塚田有一

塚田有一

マガジン

  • ことのはいけばな’22

    文藻の琳派たれ!7年を経てこの言葉に出会った。花立てるように歌も立てたい。 花と歌を同時に活ける。ローカル72候マラソン。 *歌つくり人の皮脱ぎほう法華虚 

  • 花の座 伝芭

    花の連句「めぐり花」を実践する花の座。花綵列島であるこの島嶼列島の風土と共にある花を活けるという振る舞いを、言葉や行事から紐解き、めぐり花という方法で花の祭を共創して行きます。

  • ことのはいけばな

    花を活けるように、言葉を三十一文字の器にのせて活ける。地軸の傾いた地球に乗って、太陽の周りを一巡り。花を立て言葉を立てて、遊行します。

  • まなかい ローカル72候マラソン

    まなかい… 行きかいの風景を24節気72候を手すりに 放してしるべとします。                                        万葉集                                    子らを思へる歌一首并せて序 釈迦如来の、金口(こんく)に正に説(と)きたまはく「等しく衆生(しゆうじよう)を思ふことは、羅睺羅(らごら)の如し」と。又説きたまはく「愛(うつくし)びは子に過ぎたるは無し」と。至極(しごく)の大聖(たいしやう)すら、尚(な)ほ子を愛(うつくし)ぶる心ます。況(いは)むや世間(よのなか)の蒼生(あをひとくさ)の、誰かは子を愛(うつくし)びざらめや。 瓜食めば 子供思ほゆ 栗食めば まして思(しの)はゆ 何処より 来りしものぞ 眼交(まなかひ)に もとな懸(かか)りて 安眠(やすい)し寝(な)さぬ

  • 古代緑地 Ancient Green Land

    ひとまわり違いの弟を持ったせいもあり もともと絵本好きで高校生の頃は絵本作家になりたかったのを 思い出しています 児童書の卸をしている書店が高校のすぐそばにあって よくそこに入り浸っていました コロナ騒動が始まる少し前 なんとなく3月くらいから キャラクターが色々生まれてきたので 設定を考え お話を添えたりひいたりしているうちに のめり込み ひとまず5つの小さな物語が 生まれてきました 季節が巡ってくる不思議 ささやかで 目に見えない 遠くで いつも 無数の不思議が生起し 世界が回って 出会いと別れを繰り返し 流転し ちっぽけな存在だけど いのちは 星のように瞬き 花のように華やかに 輝く  内なる 古き緑の大地へ まずは北の森のお話から4つの物語を順番に公開します ひたすら旅立ちだけの物語です 花を切って活けると言うことを続けてきているから 生まれてきた物語かもしれないと 思っています

最近の記事

ひかりてうたふはな 処暑 天地始粛

「天地はじめて粛(さむ)し」 夏のあいだ、あめつちは、モンスーンアジアの日本ではすっかり混ざり合い、肺を湿潤し、皮膚を通して心身に浸透してくる。 それがスッと引いてきて、天と地それぞれ離れ、自ずからの模様を描き始める。そのことが「粛」という文字で表されている。 夏の終わり、久しぶりにエイサーを見に沖縄の浜比嘉島へ出かけた。ずっと旧暦のお盆の行事としてそのかたちは守られている。その舞や唄や身振りは島の歌そのものとなる。あめつちの間に立ち、間をつなぐものだ。中国の冊封、薩摩の琉

    • 躑躅忌

      まなうらに つゝじの赤が萌えさして その火 ちろちろ まなかいに まもなく まみゆ さみどりの 野の倉はしる みどりの子らと もゆるに まみれ くゆる つゝじの もりにさまよう むすめの瞳に映る火よ 滲みて底紅 ゆらゆらと 沈みてほてる いまひとたびを咲くつゝじ 蜜の泪は 頬つたい 谷すじ染めて運ばれる 不死の火 かがよい つゝじ喰む 酔うてはいない 不死身のむすめ 群咲くつゝじ からみつく むすめの袖が染まりゆく さみどりとつつどりの声こだまして つゝじが笑い割れ

      • 《オルガテック》 asplund ブースのバイオフィリックなデザインについて

        グリーンのディレクターとして、オルガテック東京2023に出展されたasplundさんの展示を手伝った。【Work Plus】というオフィスを中心とした新しいシリーズを打ち出している。  コロナで大きく変わった働き方。家具業界もデザイン業界も様々にシフトせざるを得ない。本当の意味で「光冠(コロナ)」とできるかは、僕たちの知恵と、謙虚な振る舞い、「バイオフィリック」な精神を耕すしかなさそうだ。家具のデザインとしてはどこまでゴミを無くすか、資源を大切にするかという組み立てや、プライ

