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2021年3月の記事一覧

ユルムンガンド

空を飲み込む
ユルムンガンド
もう朝は訪れず
とこしえの夜が続く
誰かが願い続けた

何も変わらない

貴方が居なくても
爆弾が落ちても
僕の事を忘れても
何も変わらない
卑しく日は落ちて
そして昇るだけ
何度も繰り返す内
全てを忘れてしまった

ガブリエル

露店で買った指輪を
嬉しそうに掲げる子供
幼き頃は直ぐに去り
その姿が変わっても
残して置いてくれないか
純粋に信じ愛した
ガブリエルの事だけは

嘘を売る

悪人は夜道を迷わず
嘘を売り付ける
弱者は言われた通り
嘘にしがみ付く
それが直ぐに破れても
また直せると疑いもせず

ビューティフル・フィクション

適当な話に釣られ
なけなしの札束を
つぎ込む弱い人
安定した稼ぎを
捨ててまで掴もうと
手を伸ばそうが
それは何処にも無く
美しい空の上から
飛び降りてしまった

茉莉花

しゃがれた夜に
寄り添う茉莉花
白い花が開いたら
そこでお別れ
次の時代へと
風に吹かれて
消えちまうのさ

スティッピンワルツ

血だまりの中を
歩く少年兵
仲間達は皆
骸へ還り
独り取り残され
地獄を彷徨う
適当な歌に合わせ
ワルツを踏んだ
あの日々は
二度と戻らない

夜に咲く華の様に

寂しい街を歩く人
消えそうなネオン管
孤独を分け合えないなら
夜に咲く華の様に
美しく枯れて欲しい
苦しみを残さない様

冥府

祈る事しか出来ない
弱い人達は今日も
偶像の神に縋り
僅かな命をすり減らす
冥府へ逝ける日を信じて

乱暴者

何かに疲れた土曜は
映画を見に行こうか
マーロン・ブランドが
単車に乗って走る
格好いい乱暴者をさ
去りし日がささくれて
届かない過去へ消えても

上手く伝えられない

悲しみが分からない僕に
黒猫が問い掛ける
それはいけない事なのと
貴方はとても美しい人よ
黒猫は静かに諭す
僕は何時だって言葉を
上手く伝えられない
それを他人に誤解されて
酷い陰口を言われたりする
黒猫が僕を静かに眺めて
もどかしい夜は過ぎ逝く

チェリーコーク

黄昏には早過ぎる
そんな夜を越えて
僕は歩いて逝く
とっくに売り切れた
チェリーコークを
飲みながらさ

現れ去る

全ての夜から
現れた者
語る事なく
辺りを破壊して
去って逝く
太陽が昇る前に

ハウリング

雑音に苛まれる
脆く弱き人達
路傍の石には為れず
ハラハラと命を揺らす
春の風に吹かれて