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クボタのエッセイ 第一部

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クボタの800文字エッセイの第一部です。 2022年の4月から毎日投稿するつもりだったのに、ズボラがゆえにグダって9月に終わってしまいました。 ぶっちゃけ第二部から読んでほしい(… もっと読む
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記事一覧

老眼銃を持つ男

2022年の今、注目すべきニュースが入ってきた。
なんと来年に『ゴールデンアイ 007』が、NINTENDO 64 Nintendo Switch Onlineにて、いよいよ配信されるらしい。
世代によっては知らない人も居るかもしれないが、オレと同世代は漏れなく全員知っている。
平成初期生まれの誰しもが神ゲー扱いする作品だ。
ただ、この『ゴールデンアイ 007』に対し、オレは得も言われぬコンプレッ

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ビシャビシャ2

コンビニで物色中、店内に大きな声が響いた。
「オレかい?!オレがビシャビシャにしたってのかい?!」
声の主は、江戸っ子みたいな風体のおじいさんだ。
おじいさんの目の前には、水浸しとまでは行かないものの服を濡らした若い女性が居る。
女性の手には、上面のフィルムに穴の開いたアイスコーヒー用カップが持たれていた。
その氷が、辺りに散らばったのだ。
おじいさんの大声もあり、全員の視線がそちらに向く。
店内

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テントサウナ最高かよ

友達と山奥の貸切テントサウナへと行ってきた。
もう、これが大人の夏休みと言う感じで、めちゃくちゃ楽しかったのだ。
大自然に囲まれながら、張られたテント内でストーブに薪をくべ、火を起こす。
加えて、備え付けのジョウロで、サウナストーンに水を注ぐ。
所謂、ロウリュだ。
熱された石からジュッ!と音が鳴り響いた後、蒸気が充満する。
身体から汗が噴き出し、滴り、空間は静寂に包み込まれた。
……なんて格好付け

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ビシャビシャ

ある平日朝、電車に乗り込んだら車内がビシャビシャに濡れていた。
おそらく、誰かが飲み物をこぼしたのだろう。
もしくは、お小水を漏らしたか。
いずれにせよ、広範囲に液体が流れていた。
朝に弱くバタバタ駆け足気味で電車に乗り込んだオレは、車内に足を踏み入れたタイミングでそれに気付き、アホみたいに叫んでしまった。
「うわあああああ!」
間の抜けた情けない声だったと思う。
間一髪、濡れた場所を踏まずに済ん

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祖母と寝酒

叶わぬ夢がある。
それは、祖母と二人で深夜にお酒を飲むことだ。
と言っても、どこから説明すればいいものか。
う〜ん。
とりあえず、まず祖母は健在なのでご安心を。
その上で話をする。
実家に住んでいた学生時代、オレが最も落ち着ける時間帯は、深夜0時頃だった。
親や姉弟も寝床に入る日付変更線を跨いだ頃、家族も多く騒がしかったリビングが一気にがらんと空く。
そんな中、一人でのんびりテレビを見たり、ラジオ

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ポクチン

「なんか後ろで木魚鳴ってませんでしたか?」
リモートワークの日、オンライン会議終了後に後輩から来たチャットだ。
どうやらオレの発言時にだけ、一休さんが思案中に流れるあの音が鳴っていたらしい。
後輩だけで済めばいいものの、他の人にもばっちり聞こえていたそうな。
ち……違うんだ!
この木魚音の正体だが、もちろん、オレは把握している。
エアコンのバルブ内で垂れる水滴の音だ。
それが木魚のポクポク音に聞こ

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高校時代に知り合った友人が居る。
頭が良いくせに、言葉遣いも見た目も不良そのものだった。
オレとそいつはお互いにHIPHOP好きなこともあり、仲が良かった。
別段、変わったことも無い普通の友達だ。
……ある一点を除けば。
そう、そいつは某宗教の二世だった。
もちろん、強制的な勧誘さえ無ければ、オレも偏見は無い。
当時、その友人も似たような価値観だったと思う。
だが、大学時代のある日、一緒に遊んでい

