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映画・舞台のあれこれ

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映画鑑賞録や素敵な映画館のログ
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「人は死んだらどうなるのか」の問いに優しい答えをくれる映画【NETFLIX『パレード』】

「人は死んだらどうなるのか」の問いに優しい答えをくれる映画【NETFLIX『パレード』】

「大切な人と離れたくない、別れたくない」

悲しいのは、苦しいのは、何も残された側だけではなく、大切な人を残して旅立たなければならなかった死にゆく側も同じ想いなのだ。

そんな誰もが一度は考えたことがある「人は死んだらどうなるのか」の問いに優しい答えをくれるものがたりがある。NETFLIX限定で配信中の映画『パレード』だ。

あの世とこの世をつなぐ、不思議な世界で、あの世にもこの世にもいられない「

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「何者でもないただの自分」でいられる人と出会いたい。2月観てよかった映画たち

「何者でもないただの自分」でいられる人と出会いたい。2月観てよかった映画たち

振り返ったときに「特別だったのかも」と思える日々を送っている。そんな映画たちと出会えた2月。

夜明けのすべて映画のなかの時間と客席に流れる時間に違和感のない、居心地の良さを感じる映画だった。自分のことを「何者でもないただの自分」として見てくれる人はこの世に何人いるのだろう。

出会った頃のお互いの分かり合えなさが妙にリアルで……。自分のつらさと相手のつらさを知らず知らずのうちに天びんにかけてムカ

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「好き」を考える │ つやファン2023観劇レポ

「好き」を考える │ つやファン2023観劇レポ

「つやつやのやつ」と「ファンファンファンファーレ!」は下北沢・駅前劇場にて7月13日から18日まで上演されるムシラセの舞台だ。

⚠️

一部劇中のセリフを引用している箇所があります。少しも #ネタバレ をしたくない方は観劇後に読んでね。

⚠️

「好きを知らなかった頃にはもう戻れないんだよ!」

私このセリフ、最初に本を読んだときには、あさみんを説得させるものだと思ってたんだけど、ちがった。い

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見えているものと真実って何が違うんだろう【映画・母性】

見えているものと真実って何が違うんだろう【映画・母性】

愛ってなんだろう。

物語ってなんだろう。

見えている世界と本当の世界って何が違うんだろう。

映画館という真っ暗な箱の中に閉じ込められて、悶々と考えた。

観終わった今、心が重い。
でもイヤな重さじゃなくて、ずっしり、どっしり、ゆっくり、なにか大切なものを渡された重さ。

『わたしのおうち』のような、どこか現実離れしたお嬢さまの世界と、朝ドラのおちょやんみたいなイヤミな世界と。

母と娘、同じ

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映画館がアトラクションになる“4DX”の良さを広めたい

映画館がアトラクションになる“4DX”の良さを広めたい

「この映画の中に入れたら」そんな思いを抱いたことはないだろうか。

先日、劇場版コナンの鑑賞のとき“4DXデビュー”をした。

4DXとは映画に連動して、椅子が動いたり水や風を感じたりと特殊効果を使った体験型の上映システム。

基本的に4DXに合う、興奮系の映画でしか上映されない。通常鑑賞料金にプラス1000円で楽しめる。

これがまーすごい!

コナンを4DXで観た結果、歴代興奮度MAXで、本当

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私はなぜ「美しい彼」に沼落ちしたのか

私はなぜ「美しい彼」に沼落ちしたのか

「沼落ち」
言葉通り、片足を突っ込んだ瞬間からズブズブと沼の中へハマって抜け出せなくなる。

ドラマ『美しい彼』にハマった。
4月7日に劇場版が公開される、ベストタイミングすぎる沼落ち。

きっかけはドラマ・劇場版『美しい彼』の監督を務める、酒井麻衣監督だ。

仕事で酒井監督の熱心なファンだという女性と出会った。

こんなに愛されている、今をときめく監督の作品なら観てみよう。
そんな軽い気持ちだっ

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想像を形にするために、小さなチャレンジを重ねるんだ

想像を形にするために、小さなチャレンジを重ねるんだ

「いつか海外の映画館で映画を観る」

幼い頃に作ったやりたいことリストの3番目に書かれた文字。
書いた当時は、海外の映画館なんて遠い夢の先にあるもので、これが実現するなんて考えてもいなかった。

2020年の2月、自由に海外に渡航ができたギリギリの時期に、私は1人で地中海のマルタにいた。
マルタの語学学校の寮に3週間滞在して、パリへ立つ前日。

「やり残したことがある」

私は急いでルームメイトに

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3月映画録『ドライブマイカー』『ドリームプラン』etc...

