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狭い世界の中でこれがすべてだと思って、自分や未来に絶望しないでほしいー”私がcircleを創る理由”インタビュー Vol.1

暮らしを多様化することで、一人一人が自身の軸を見出すためのサードコミュニティを作っていくーそんなビジョンを掲げる、暮らしのサービス「circle」。

運営の人はどんな人?何でcircleに関わってるの?ということで、"私が circleを創る理由"をnoteにてご紹介していきます。
第一弾は、事業責任者でcircleの発起人である紺谷弥生!紺谷の経験や想いを、インタビューでお届けいたします。

【プロフィール】

紺谷弥生(こんたに やよい)
石川県金沢市出身、高校と小学校の教員の両親のもとに生まれる。幼いころから旅好きの両親に連れられ、国内外を旅し、海外は30か国以上、日本は全都道府県に訪れる。実家でホームステイを受け入れており、常時海外からの留学生や社会人と共に暮らしながら育つ。
大学時に上京し、立教大学経済学部を卒業。その後地元の石川県にUターン就職し、老舗テキスタイルメーカーに就職。2年ほど勤務した後、株式会社クラウドワークスに中途入社。フリーランスエージェントサービス「クラウドテック」にてキャリアアドバイザー・アライアンス・PMI・マーケティング・セールス・事業開発等を経験した後、暮らしのサービス「circle」を新規事業として自ら起案、circleの事業責任者を務める。

ークラウドワークスの中で、circleを立ち上げよう!と思った経緯を教えてください!

circleは、”居場所やコミュニティを分散し、多様な価値観に触れることを通じて、一人一人が自分の軸で自分の人生を意思決定していく”ことを目指した暮らしのサービスです。

 circleサービスサイトより

私自身、子どもの頃の”学校”や、一つの”会社””地域”に閉じてしまい、狭いコミュニティーや価値観の中で苦しんだ経験があります。そこから自分が勇気を出して一歩踏み出し、新しい場や人・価値観と出会ったことで、今は自分で自分の人生を意思決定し、日々生き延びている、という実感があります。そんな体験もあり、既存のコミュニティや世界から一歩踏み出すきっかけとなるサービスを作れたら、という想いで事業を構想し、circleを立ち上げました。

「意思決定を間違えたかも」と悩み苦しんだ新卒時代

ー”狭いコミュニティ”というところに以前から課題感があったんですね。まずは新卒で入った会社のお話から聞かせてください。どうして地元のテキスタイルメーカーに就職されたんですか?

小学生の頃からファッションが大好きだったので、アパレル関連のメーカーや商社・小売りなど、ファッション関連の幅広い業種を見ていました。当時はまだ世間的にも終身雇用の考え方が根付いている時代で、一社で長く経験を積んだ方が良いと思っていたので、どこに勤めるとしても”長く働く”前提でした。

大学時代から結婚の予定があったため、「仮に子供が生まれてもしっかりと働き続けられることが大事だな」と漠然と思っていました。都内よりも地元にUターンするほうが子育てにおいて親の手を借りやすいですし、保育園は都市に比べて地元のほうが空いていますし(実は石川県は共働き率全国トップなんです!)、パートナーが当時先に石川にUターン就職していたこともあり、都内本社の会社含め複数社内定はありましたが「地元にUターンする」ということありきで最終的に進路を決めました。その中で自分の興味関心が深い分野の事業の会社として、テキスタイルメーカーを選びました。ものづくりや素材の可能性が面白いなと思ったんです。

今振り返ると、地元へのUターンありきで進路を考えていなかったら、都内のアパレルの会社に就職していたかもしれない、と思います。

ー実際に入社してみてどうでしたか?

入社初日から早速モヤモヤしてしまって、「意思決定を人生で初めて間違えたかもしれない」と思いました。

メーカーというのもあり、入社初日から具体的な業務をするわけではなく、最初の1~2年は研修がメインでした。座学と現場(工場)を回ってインプットや作業の手伝いをするところから始まりました。研修の中で毎月課題読書が会社から出されていたのですが、最初の課題図書の本で『夢をかなえるゾウ』を読み、「やりたいことはこれではなかった。会社の人の雰囲気、方向性、大切にしている価値観、すべて自分には合っていない。」と気がついてしまいました。

会社の事業や今後の可能性についても、研修の中で色々と考えるようになりました。テキスタイルメーカーで、ものづくりも素材の可能性も面白いとは思っていたのですが、業界全体や事業の成長性に疑念を持つようになりました。これに関しては、就活をしていた学生の時から気づいていたはずなのに…ちゃんと”自分が取り組む”前提で事業や仕事、業界を考えられていなかったとしか言わざるを得ません。自分の考えや行動の甘さをすごく悔いました。
「自分はこの会社に、この事業に、この業界に、どのように携わっていけば意義を感じられるのか」「やりがいが持てるのか」と考えながら、半年間の研修を過ごしていました。

