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「青くなれなかった春に」

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どうでも良いことが全部愛おしく思えるような日々に恋焦がれていたかつての僕。 灰色にしか見えなかった春も、大人になって見ると、意外に「青かった」のかもしれないと思えるようになった。… もっと読む
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過去を嘆きながら生きるには、人生はあまりに長すぎる

過去を嘆きながら生きるには、人生はあまりに長すぎる

今の日本人の平均寿命は、男性が82歳、女性は88歳ぐらいらしい。

人生100年時代にはまだ程遠いものの、人類の進歩は目覚ましい。

そう遠くない未来、100歳まで生きるのはデフォルトの時代になるのかもしれない。(正直私はそれを望んでいないのだけれど)

では、例えばの話。10代のうちにしか出来なかった後悔があったとしよう。

今10代の人は最近の後悔を、もう20歳を超えていい加減現実に打ちのめさ

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恋愛が分からないって、きっと体調不良だよ

恋愛が分からないって、きっと体調不良だよ

恋愛感情って、いつの間にか行方不明になります。

しかも決まっていつも突然。

夏の夕立ぐらい気まぐれにふらっと現れてくることもあれば、そのまま一瞬で過ぎ去ってしまうこともあります。

「あれ、好きだと思ってたんだけど違ったみたい。あの胸の高鳴りは一体なんだったんだろう」と思った経験は最早数えきれません。

心理学者アドラーは、「人の悩みは全て人間関係に関する悩み」だと解きましたが、その実殆どは異

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「恋人がいる人が魅力的に見えるのは、当たり前のことじゃない?」

「恋人がいる人が魅力的に見えるのは、当たり前のことじゃない?」

「恋人がいる人が魅力的に見えるのは、当たり前のことじゃない?」

そんな話を聞いたのは、目黒通り沿いにある神乃珈琲でのこと。日記によると、梅雨なのに雨の降る気配が全くない快晴の日だった。

当時毎週日曜日の早朝に通うことがルーティンになっていたそのカフェは、休日なら開店時間には行かないと席が取れない。

僕はその店の月煎というブレンドと、クリームホーンというスイーツを好んで注文する。

その日もい

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1人になるのは好きなのに、1人でいる自分は嫌いなんです。

1人になるのは好きなのに、1人でいる自分は嫌いなんです。

最速で矛盾をしている。

だって1人になるのは好きなのに1人でいる自分が嫌いだなんて、ギリギリどころか全く理解できない。

唐突に起き上がってチュールを寄越せと鳴いている愛猫の横で、今まさにこの文章を書いている自分ですらよく分からないのだ。

きっとこの文章を読んでいる貴方は、何度も繰り返しタイトルを読み返す羽目になったに違いない。

でもこれが事実。
僕は1人になるのは好きだけど、1人でいる自分

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LINEとインスタと寝れない夜

LINEとインスタと寝れない夜

僕「眠くないの?」

ピコン
「今日はなんか眠くない」「なんか話そ」

僕「あー、そういえば最近インスタ始めたんだよね」

ピコン
「え、今更?笑」

当時好きだった子と度々こんな感じで始まる1秒で既読がつくLINEのやりとりをしていた。

いつもは返信がこない時間にLINEの通知がなって、僕からの「眠くないの?」というメッセージに、彼女が「今日は眠くない」という趣旨の返信がくるのが寝れない夜のお

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何にも期待しないのが長所で、何にも期待出来ないのが僕の短所らしい。