3月映画録『ドライブマイカー』『ドリームプラン』etc...

映画や舞台、本の感想は忘れる前にパパっとメモにぐっちゃぐちゃの言葉で書いておいている。
自分が何に心動いたかを知りたいから。

3月は1ヶ月半ぶりぐらいに映画館に行くことができた。嬉しい!

ドライブマイカーTSUTAYAでレンタル。
実は(?)小さい頃から西島さんが好きで、インタビューでの言葉や映像の中でまとう空気感に惚れていた。アカデミー賞、とても嬉しい。

映像の中で流れる時間がいいなって感

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3月は勝手に岸井ゆきのスペシャル月間でした

3月は勝手に岸井ゆきのスペシャル月間でした

岸井ゆきのちゃんを知っていますか!!??

小動物みたいなきゅるるんフェイスにこの人何考えているんだろうって気にならせる透き通った目。

岸井ゆきのは静かなるエネルギーを持っている女優さんだ。こちらから実際に見える姿はそよ風のようだけど、彼女の内側は台風が上陸しているみたいなエネルギーを感じる。

恐れ多いながら、私はよく演劇関係者に会うと岸井ゆきのっぽいと言われる。見た目は全然似てないけど、声質

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私は決して誰かの痛みを引き受けられない【映画 ファーストラヴ】

私は決して誰かの痛みを引き受けられない【映画 ファーストラヴ】

私もまた、予告での芳根京子の狂気な笑みに釣られて劇場へ走った1人だった。

映画、ファーストラヴを観た。

川沿いを血まみれで歩く女子大生が逮捕された。殺されたのは彼女の父親。「動機はそちらで見つけてください。」容疑者・聖山環菜の挑発的な言葉が世間を騒がせていた。事件を取材する公認心理師・真壁由紀は、夫・我聞の弟で弁護士の庵野迦葉とともに彼女の本当の動機を探るため、面会を重ねる 二転三転する供述に

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希望とは、未来とは【映画 ヤクザと家族】

希望とは、未来とは【映画 ヤクザと家族】

綾野剛さん主演『ヤクザと家族』を観た。

移り変わる3つの時代の波の中で生きるヤクザたちのお話。タイトルの通り「家族」やいわゆる「ファミリー」を中心に描かれている。

鑑賞後の帰りの電車。いろんな想いがあふれるなか、言葉を練る前に、とにかく誰かに気持ちを伝えたくなる。「良かった。ほんとうに良かった」と、尊敬する芝居仲間のひとりにLINEした。

美談ではないということまず、これはヤクザ映画でありな

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映画感想でウルっときた夜【花束みたいな恋をした】

映画感想でウルっときた夜【花束みたいな恋をした】

映画『花束みたいな恋をした』を観た夜、このこぼれそうな気持ちをなんとか拾ってあげなければという一心で映画感想noteを書いた。

そうしたら、1時間も経たないうちに1件のコメントをいただいた。

私も、こつさんと同じように、終始、麦くんに共感して観ていました!

なんだかうれしくなった。同じものを観て、深く共感して、それを共有できるなんて。しかも顔も見えないネットの世界で。

他の人の感想も知りた

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私は麦くんだったのかもしれない【映画 花束みたいな恋をした】

私は麦くんだったのかもしれない【映画 花束みたいな恋をした】

『花束みたいな恋をした』

心躍らせずにはいられないタイトルに惹かれて映画ドットコムでブックマークをつける。

「坂本裕二 次回作」で検索して、このタイトルを目にして早4か月。今日ようやく映画を観に行くことが叶った(歓喜)。
期待しながら劇場へ早歩きで向かって、胸の中に愛おしさを詰め込みながら観て、そしてあれこれと考えながら帰路につく。

花束みたいな恋、というタイトルなんて美しいタイトルなんだろ

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2020年公開、心に残った映画たち

2020年公開、心に残った映画たち

2020年に劇場公開された映画は例年よりも少なめ。
そんな中でも劇場に足を運んで、新しい映画たちを観られたことが本当に幸せだ。

本当は2020年中に\今年のベスト映画/的な感じで紹介したかったんだけど、何せ怠惰なもので…🙃

劇場公開された映画の中から、心が震えた作品を今更ながら紹介しちゃう。

his春休みに江の島を訪れた男子高校生・井川迅と、湘南で高校に通う日比野渚。二人の間に芽生えた友情

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