特にモヤモヤしていたのは、何か製品を作って売る際に、商流や取引先、取引の流れは業界の暗黙の常識で全てほぼ決まっていたことです。有形商材というところで、商品がエンドユーザーに届くまでの行程が長いこともありますし、取引先にさえ買ってもらえばエンドユーザーの反応関係なく売り上げが一定立つようになっていたんです。そのため、社内の人や同じ業界の人で、”エンドユーザーやマーケットのことを考えて仕事をしているな”と思える人があまりいなかったんです。

自分は大学のゼミでマーケティングや事業・商品企画をずっと取り組んでいたこともあり、最終的にどんな商品になるのかどんな人が使うのかをすごく重要視していました。なのであまりそこに興味がないように見える会社や業界の人の姿勢はショックでしたし、ユーザーのことを見ない会社や業界に将来性はない、と考えるようになっていました。

モヤモヤを抱えながら働いている時間は本当に苦しくて。社内の人にはもちろんこんなこと相談できないですし、社外の友人に相談しても多少共感してもらえる程度で、何か根本的に解決するわけでもなく…といった状況でした。

「正解を見つけていない」のではなく「正解は無い」

ーモヤモヤしはじめてからは、どのような行動をしましたか?

まずは本をたくさん読みました。図書館で”悩み苦しむ自分をきっと救ってくれるのではないか”と、貪るように助けを乞うように必死にいろんな本を読み漁りました。読んだのは自己啓発・起業・フリーランスや個人開業についてなど、キャリア選択についてや実業家の人の本が多かったです。会社の研修で外部講師の方におすすめされた、ドラッカーの『ネクスト・ソサエティー』と『明日を支配するもの』は、未来や社会の変化についての考え方が変わるきっかけになったので、自分の人生にとって特に重要な本です。本だけではなく、自分の考えをとにかく紙に書き出すこともしました。

図書館で読みたい本を一通り読み漁ってしまったある時、「どこかに正解があるはずだ」と思っていた自分自身がガラガラと崩れ始め、「ああ、この中にはもう正解は無いのだ、自分でつくるしかないのだ」とやっと気づき、ひとり図書館の中で愕然としました。どんな本を読んでも、悩み苦しんでいる人はそれぞれ皆自分の道を切り拓いているんですよね。自分は社会的に何となく「当たり前」と提示されている(ような気がする)選択肢の中でしか考えられておらず、「正解はどこかにあり見つけられていないだけだ」という思考に囚われてしまっていたことに気づきました。そもそも人生において解は存在しないのに。

他人の真似はできないし、真似をできてもそれが私にとっての正解ではない。自分の中にしか答えはないし、考え動いてみてそれを自分なりの正解にしていく強さも必要です。”ある中から選ぶ”という発想ではなく、自分で創るしかない、と気づきました。今まで自分で自分を縛っていたものから解き放たれた一方で、自分で生み出すしかなく他の場所に解がないことをやっと自覚し、絶望しました。そこでもう図書館で本を読み漁るのはやめようと決め、会社や普段の仕事の外にある新しい場所に足を運んで、今まで関わったことがないような人と会ってみることにしたんです。

自分で仕事を生み出す人との出会い

ー社外で実際に動いてみて、どんな体験をされましたか?

色んな地域でご自身の事業をされている方に、自分で会いにいきました。

1人目は、京都の「泊まれる雑誌」という宿泊施設の経営や、イベント・プロジェクト企画をしている方にお話を聞きに行きました。内省する中で、「ずっと自分が興味を持って取り組みたいと思っていることはファッションの仕事だと思っていたけど、本当にファッションの仕事をしたいのか?」と改めて自問し、「実はファッション雑誌が好きだったのではないか?」「時代の変化を提案する、トレンドをつくっていくことに興味があったのではないか?」と考え、雑誌や企画というキーワードでたどり着きました。

実際にお会いして、なぜ今の仕事をしているのかお話を聞いたり、その方の打ち合わせにも同行させていただく中で、明らかに自らの仕事を楽しんで生きている人たちと接し、「久しぶりに楽しい!ワクワクする!」と思ったことを覚えています。自分の今後自体が何か決まったわけではないものの、すごくほっこりした気持ちになり、”普段は苦しい日々だけど、この時は特別な時間を過ごせている”という実感を持てました。
自分で仕事を創ったり、プロジェクトごとに柔軟にチームを組んで動かれている姿を見て、ぼんやり「将来的にはこういう風に自分も動きたいのかな」と思いながら帰路につきました。

2人目は、福島で個人でウエディングプランナーをしている方です。元々は会社でプランナーとして働いていたものの、「もっと新郎新婦に寄り添いたい」という思いと、ご自身の子育てとの両立を考え、独立してプランナーをされているというお話を聞きました。

