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やさしい医療情報

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#がん

【コラム】後悔のないコミュニケーションに向けて活用したい冊子「重要な面談にのぞまれる患者さんとご家族へ」のご紹介

【コラム】後悔のないコミュニケーションに向けて活用したい冊子「重要な面談にのぞまれる患者さんとご家族へ」のご紹介

ご無沙汰しています。
最近様々な出来事が重なり、改めて私ができることを考えている日々です。

さて今日は、ひとつの冊子をご紹介したいと思います。

・ちゃんと聞くべきことを聞けているのか分からない
・うまくコミュニケーションが取れていないと感じる
・いつも後から聞きたかったことを思い出し後悔する

そんな思いが少しでも解消できるような手助けになる、冊子だと思います。

冊子「重要な面談にのぞまれる

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それぞれの舌圧子の使い方 #deleteCリレー連載 (7/8)

それぞれの舌圧子の使い方 #deleteCリレー連載 (7/8)

その男の子はお母さんに抱きついたまま大きな泣き声とともに診察室に入ってきた。

怯えた瞳を少しだけこちらにみせ、すぐにお母さんに抱きつくように反対を向いてまた泣き出した。

「お湯を手にこぼしちゃったんです」

心配そうな母親の表情。

ぼくはできる限りやさしい声色を心がけ、静かにその子に話しかけた。

「痛いことしないから見せてくれるかな?」

看護師さんが穏やかに「大丈夫よ」と応援にはいる。

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『胃癌はもったいない死に方』~誹謗中傷だけではない拡散への危惧

メールをいただき、あるブログを知りました。

オフィシャルブログなるものがあるのですね。
何らかの形で著名になった方のブログであり、フォロワーも多く

大きな拡散の力を持っています。

そこに書かれていたのは

胃がんはもったいない死に方という言葉でした

【胃がんで死ぬのはナンセンスの残酷】以前にも、同様のことがありました。

テレビで「胃がんで死ぬのはナンセンス」という内容を放送されたことがあ

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あなたもCOVID-19と戦えるのでは?

あなたもCOVID-19と戦えるのでは?

COVID-19が世界中で猛威を振るう中で、ほとんどの人が生活に不便を強いられていると思います。不安も大きく広がっています。助けを必要としている人も溢れています。

その中で、私は自分にやれることが何かないかと探していました。

今回の感染拡大では、戦いの最前線は病院であって、最も壮絶な戦いの場にいるのは医療者でした。かつては私も脳神経外科医として、病院で働く身でしたが、現在はがん研究者として米国

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岡江久美子さんの訃報に接して

岡江久美子さんの訃報に接して

女優の岡江久美子さんが新型コロナウイルスによる肺炎で、お亡くなりになったという報道を聞きました。乳がんで闘病中であったことは以前から存じていましたが、まさかこんなことになるとはと驚きました。心からご冥福をお祈りいたします。

ニュースを聞いてショックを受けているがん患者さんやその家族の方もいるかと思いますので、この報道に関して少し追加の解説をさせてもらいます。

がん患者が一律にリスクが高いとは言

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新型コロナ禍でのがん治療延期の判断について

新型コロナ禍でのがん治療延期の判断について

新型コロナウイルス感染が拡大する中で、がん治療(手術・化学療法・放射線治療等)が延期される事態が起こってきています。これは日本に限らず世界的に起こっている事態です。

がん患者さん・ご家族は大変に不安になっているかと思います。皆さんがご存知のように、がんは進行性の病気であるため、誰しもができるだけ早くに治療を受けたいと思います。待つということは大変なストレスだと思います。

医療者は患者さんの気持

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「最高のがん治療」となぜつけたのか?

「最高のがん治療」となぜつけたのか?