何にも期待しないのが長所で、何にも期待出来ないのが僕の短所らしい。

東京から実家に帰省する時に、絶対に深夜バスで帰る友人がいる。

適当に小林とでも名付けよう。

都内で電車よりもバスで移動したがる変わり者だった。

小林曰く電車や新幹線が嫌いなわけでも、お金を気にしている訳でもなく、ただ純粋にバスに揺られている時間が好きらしい。

お金で時間と楽さを買えるならそっちを選択してしまう僕には到底理解出来ない話だった。

以前一度だけ深夜バスで帰省したことがあるけれど

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「好きかもしれない」はもう負けている

「好きかもしれない」はもう負けている

高校1年生の時に、好きかもしれない人が出来た。

夏目前の6月末。
静岡の土肥海岸というところで、2泊3日の宿泊研修をした時のことだった。

遠泳を目的とした研修だったのに連日空は雨模様で、大して海で泳いだ記憶がない。その日も昼過ぎから海が荒れ始めたので、ホテルで時間が過ぎていくのをただ待っていた。

「好きかもしれない」の対象だった子は、クラスは違うけれど同じ部活で入学してからもそれなりに一緒に

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恋敵は親友になり得る

恋敵は親友になり得る

私が高校時代に経験した恋愛は、先日更新した「勝手に終わった恋だった」の中に登場する話と、LINEに頼って終わらせてしまった恋の二つだ。

二つ目の恋を簡潔に伝えるとするなら、私にだけ矢印が向いていない三角関係の恋愛だった。

結果は言うまでもなく私の惨敗。
高校野球は負けても甲子園の砂を持ち帰れるのに、目も当てられないほどに惨敗したにも関わらず、何も得る事は出来なかった。

話したい事は山ほどある

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「ここじゃない」と言い続けて。

「ここじゃない」と言い続けて。

「自分がいるべき場所はここじゃない」

そんな感覚に陥ることが儘良くある。

具体的に何が足りてなくて、なんでそこが自分の場所ではないと思っているのかは分からない。

ただなんとなく「ここじゃないんだ」という漠然とした思いを、僕は常に心の内側に秘めている。

きっと「私」の言葉を見て、感情にも言葉にもならないような何かの所為で、胸に違和感を覚えている人は、同じような思いを抱いているのではないだろう

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勝手に終わった恋だった。

勝手に終わった恋だった。

中学生の時、人生で初めての恋人が出来た。

好きが何かとか、
愛が何かなんて考えたことはなかったし、

所詮は大人の真似事でしかなかったけれど、
僕にとっては紛れもなく初めての恋愛だった。

少し前に「大人の恋愛と子供の恋愛は何が違うと思いますか」と聞かれたことがある。

私はその時「本質的には何も変わらない」と答えた。

恋なんて全部等しく脆くて、痛くて、それでいていじらしく心地の良いものだと思

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性根が腐るには時間が足りない

性根が腐るには時間が足りない

「俺達とお前らは友達じゃないから」

15歳の4月、高校の寮に住み始めた最初の夜のこと。当時の水泳部の主将から言われた最初の言葉だった。

僕が住んでいた寮は、元々精神科の病棟だったと言う噂のある建物で、かなり年季が入った古い外装をしていた。

外見に違わず中もボロボロで、8畳程度の部屋の中に二段ベットが二つ押し込まれた寝るだけの部屋が10室ほど並んでいた。

電子機器の使用は禁止。
勿論ゲーム機

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「らしい」の正解を未だ知らない

「らしい」の正解を未だ知らない

15歳の僕が選んだ進学先は、地元から車を走らせて5時間くらい離れた場所にある偏差値が40にも満たない底辺私立高校だった。

進学の決め手は、単純に勉強が嫌いだったことと、幼少期からずっと続けていたスポーツの成績が評価され勧誘を受けたこと。

そして一番の理由は「高校生から家を離れるってなんかカッコ良くない?」という安直な理由だった。

県を跨ぐ進学で、当然実家から通学は出来ない。
同じように全国か

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0.大人になった気がしていた

0.大人になった気がしていた

今まで生きてきて一番大人になった気がした日は、大学生になった4月1日でもなく、入社式を迎えた4月1日でもなく、ましてや初めてセックスをした日でもなく、高校生になった4月1日だった。

学ランを脱ぎ捨て、少し身丈に合わない紺のブレザーに身を包み、足元は白基調のスポーツシューズから真っ黒のローファーに履き替えただけで随分大人になった気がしていたのを覚えている。

勿論それはただの勘違いで、大人になった

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