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穀雨 第17候・霜止出苗(しもやんでなえいづる)

4月25日。個人邸の造園引渡しがあった。

門柱と表札、インターフォンを取り付けて、足元の灌木地被類などを納めた。

霜やんで苗出づる。

緑は穀雨の雨を受けて広がり大いに繁茂するタイミング。

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お施主さんご夫婦と庭師二人とで眺める。お家ができて引越しを挟んでずっと現場の進捗をご家族皆さんが見てくれていた。コロナによる自粛のタイミングだったから。友人である施主が一番よく見ていてくれたと思う。都度対話してきたので見ながら話すことは多くない。

引渡し自体はそんなわけで短い時間だったけど、こちらのホッとした感じと名残惜しさと、お客さんはどうだっただろう、多分これからの楽しみとちょっと不安もあるかもしれない。表札もついて、お庭が収まって、自分の家が完成したという満足感もあったようだ。

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フェンス越しにデッキを望む。園路の勾配と地面の起伏の塩梅に気を使う。縁側的なデッキが庭の開放感へつながっている。

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エッジが大事。。。

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家族が暮らす庭(場) デザインを考える 

現場では ニュアンスを伝えたり 変更をお願いしながら 職人さんたちの勘や技術を借りて 順にかたちが現れてくる 

導線ができて流れが見えてくると 空間的な余白が見え 

まだ畑にある樹々の面影を沿わせてみる 


やがてそこに石や樹々が配され 立てられ ものとものの 共鳴 がはじまる 

隙間 余白 ブランク ニッチが多様にあるとポリフォニックな響きが生まれ いい音楽が聞こえてくる 

景色や景気が良くなる 

この先 暮らしという時間が 重ねられる 夫婦の時間 子供たちとの時間 それぞれがデッキやリビングから庭を 様々感じてくれるだろう 

庭という場所は 悲しみや痛みを持ち去ってくれる 樹々は風を見せてくれる 花ははかなさ はかばかしさを 

虫もそのうちやってくる 

めぐる季節を 記憶や予感を ぎゅっと濃縮して 小さな宇宙と大きな宇宙の 境に立つことができるのが庭 

今という辻 時のつむじ




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