        • 花の座 伝芭

           「伝芭」とは、『楚辞』「九歌」のうち“礼魂“の詩にみられる言葉。“礼魂“は、祭りが終って神を送る送神曲。願いが届き、その音信が届いたことを祝い、太鼓に合わせて巫女たちは手から手へと花を手渡し、受け取った花を持ってかわるがわるに舞う。美しい巫女たちは歌いながらゆったりとやわらかく舞う。それを「伝芭」という。巫女が伝芭する花は春には春蘭、秋には菊、それぞれ香り高く、人を清浄に清めてくれる花だった。  花は神への依代として捧げられ、音信を聞くものであり、また願うものの身や場を清め

        ひかりてうたふはな 処暑 天地始粛

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        • 花の座 伝芭
          1本
        • ことのはいけばな’22
          28本
        • ことのはいけばな
          71本
        • まなかい ローカル72候マラソン
          71本
        • 古代緑地 Ancient Green Land
          24本
        • 星々の花 星に願いを星の願いを
          14本

        記事

          ことのはいけばな’22 芒種 27候『梅子黄』

          花を活けるように、言葉を三十一文字他の器にのせて活ける。はなとことばを立てて相互記譜。七十二候のことのはとはなの旅。 梅子黄/夏至 *短夜の雨に色づく梅の子のとろける餡のもろき皮裂け *しとしとと梅の子に降るさみだれに頬つたふ子の涙おもほゆ *生温き夜半の雨にもち重り堕ちた梅の子草に囚われ *温かく傷もち熟す生命のもとのかたちの梅の子空に 2018夏至をリトアニアで過ごす *夏至近き日永の街やケーキ食ふ *ままごとのご飯のごときケーキ喰ふ夏至の夕べはほろほろと暮れ

          ことのはいけばな’22 芒種 27候『梅子黄』

          ことのはいけばな‘22 芒種 第25候『蟷螂生』

          花を活けるように、言葉を三十一文字他の器にのせて活ける。はなとことばを立てて相互記譜。七十二候のことのはとはなの旅。 蟷螂生ず *蟷螂の子らあわあわあわと溢れ落つスポンジ卵ちぢむことなく *幼な子の首をつまみし蟷螂の鎌振り上げて捩らす腹見つ *産みつけし断熱卵の雪予報切られた枝のかまきりかなし 七竈と枇杷を活ける *七竈冬には赤い房の実も刺繍の玉の花つくさつき *ななかまどひよどり啄む赤い実の刺繍の玉の花かがり哉 *枇杷の実の冬にはこっくりアマレットうぶ毛まもるる姿

          ことのはいけばな‘22 芒種 第25候『蟷螂生』

          ことのはいけばな’22 芒種 第26候『腐草為蛍』

          花を活けるように、言葉を三十一文字他の器にのせて活ける。はなとことばを立てて相互記譜。七十二候のことのはとはなの旅。 今日は言葉を束ねるという歌の作り方をしてみたい。活ける、立てるとはちょっと違う 赤坂氷川神社「はなのみち」にて夏至祭やジューンブライドの話をした。 *夏至祭へ明るさのままかがやいてジューンブライド花吉女咲う *白百合もしもつけ花も五月晴れ未彩のみどり白に滲ませ *芍薬の白無垢にほふ艶骨の緑なすほど光るは五月 *赤樫の葉を冠に連ねればボーンファイヤー夜通し

          ことのはいけばな’22 芒種 第26候『腐草為蛍』

          ことのはいけばな’22 小満 第24候『麦秋至』

          花を活けるように、言葉を三十一文字他の器にのせて活ける。はなとことばを立てて相互記譜。七十二候のことのはとはなの旅。 五月のおわり、東信濃のとある風景。雲のことづてをきく。 *浮雲のことづてのそら見上げてはおおきお山のなお空みちる 五月雨 夜の雨 *五月雨や夜降り込めておちこちにあをくみだせりしらべにならず *渾々と泉湧きいでよみがえる黄泉平坂息も切らさず *そのみづを長雨ているよりすべもなくみずからのみづ水垂れ溺るる *夜に沈みこんで行くとき明けそめて憂鬱のかたち眠た

