、なぜわざわざ自販機の上をチョイスしたのだろう。
ポイ捨てするにしてももっと簡単に放れる場所があったはずだ。
何よりその自販機は横に分別ゴミ箱が備えられているタイプで、労を費やしてまで上に乗せ

もっとみる

feat. Waddle Dee

ずっと唱えている説がある。
『星のカービィ』のキャラクター名、MCネームにしたら漏れなく格好良過ぎる説だ。
まず、『星のカービィ』を知らない人は、あまり居ないだろう。
あのピンク色をしたまん丸の謎生命体が主人公のゲームシリーズだ。
中でも『星のカービィ スーパーデラックス』なんて名作中の名作と言っても過言ではない。
オレなんかは、去年もNintendo Switchのバーチャル・コンソールで遊んで

もっとみる

真っ赤な壁の飲み屋

前職の際、上司がよく連れて行ってくれた飲み屋があった。
メシも酒も美味いし、真っ赤な壁が何とも印象的な良い飲み屋だった。
……たった一つの面倒臭いことを除けば。
と言うのも、上司が顔馴染みだからか、いつ行ってもマスターがオレたちの卓に座ってきたのだ。
仕事しろよ、マスター。
加えて、基本的にマスターは「オレすごい!オレ最強!昔はヤンチャしてたんだぜ!」のタイプで、メシと酒の美味さと上司の誘いが無か

もっとみる

胡乱な客

エドワード・ゴーリー氏と言う絵本作家が居る。
作品は、残酷さやナンセンスさが特徴で、しばしば「大人向けの絵本」なんて称されている。
日本で言えば、他と違う自分をアピールしたいサブカル女子が、ヴィレッジヴァンガードで本を見つけてキャッキャ騒ぐイメージだ。
偏見だけど。
その中で、原題『The Doubtful Guest』と言う作品がある。
「Doubtful」は訳すと「怪しげ、疑わしい」なんて意味

もっとみる

洗濯指数のサイト

外干しの洗濯が大好きだ。
ピーカンの日なんて、「外出したい」より先に「洗濯したい」が勝ってしまう。
昔は自堕落な生活を送っていて、洗濯への関心は何にも無かった。
溜め込むだけ溜め込み、下着が足りなくなった時だけ洗濯機を回し、部屋干ししていた。
それがいつからか外干しの魅力に取り憑かれ、今では自分が住む区の洗濯指数を毎日調べている。
Safariの「よく閲覧するサイト」に候補として、それが上がって来

もっとみる

Macが壊れた

MacBook Airが壊れた。
確か買ったのは6年ぐらい前だ。
前職の仕事が、あまりにもクリエイティビティに欠けていて、「これは何か動かないといけない」と奮起し、自己投資の意味合いで購入したのだ。
もちろん、PCは既に持っていたが、種類はMacではなくWindowsだった。
マイクロソフト派の実家による影響もあったのだろう。
しかし、当時のオレは、それに物凄くコンプレックスを抱いていた。
なぜな

もっとみる

come again

高校に入学したての頃、同級生と受験について談笑をしていた。
地域で二番手の進学校だったこともあり、皆んな受験への思い入れやエピソードを多少なり持ち合わせていた。
受験の内容は、ペーパーテスト、集団面接、個人面接の3種類だ。
もちろんペーパーテストの比重が一番高く、面接は質問に対し見当違いな答えをしないかどうか見る程度のものだったと思う。
そんな面接について、友達の一人が話し出した。
「そう言えばさ

もっとみる

セルフレジ魔法陣

近所のスーパーにセルフレジコーナーがある。
今の世の中では、そう珍しくも無いだろう。
セルフレジの数は5台で、利用者が少なかったこともあり、引っ越した当時は割と使っていた。
しかし、ここ半年ぐらい、その一角はテープで囲われていて、「こちらは現在使えません」なんて看板まで立てられている。
なので、最近はめっきり足を踏み入れていない。
とは言え、なぜ封鎖されているのだろう。
オレの見立てでは、原因は二

もっとみる