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<主-客>の境界線が消える 中動態的超資本主義とは PHASE3

皆様、如何お過ごしでしょうか?

2021年も後半戦に入って参りましたが、皆様、どの様な書籍をお手に取っておりますでしょうか?

前回、前々回に引き続き、standfmである方からレターを頂いた事をきっかけに資本主義について考えて参りました。昨今、資本主義の限界数字の奴隷という論考を目にしておりましたが、皆様も日々、生活する中での疑問の一つなのかも知れませんね。
早速では御座いますが、私の誤読で恐縮ですが、今回もPHASE3という事で記事を書いて参りたいと思います。

<PHASE1>

<PHASE2>

直近の配信でも語ってみましたが、月末、年末、期末など、末日には深く瞑想をします。それは振り返りをする為ですが、何が出来て、何が出来ていなのか?何を終わらせて、何を始めるのか?何が終わらずに、何が継続して行くのか?など、ぐるぐる考えてしまいます。

以前に、金井 壽宏先生の「働くことのキャリアデザイン」という書籍をstandfmで配信しました。トランジション理論でも有名なアメリカの心理学者 ウィリアム・ブリッジズ が次の様な秀逸なフレームとして活用出来る概念を提唱しております。

・終焉(何かが終わる時)
・中立圏(ニョートラル・ゾーン)
・開始(何かが始まる時)


この終焉の受容についても山口周さんも書籍で語っている通り、ビジネスの使命の終焉についても考える必要出てきた様にも思われます。

【第320回】働くことのキャリアデザイン/金井 壽宏著

また、社会心理学の父、クルト・レヴィンは次の様な概念を提唱しております。レヴィンは集団的意思決定の実験や企業の生産性向上に付いて研究していた事でも有名です。

解凍→変化→再凍結

また、彼がの残した金言として「よい理論ほど実際に役に立つものはない」というものがあり、これは本当に実際の誰かの役に立った理論に対して「よい」という評価を下しているのだと思いますが、確かにうまく回った事例などを紐解くと・・・よく出来ているロジックだったりしますよね。。

科学的な側面と実践的な側面を考え抜いていたから出せる洞察なのかも知れません。
■クルト・レヴィン/wikipedia参照

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この様なフレームを活用して内省したり、或いは読書術として転用してみたりと、書籍で出会ったダイヤの原石は何に使えるのか、その時は分からなくても大切にブリコラージュして、自分で加工して活用できる武器に変換する事も時には大切だと感じます。そして深く内観、内省する事で自分は全体の一部であり、自然の一部であるという感覚に立ち返り、また本来の自分に出会い直しが出来るという点もあり、末日には深い瞑想をする様にしております。

余談ですが・・・マルクス・アウレリウス・アントニヌスは毎晩、深い瞑想に耽り、自分への戒めとして「自省録」を書いたそうです。
■岩波書店HP参照

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PHASE2でも書きましたが、経済が自然の法則と似ているという内容を書きました。
自然つまり、経済もマトリョーシカ構造/入れ子構造の様に思えて参りましたが自然が在り、その中に社会、人間が、そして細胞が内包されているイメージです。これはにおいても同様だと思います。

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そして、自然、脳、人間の構造が同じだと分かれば、自分一人では存在しておらず、私とは?全体の一部に過ぎず、全体や周囲との相互連携により生かされている、或いは大いなる何か?に導かれているという感覚が必要なのかも知れません。
人間が自然の主導権を握っているという思想は本当に危険だと感じます。
かつてプロメテウスが人類に火を与えた様に、人間こそこの世の主人であり地上の支配者という考え方や、進歩主義進歩的思想は忘却の河に流されて行く様に思います。
■ニコラ・セバスティアン・アダムによるプロメテウス像/wikipedia参照

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前置きはこのくらいにして・・・

PHASE1、PHASE2を書いて参りましたが、「未来を予測する最も確実な方法は、それを発明することだ」・・・・とはパーソナル・コンピューターの父と呼ばれている、アラン・ケイの言葉でもございます。「予測」「構想」「発明」と、常に未来というものは人々が向ける意識/無意識の連続運動の中で生み出される幻想の様にも思えて参りました。
■アラン・ケイ/wikipedia参照

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またまた余談ですが・・・アラン・ケイは同じ書籍を半年間ひたすら読み込んだ結果・・・パーソナル・コンピューターの元と成る概念に辿り着いそうです💡

