#庭
芒種;第25候・螳螂生(かまきりしょうず)
冷房が効かないので
窓を開けて車を走らせていると
どこからやってきたのか
蟷螂の子がフロントガラスを斜めに翔けていく
たった一匹
梅雨入り前の途方も無く広い空を眼下に
二つの鎌を立て
身を反らせて
三角まなこはみどりの粒で
あんなにも軽々とあらわれて
もう会えない
花を活ける仕事をしていると
稀に蟷螂の卵が付いている枝がある
捨てられないのでバルコニーなどに保管しておくと
小満;第22候・蚕起食桑(かいこおきてくわをはむ)
生まれ育った地域はかつて養蚕がとても盛んな土地柄で、小学生の頃は隣もお向かいも裏の家も田畑と養蚕を営んでいた。
隠し部屋のようになっていて使うときだけ降ろす階段が、土間続きに設えられていて、それを不思議な感覚で登った記憶がある。登ると蚕室は囲炉裏や寝室のある一階の上ほぼ全てという広さで、そんな板張りのガランとした「お蚕さん」の蚕室に何度か入れてもらったことがあるけど、何百匹といる蚕が草を食む音に
春分 第10候・雀始巣(すずめはじめてすくう)
藪椿がピークを過ぎて なお 咆哮している
お稲荷さんの裏の小さな畑
藍の種子を蒔いたので
春の陽の眩しい休日の午後 水を撒きに
桜は2、3分咲き そのまま土手を 見上げると
空高く梢を伸ばす欅
ヤドリギがふっさり のっている
小さな藍畑
種子を 雀が食べてしまう事がある
早く芽が出ないか
芽が出るとよろこぶ
土手の上には椿が溶け残っている