私は学生時代から音楽活動をしていたこともあり、目の前の人・誰かの人生にできる限り強く関わって感動してもらうことが好きでした。ウェディングもその要素として近しいものがあるのではないかと考えて、その人のもとを訪れてみることにしました。

お会いして、お客様にとっての最善を模索して個人でウェディングプランナーをしている、オーダーメイドの場を手作りで一つ一つ創っているというお話を聞いて、自ら仕事を生み出して、人を感動させるということをされていて、本当に素敵だなと思いました。子育てとの両立も、大変さはありつつも無理なく本当に楽しくやっている、というお話も聞けました。

自分の仕事を通じて課題を解決し、社会を動かしたい

ーそこから、自身のキャリアに関する発見はありましたか?

お会いしたお二人とも本当に素敵で、「こんな風になりたい」と思ったことと、必ずしもファッション業界である必要がないと思えたことがまず発見でした。一方で、ファッションでないなら何を通して自分が仕事をしたいのかが、まだ見出せませんでした。

また、新卒就職の際は「子供が産まれても仕事を続けやすいのでは」と考えて地元で就職しましたが、「そもそも絶対に子供が欲しいのか?」「自分の人生をどんな人生にしていきたいのか?」など自問を重ねるようになりました。
考えていく中で、「自分の人生において一番重要なことは、自分の仕事を通じて社会を動かしたい、課題を解決したい、少しでも前進させたいということだ」と気がつきました。そのためなら、他のことは「諦める」のではなく「喜んで捨てる」ことができる、と考えました。

振り返ると、自分の将来や家族・子育てのことを考えて最初の進路を意思決定したものの、先のことを主眼に置いて考えすぎた、と思っています。その時その時の”現在の自分”をあまり大切にできていなかったと思います。学生時代に、自分なりに考えて自分自身で決めたことなのに、それでも思考が浅かったな、と繰り返し悔いました。

どんな課題、どんなテーマに取り組みたいのかは決まっていませんでしたが、社会の変化に事後対応する側ではなく、自ら社会を変えていく側に立ちたいと考えて、社会的なテーマに取り組んでいる成長中のベンチャー企業を中心に面談や面接を受けました。最終的に、新卒で入った会社で丸2年ほど働いた後、現在のクラウドワークスに転職し、大学時代ぶりに再上京することにしました。

狭い世界の中でこれがすべてだと思って、自分や未来に絶望しないでほしい


「自分の仕事を通じて社会を動かしたい、課題を解決したい、少しでも前進させたい」という想いはどこからきたんでしょうか?

一時期、「なぜ生きるのか」という問いを毎日自問していたことがあります。中学生の時、いじめられていたことがあって。声をかけてくれる友人や先生はいたのですが、それでもつらかったんです。家族にも一切相談できず、地縁や血縁といった自分で決して選ぶことのできない輪の中で、なじめずにいたのかな、と今振り返って感じています。日本では少しでも異質で目立つものは叩かれます。ましてや子どもにとっては学校しか見える社会はなく、自分が関わる”社会”を選択できません。

”いじめられている自分は生きているだけで人に迷惑をかけていて、生きる価値がないんだ”と本気で思っていました。それでも学校にはちゃんと行っていましたが、朝が来るのが怖くて。毎日自殺することだけを考えていました。

なんとかクラスが変わったり受験期に入ったりということで状況は改善されましたが、今の私がいるのは”あの時死ねなかったから生きている”というだけの話です。未だに学生の自殺のニュースがあると、「あれは私だったのだ」と思います。この経験もあってか、様々な社会での出来事が「あれはまさに自分のことだ」と自然に感じやすいように思います。

私はあの時死ねなかった、死ななかったからこそ今があるので、今一つの学校や会社・家庭などの狭い世界の中で苦しんでいる人には、「どうかこれがすべてだと思って自分や未来に絶望しないでほしい」と思っています。

これが、circleというサービスを通じて誰かにとってのサードプレイスを届けたい、創りたいと考えた、私の一番の原体験です。

ーcircleを通じて、今後どんなことをしていきたいですか?

新卒時代の私や子どもの時の私が欲しかった、サードプレイス、居場所をつくっていきたいです。モヤモヤして人生に苦しんでいる人、自分の今後を模索している人、新たな場に一歩踏み出したい人にぜひサービスに触れていただいて、前進するきっかけとしていただければ、これ以上幸せなことはありません。

また、現在は”暮らしの多様化”ということを通して、主に大人に対してサードプレイスを提供しようとしていますが、ゆくゆくは子供が違う地域の学校に通えるなど、多世代に対して”サードプレイス”を提供できるようにしたいと思っています。

ー今後の展開も楽しみですね!紺谷さん、ありがとうございました!


あなたも”circle”で、サードプレイスを見つけてみませんか?


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