その書籍は・・・マーシャル・マクルーハンが書いた「グーテンベルクの銀河系/活字人間の形成」です。

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今回も記事を書いて行く中で、今何が起きていて、これから何がおこるのか? という問い対しては・・・漠然と妄想して知覚して組み替えて表現をして行く中でその手触り感を感じられる瞬間もございました。
今回はレターを頂いた方の思考から少しヒントを得ながら考えて参ります。standfmのプロフィール欄には「哲学」「読書」というキーワードが書いてございました。

かつて、ミシェル・ド・モンテーニュは次の様に語っております。

「不可思議はあらゆる哲学の根本である」

■ミシェル・ド・モンテーニュ/Wikipedia参照

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或いは・・・
ドゥルーズ=ガタリは共著の「哲学とは何か?」で次の様に語っております。哲学とは・・・「諸概念を形成し、考案し、製作する技術である」とも。

左:フェリックス・ガタリ
右:ジル・ドゥルーズ

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他にも過去の偉人達も、哲学とは?というお題に対して金言を放っておりますが、そもそもという「前提」を疑うような懐疑的なアプローチは今後、ますます必要な思考の様に思えて参りました。

他にもプロフィールには興味深いワードが書いてございました。例えば、
「立場を超えて」とか「評価を手放した人と繋がりたい」「自由」「しがらみがない」「自分軸」「比べない」「競わない」という内容も書いてございました。

これは、逆向きに捉えれば、「立場を超えずに留まる」「これまでの価値観で人を判断する」「執着」「しがらみに巻き取られる」「他人の時間を生きる」「比較し他者と記号の差異を狙う」「競走」、という事の様に思えて参りました。

世界が今までと何も変わらないという前提があれば、今までの運用でも回って行くようにも思えますが、万物流転諸行無常と言いますか、世界が全く変化しないという事は無い様に思います。
これまでの経験、体験で蓄積されてきた結晶性知能は、一見すれば頑健にも見えます。しかしながら、これからの風の時代には頑健さが徒と成る可能性も高い様に思います。
ナシーム・ニコラス・タレブ反脆弱性という書籍で次の様に語っております。
■ダイヤモンド社/反脆弱性(上下巻)参照

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「反脆さは耐久力や頑健さを超越する。耐久力のあるものは、衝撃に耐え、現状をキープする。だが、反脆いものは衝撃を糧にする。そして、頑健なものは、間違いを単なる情報と受け取り、反脆いものは間違いを愛し衝撃を糧にする」
■ナシーム・ニコラス・タレブ/Wikipedia参照


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モリス・バーマン「デカルトからベイトソンへ/世界の再魔術化」で指摘している通り、世界の再魔術化はまだ、白魔術/黒魔術として残り続ける一方で、魔法が解けた部分も徐々に出てきており、今後、大きな衝撃が起こった時にはしなやかに反脆い人材が活躍する様にも思います。
これまで使っていた眼鏡や地図情報を、これまでの経験値としてダウンローディングして世界を知覚している日々ではありますが、この状態だといつもの世界が立ち上がるだけであり、今後、大きな衝撃にも耐えられなく成るようにも思います。
競走の重要性はもちろん痛いほど理解しておりますが、一方で今後は競争ではなく、共奏共創をベースとした人間関係やビジネスの在り方が問われる様な気がしております。

まだ競走をベースとした日々が続いている側面もまだまだありますが、社会的問題として例えば、自殺についての推移を見ても先進国と呼ばれる国と比較しても日本は高い傾向にありますし、がっかりします。この自殺と現象を分析した人がおります。

フランスの社会学者 エミール・デュルケームは力作「自殺論」を1897年、39歳の時に書いておりますが、自殺は社会現象の一形態であると指摘をしておりますが、ドライに自殺というものを分析した人でもあります。
■中央公論新社/自殺論参照

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デュルケームはどうやら、社会との繋がりの強弱というものが自殺率に何らかの影響を与えているのでは?という仮説を持っていた用です。
デュルケームは自殺には次の4つの類型があると分析・提唱しております。

自己本位的自殺:社会統合が弱い状態。私的関心も弱く、自分が一体、何がしたいのかが分からい状態。ニヒリズム/虚無感
集団本位的自殺:社会統合が強い状態。個人が集団の為に犠牲になるという危うい考え方。殉職/生贄
アノミー的自殺:社会統合が弱い状態。私的関心が強く、私的な欲望をとにかく追求してしまう状態。/欲求不満
宿命的自殺:社会統合が強い状態。私的関心が満たされずに、生きづらさを感じる状態。心中/憤死

特に③アノミー的自殺の増加は危険かと思われます。社会の結合の弱体化が自殺の原因であるという仮説を持っていた様です。
■エミール・デュルケーム/Wikipedia参照

