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詩→夭折、明の明星を見ながら、秋の夕暮れ(長歌)、地上の星、薄青い空に、痛みを越えて、流れ、る、一度くらい、不機嫌な子ども、エンドレス、空飛ぶ艇に乗って、a forth wave…
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記事一覧

キリンのうた

キリンのうた

もう、首を伸ばして生きるのは疲れたの
同じことをやっても、
三十点の人もいれば、
五十点の人、
六十点、七十点、八十点の人もいる
今、三十点だから、ずっと三十点だということもなくて、
大人になってやり直してみれば、
五十点になっている人もいるかも知れない

「最後がないけど、その楽譜でいいの?」
長さがちょうど良かったんで、
気づきませんでした
初中級なんで、
どっかカットされてると思いますし

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お彼岸

お彼岸

お風呂につかっていたら
犬の鳴き声が聞こえた
それはやがて
規則正しく、空間を刻む音になり
ーーあれは何だろう?
金木犀の香りと共に、バイオリンの音色が聞こえてきたことはあったけど
時計?
メトロノーム?
木魚?にしては、読経の声が聞こえて来ない

お風呂から上がって、母に聞くと
「木魚の音だ」
と言われた
月参りしか頭になかったけど
「お彼岸だから」
だって

亡くなった人達も、どこかで聞いてい

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母の日

母の日

子どもの頃、私は
母の日が嫌いだった
母がいなかった私の母も、母の日が嫌いだったけど
母のいる私は、白いカーネーションを用意する必要もなかったのに……
子どもの頃、母にプレゼントを期待されたせいか、
今でも、母の日は苦手だったりする
母の日の前日、
1本385円のカーネーションを買おうか迷って、
 結局、買えなかった
子どもの頃
ゴールデンウィークに
父の田舎に家族で帰省したとき
叔母がカーネーシ

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月には

月には

月には、
ウサギが住むと人は言う

月には、
ヒキガエルが住むと人は言う

私は、
月には、
犬が住むと思っている

片道切符のロケットで
打ち上げられた犬は、
今日も、
あの哀れを誘う眼差しで、地球を見ている

十三頭のうち、
生還できなかった犬達は、
額に触れた温かな人の手の温もりを思い出し、
今日も、
人に頭をなでられるのを待っている

犬達は、簡単に人を恨んだりしない
今日も、
真っ直ぐに

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星屑のうた

星屑のうた

もう生きていくのに疲れたよ。
ーー何をやってもダメで。
私は、人を輝かせるために、生まれてきたんじゃないのに。
ーー詩なんて書いて何になるんだろう?
自分を壊すだけで。
人を羨むだけで。

自分も書いてみようなんて思わずに、誰かの作品を読むだけでいればよかった。

私には翼がない。
君のようには、遠くへ行けない。
ただ消費するだけで、
私に何かを生み出す力なんてない。

そんなことは、とっくに分か

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スカート

スカート

男の子は、小学校で半ズボンを卒業出来るのに、
女の子は、何で、スカートを卒業できないのだろう?

小中高とスカートだったから、私はもう、スカートは一生履きたくない。

私は、ズボンが履きたかった。
ジェームズ・ディーンを知って、ジーンズに憧れた。

電車の向かいに座る、
女子高生の、
自己脱毛の跡が生々しい。

脱毛しなきゃ、スカートは履けないし。
半袖だって、着られない。

永久脱毛は、永久では

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子ども

子ども

子どもの声はよくて、何でピアノはダメなんだろう?
何々さんは生活音で、
私のピアノは騒音?