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続・MARVEL全制覇への道のり

コロナウイルスの罹患や『ストレンジャー・シングス 未知の世界』を見始めたことで、一時中断していたMARVEL作品総ざらいを再開し出した。
断片的にしか知らない今の状態には、やはり得も言われぬコンプレックスがある。
オレだって、世のナードよろしく特技レベルで知識をひけらかしたいのだ。
そのためには、総ざらい以外に道は無い。
しかしながら、それに当たって気付いたことがある。
なんと一時中断しただけで、

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ゲロ甘プリンジュース

小学生の頃のある日、あまりにも糖分が欲しくてゲロ甘プリンジュースを作った。
材料は、プリン、牛乳、砂糖、隠し味にお菓子棚に入っていたアポロ。
レシピなんて知ったことかと言うぐらい、全てどっさり入れて、ミキサーにかけた
何も溶かしたり砕いたりしていないアポロが入っているので、ガキンガキンと音が鳴り響く。
機械の悲鳴っておそらくこんな感じなんだろうなあ。
結果、出来上がったゲロ甘プリンジュースはクソま

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久々のCDショップ

いくら夢中になっても、歩みを止めなければいけない時がある。
これは、そんな話だ。
久しぶりにCDショップへと行った。
何も目的があった訳ではない。
予定までの待ち時間のちょっとした暇潰しだ。
そうでも無ければ、このサブスク全盛期にわざわざ足を運んでいない。
入店すると、名の知れた全国チェーンであるはずが、大分閑散としていた。
お客さんもインターネットに疎そうな中年の方々しか見受けられない。
まさか

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チュッパチャプスの禿げ山

家に物悲しく佇むチュッパチャプスのツリーがある。
よくあるヴィレッジヴァンガードやドン・キホーテで売っているアレだ。
だが、我が家の代物は、ツリーと言うにはあまりにも寂しく、まるで禿げ山だ。
おそらく数十本は挿せる仕様だが、数本しか挿されておらず、悲壮感が漂っている。
このツリーは、確か一年半ぐらい前に会社で貰った物だ。
年末に副社長がお得意先からプレゼントされ、全員に飴ちゃんのみ配り終えた後、ツ

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ひとでニャし

日中、仕事に出ている彼女から「実家の猫が亡くなった」と言う連絡が来た。
ご実家のご家族から話を聞かされた時、さぞ悲しかったに違いない。
ペットを飼った経験のないオレなんかでは計り知れないはずだ。
ただ、それと同時に、某大企業の創始者の訃報を取り上げるニュースが、写真と共に通知で入ってきた。
そのせいで、オレの頭にろくでもない発想が浮かんでしまった。
(この創始者のニュースをスクショして、「猫ちゃん

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スプラトゥーン三十路

『スプラトゥーン3』の前夜祭に参加した。
前夜祭と言っても、幕張メッセやら国際フォーラムやらで行われているイベントではない。
要は、発売前で唯一ネット対戦含め体験版を遊べる日のことだ。
リリースを心待ちにしているオレは、胸を弾ませてそれに臨んだ。
と言うのも、自宅で買う『スプラトゥーンシリーズ』は、これが初めてだからだ。
『無印』も『2』もプレイ経験はあるが、地元に帰省した際、弟が持っているものを

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ロード・オブ・ザ・マリッジリング

彼女と指輪を探しに行った。
指輪と言うぐらいなのだから、理由はお察しの通り、結婚するからだ。
まだ何が起こるか分からないので断言は出来ないが、そのつもりで色々な段取りの元、動いている。
さて、今回は指輪を買う前のリサーチとして足を運んだ訳だ。
いくつかの店舗を回ったが、最初は興味こそ無かったものの、見ていると段々楽しくなってくる。
共通項はハイブランドと言う点のみで、デザインやら着け心地やら、それ

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