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エリック・ホッファー欲求不満な大衆が如何に危険か?と洞察を「大衆運動」の中で提出をしております。これは生きづらさの話にも繋がって参りますが、社会統制や規範、規則が緩みが弱体化していくと、自己の欲求を無限に追及できると錯覚してしまう危険性があるという事です。
実際に成功(※何を持って成功か?)できる人間は恐らくごく一部であるということが人々のこの生きづらさを感じさせるファクトの一つの様に思います。
ここでは特に踏み込みませんが、「カトリックとプロテスタントの間で、自殺率に大きな差があるのか?」に付いても考えていた様です。

自己本位的自殺アノミー的自殺は危うい状態ですし、例えば、誰もいない世界劇場で、ただ配役を渡されてペルソナを被り一人で踊り狂っていても虚しくなる・・・そんな社会との結びつきが弱くなることで起こる自殺の形態もあるわけですね。マルティン・ハイデガーは企投された人々が、世界劇場における役柄に埋没していくことを耽落=Verfallenと名付けました。
■マルティン・ハイデガー/Wikipedia参照

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そしてアノミー的自殺・・・これは結構今回のお題とも関わる様な話ですが、欲望の解放は、産業の発展と市場という虚構をどまることを知らない淵まで到達させてしまったと思います。
つまり、欲望を突き詰めると、何でも手に入れたいという欲望に駆られて手に入れてもまた、次のものが欲しくなる。
やがて欲望を満たせなくなると、揺り戻し、反動により、虚無感やニヒリズムに陥り生きる事が辛くなるというお話でございます。
■エリック・ホッファー/Wikipedia参照

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昨今、コロナウィルスの影響もあるのか・・・あまり話題にも上らなくなりましたが、残業100時間自慢や病気自慢の様な、フリードリヒ・ニーチェのいう様に価値の転覆を図り奴隷道徳に巻き込まれたり・・・

或いはセーレン・キルケゴールの洞察でもある死に至る病を発病したりと・・・

まさに、今の時代は物質もこれ以上ないくらい豊かであり、情報も溢れていて、少しお金があれば何となく手にいられるものも多いという時代ですが、他者との記号の差異を狙うのも、だんだん不毛に思えてくる側面があるのでは?と個人的に感じております。

これまでの配信で、フェルディナン・ド・ソシュールジャン=ボードリヤールの概念については度々触れておりましたが、記号の消費を日々満喫している我々はそこに差異を見出す様に仕組まれているとも邪推ができる訳です。以前にアパレル業界におりましたので、新作を発表するブランド側の意図はなんとなく理解ができますが、一つの側面として聴いていただきたいのですが、それは記号の差異化を狙っているという事です。
新作のワンピースが今季のSSで発表になれば購入したくなるという心理が働く訳です。
■フェルディナン・ド・ソシュール/Wikipedia参照

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また、例えば洋服に限らずですが、作り手の意図というものに向き直ってみる事も一つ大切なメッセージを受け取る事が出来るような気もしております。
なぜ、それを作るに至ったのか?だったり、或いは、書籍で言い換えれば、なぜ、それを書かなければならなかったのか?という疑問を著者に投げて、著者との対話を始めるなど、そこにある何か?を自分自身の心眼で探る必要があるように思います。

ここまで、読んで頂き有難うございました❕
まだまだ・・・核心部分に到達出来ませんが、次回も資本主義の先にあるものは?という大きな問に向き合って行きたいと思います。有難うございました❕

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◯読書術研究家の日々の活動↓
ここからは・・・毎度の宣伝で恐縮です(汗)

・standfm【子育て×読書体験ラジオ】=配信15ヶ月目に突入💦
2020年4月5日~配信をスタートしており昨日(2021/6/30迄)で531本の音声コンテンツを配信しております。

【Twitter】
日々読書について語ったり、興味のあるツイートを拡散したりなど活用しております。

【REC】
stand.fmと同時期にローンチされたと思われるRECでも音声配信をしております。本日(6/30)までに70個の音声コンテンツを配信しております。
まだRECの世界にある「何か」が分からないので引き続き配信を続けてみようと思います。

【POTOFU】
POTOFUも活動URLをまとめました。宜しければ、お立ち寄りください。


リアルの場でもSNSでも一期一会の出会いを大切にして参りたいと思います。引き続き、お付き合い宜しくお願い致します。
■ブリア=サヴァラン/Wikipedia参照

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どんな書籍を読んでいるか言ってみたまえ!
きみがどんな人か言い当ててみよう~
有難うございました~✨

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