嫌いな人達のことは、
昼間は呪って、
夢の中で殺す。
何度でも。

――引っ越しなんて、そう簡単にできることじゃないから。

今日も、猫が押し入れに入ったまま出て来ない。

外では、子ども達のはしゃぐ声と走り回る音が響いている。
「公園に行って来なさい」
とパパに二回言われたらしいけど、すぐに戻って来たら

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壁打ち

壁打ち

自分が投げたボールに
反応が返ってくる人達は幸せだ
大抵は、無視されるか、見て見ぬ振りをされる
特に反応を期待してるわけじゃないけど
一人で壁打ちでもしてるみたい。

本当は、
「僕はここにいるよ」
って叫びたいのに
ーーうつむいてばかり。

それでも、黙々と、ボールを投げ続けていれば
どこかへつながっていくんだろうか?
ボールが壁を打つ音だけが聞こえる。

五線譜に書いてみたら、
どんな音がする

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空飛ぶ艇に乗って

空飛ぶ艇に乗って

空飛ぶ艇に乗って、仲間達と旅に出かけた。
空に浮かぶ群島を眺めながら、
甲板で、頬に風を感じていると、
「危ないから、下がってろ!」
という操舵手の声が聞こえた。
どうやら、今日は、風の精霊のご機嫌が斜めらしい。

艇は真っ直ぐに北へ、ある仲間の故郷へと向かっていた。
犬のような耳と尻尾を生やした仲間は、
相棒として、力を解放させれば、精霊としても使える銃を持っている。

そう、ここはファンタジー

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真夜中の庭で

真夜中の庭で

 あるところに、照明が大好きな男が住んでいました。
 男は、自分の家の門灯や前庭を明るく照らすのが大好きでした。妻と自分の車を置いているガレージも明るく照らし、向かいの息子一家の家と貸し駐車場まで明るくしていました。
 困ったのは、息子一家の家のお隣の植物達でした。
 植物達は、夜はぐっすり眠って、昼は太陽の光を思いっきり浴びたいのに、照明が大好きで、隣近所まで照らさずにはいられない男のせいで、一

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エンドレス

エンドレス

昨年の自殺者は
女性が14%増
中高生は過去最多

と言われてもなあ……

人生は、不平等なもの。
どのクジを引いたか?
で、
その先は、もう決まっている。

エスタブリッシュメントでも、
エリートでもない私に出来ることはない。

何も出来なくても、話を聞くことくらいは出来るよ?
他人に話してみれば、楽になることもあるかも知れない?

芥川賞欲しかったなあ……
新人賞予選通過さえしたことなかったけ

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不機嫌な子ども

不機嫌な子ども

お母さんは、「早く寝なさい。明日も学校でしょ?」っていうけど。
私は、学校が大嫌い。

同じクラスに、「あんた、私と同じ、みゆって名前なのが気に入らない!」と攻撃してくる子がいるし。

算数が分からなくて、ようやく、「分かりません」と言えたら、「もう!早く言いなさいよ!」と先生に怒られたし。

私は、本を読んでいたいのに、お父さんも、お母さんも、「本ばかり読んでないで、外で、お友達と遊びなさい。」

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一度くらい

一度くらい

嫌な夢を見ると、食べてくれるバクという生きものがいるらしい。
ぼくはまだ見たことがないけど。
嫌なことがあったら、食べてくれる動物もいればいいのにな。
ゾウみたいにおっきくて、ライオンみたいに鋭いキバとツメを持っていて、トラみたいに大きな声でほえる。
嫌なことは決してなくならないけど、その生きものがほえた瞬間だけ、気持ちがスッとするような……
お母さんや、お父さんに内緒で、クレヨンで描いてみたよ。

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流れ、る

流れ、る

流れ、る

疲れた。
「このマンガが面白い!」と誰かが言えば、みんな同じ方へ流れる。
自分ってものがないんだね。
あるいは、失敗するのが怖いのかも。

「特典のカレンダーカードは終了しました。」

「1から13巻品切れです。予約は出来ません。」

「14巻は、レジ前の台にあります。」

「在庫、22巻、23巻、外伝」

今の子は、人と同じものを持ってるだけで満足なんですよ。
インフルエンサーさんが

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