がん治療について解説した初の著書を4月2日に出版します。この本は、勝俣範之先生と津川友介先生と3人で執筆した共著となります。

『世界中の医学研究を徹底的に比較してわかった最高のがん治療』

実は、この本を作る中で、3人の執筆者と編集者のみんなで協議した中で、ものすごく意見が分かれて、揉めに揉めたところがありました。

それはタイトルでした。

この「最高のがん治療」というタイトルをどう思われたで

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虫下しはがんに効くのか?

虫下しはがんに効くのか?

フェンベンダゾールという虫下し(駆虫薬)が癌に効果を示すという噂がネットで広まっていて、がん患者さんから「本当ですか?」とよく質問を受けます。今回は、この質問について専門家の見地から答えたいと思います。

フェンベンダゾール(Fenbendazole)は人に使われる薬ではなく、犬や豚に対して使われている寄生虫を殺すための薬です。がんへの適応はなく、がんに対してはいわゆる未承認薬(効果が不明な薬)と

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望まない延命をさせる家族に罰則をへの危惧

SNS上で『本人の希望ではない延命をさせる家族』という言葉を目にして

胸が塞がる想いがしました。

以前、テレビの特集でも、家族が過剰な延命を申し出ているというような内容に取れるものがあり、その時も同じ不安を感じました。

罰則を決めれば解決するという意見を目にしました。

虐待、犯罪という言葉…

確かに、本人が望まないことをするべきじゃないし、本人の人生です。

ただ、家族も衝撃を受けて混乱

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未承認治療を考える上で大事なこと

未承認治療を考える上で大事なこと

某血液なんたら治療がまた話題になっているようですね。

SNSで展開されている議論を見ると、ちょっと的外れな議論がされているようにも感じたので、こちらで少し解説させてもらいます。

病気に対して病院で一般的に行われている治療を標準治療と呼び、それに対して、まだ十分な効果が確認されていない治療を未承認治療と呼びます。

未承認治療の中には様々な治療が含まれていて、将来に標準治療に入ってくる可能性の高

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本当の人生会議って何だろう?

がんサバイバーズクラブから、記事が配信されました。

担当の中村さんには、2年前にも記事を書いていただき、今までで

1番読まれた記事となり、その記事が、私、そして家族が前を向くきっかけになりました。

ポスターに意見を届けたことで、『炎上』とも言われてしまった一件。
私が伝えたかったこと。 以下、配信された記事です。

【旅立ちの朝焼け】真夏の空がほんのりと赤く染まり始めていた。
 夫とふたりで

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発信への矜持

【ペンの持つ力】日付が変わったころ、年末に受けた取材の原稿確認依頼のメールが届きました。
8,000字に及ぶ原稿の一文字も、訂正が必要な個所はありませんでした。

2年前にも同じ記者に取材を受けたことがあります。
公開されたその記事は、年間で一番多く読まれた記事となり、今も多くのアクセスをいただいているそうです。

私の娘は、フリーライターという発信の立場にいますが、家族のことを明らかにすることを

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失ったのは、確かにあった日常

先日、緩和ケア、終末期をテーマにしたフォーラムに登壇しました。

夫が旅立ち3年半。
その間、自分なりの日常を取り戻すため、私は、自分の心の中にある

固い部分に蓋をしてきました。

今回、『治療』『生活』『最期の時を生きる』というテーマでパネラーとして登壇するためには、私には、あの時の夫、自分に向き合う覚悟も必要となりました。

【今の時代という言葉】緩和ケアは終末期の医療ではないという発信も、

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病歴⑤補記:入院前にしたことと世界とのつながり

病歴⑤補記:入院前にしたことと世界とのつながり

私の卵巣腫瘍の病歴は、前回書いた「病歴⑤」でひと段落つけようかと思ったが、ふたを開けてみると、私の一年分の健康への不安であるとか、医師への不満であるとか、怒りの供養のような文章になってしまっていた。
そのために、ありがたくも怒ってくださる方や心配して下さる方がいらした。
この文章を書いている現時点において、私は主治医とそこそこ良好な関係を築いている、と思う。私がだいぶ慣れてきたというのもある。なん

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