高校時代に知り合った友人が居る。
頭が良いくせに、言葉遣いも見た目も不良そのものだった。
オレとそいつはお互いにHIPHOP好きなこともあり、仲が良かった。
別段、変わったことも無い普通の友達だ。
……ある一点を除けば。
そう、そいつは某宗教の二世だった。
もちろん、強制的な勧誘さえ無ければ、オレも偏見は無い。
当時、その友人も似たような価値観だったと思う。
だが、大学時代のある日、一緒に遊んでいたら驚くような一言を言われた。
「オレ、大学中退して、布教活動行くわー」
意外だった。
「いや、結局そう言うことするんかい!」とツッコむのをグッと堪えた。
何でも話を聞いてみると、その宗教は、若い頃に布教活動の遠征へと行かなければいけないルールらしい。
ただ、本人としては、「無理強いはまったくする気は無い。興味がある人にだけ伝えていきたい」とのことだった。
その話から二年ほど経過し、新卒一年目として働いている最中に、地元に帰って来た友人から連絡が来た。
「結婚するから式に出てくれ」とのことだった。
え、いきなり過ぎない?
とは言え、誘いを無下にすることもない。
オレは、他の友人と共に結婚式へと参加した。
祝儀不要、アルコール厳禁などと内容に宗教間ギャップを感じざるを得ない内容だったが、それ以上に違和感を覚えた出来事があった。
「私の結婚式にわざわざ来てくれて、ありがとな!」
なんとその友人の一人称が、布教活動の影響から「私」に変わっていたのだ。
見た目と口の悪さは相変わらずな分、余計に恐怖を感じる。
「私は、昔からお前をクソだと思っていたよ」
「私は、あの時に死んでほしいと思ったね」
ニューホライズンにスラングが載ったら、こんな感じの和訳だろう。
ひたすら怖い。
そして、それが原因では無いが、そこからそいつとは何故か疎遠になってしまった。
元気にしてるかなあ。
そんな私事でした。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?