          ことのはいけばな’22 小満 第24候『麦秋至』

          ことのはいけばな’22小満 第23候『紅花栄』

          花を活けるように、言葉を三十一文字他の器にのせて活ける。はなとことばを立てて相互記譜。七十二候のことのはとはなの旅。 「花の座 伝芭」を主宰している。 sansa座の第二回目は5月29日。主題は「あぢさゐ、芍薬、しもつけ」。 暦や襲の色目、歳時記に記される季語としての紫陽花、芍薬の歌についてゆっくり味わっていく。紫陽花にちなんで「青」について、ジューンブライドにちなんで「緑」の話も伝える。その緑に紅花のことは欠かせない。 *玉虫のみどりに軋る翅の音いのち溢るるとこしえの

          ことのはいけばな’22小満 第23候『紅花栄』

          ことのはいけばな’22小満 22候『蚕起食桑』

          花を活けるように、言葉を三十一文字他の器にのせて活ける。はなとことばを立てて相互記譜。七十二候のことのはとはなの旅。 *鼓膜触れ起きたばかりのお蚕の眠れぬ夜は天井透かし *ぬばたまの夜の帷のばりばりと桑の喰み音は底なしの沼 *射干玉の夜の帷をばりばりと桑はむ音の終わることなき *昼となく夜となく食むお蚕のつぶつぶとして眠りへ堕ちる *お蚕のましろき肌を砕かれし若き桑葉のいくらか染めて *お蚕のましろき胴をうす染めに千々岩になりし桑の若さよ 松江  宍道湖と中海を囲む残され

          ことのはいけばな’22小満 22候『蚕起食桑』

          ことのはいけばな’22 立夏 21候『竹笋生(ちくかんしょうず)』

          花を活けるように、言葉を三十一文字他の器にのせて活ける。はなとことばを立てて相互記譜。七十二候のことのはとはなの旅。 そもそも「旬」という文字は「筍(竹の子)」の10日ほどの旬を言うらしい。また「旬」は『字統』によると雲から龍の尾が垂れている形とされる。瑞兆というものがそれほど尊く稀で、しかも瞬く間だということか。そのタイミングを見つけ、そして掴めるのかどうか、とてつもなく大事なことだったのだろう。 毎週毎週花を活けていると、このタイミングを逃したくない花材に出会う。毎年

          ことのはいけばな’22 立夏 21候『竹笋生(ちくかんしょうず)』

          ことのはいけばな’22 立夏 第20侯『蚯蚓出』

          花を活けるように、言葉を三十一文字他の器にのせて活ける。はなとことばを立てて相互記譜。七十二候のことのはとはなの旅。 *五月晴れ美々須出づるも土の中 *伸び縮み蚯蚓は濡れて土を喰む *蚯蚓の緑雨の滲みた土を喰み *おお蚯蚓虹色に塗る土の壁 *吸引のホースも蚯蚓のびちぢみ *睡蓮もお玉杓子も発射台 *睡蓮のお玉杓子と待つその日 *蝌蚪はなれ睡蓮の花空をみつ *睡蓮の眠りをキック蛙の子 *蛙の子つぼみ抱いてものおもい *蛙の子蕾を抱いて風わたる

          ことのはいけばな’22 立夏 第20侯『蚯蚓出』

          ことのはいけばな’22 穀雨 第18侯『牡丹華』

          花を活けるように、言葉を三十一文字他の器にのせて活ける。はなとことばを立てて相互記譜。七十二候のことのはとはなの旅。 *ふらここや春を慰め酔いもせず *ふらここの春の慰め少年忌 *ふらここの酔いどれ舟の牡丹花 *ふらここのほろよい舟や牡丹咲く *ぼうたんのほろほろ酔ふて散りぬるを *ぼうたんのほろ酔ひ濃きに夕まぐれ *春宵やぼうたん融けて月昇る *月の出にぼうたんはらり舞いあがる *ぼうたんのうつらうつらにほとけかな *ぼうたんの微睡をそのほほ杖で *ほほ杖は牡丹の花

          ことのはいけばな’22 穀雨 第18侯『牡丹華』

          ことのはいけばな’22 穀雨 第17侯『霜止苗出』

          花を活けるように、言葉を三十一文字他の器にのせて活ける。はなとことばを立てて相互記譜。七十二候のことのはとはなの旅。 そうだ、もう霜が降りることも無くなって、緑はうるうるふくらんで肺活量を最大にし、花は一斉に歌うのだ。人も肺葉をふくらませ、彼らの精と混ざってしまおう。目を花に、皮膚を葉に、胴体を幹に、足は動く根に、一挙手一投足が五感そのものの木になろう。  風と共にみどりなすからだが生まれる「あ うん あ うん」と。  テリハイバラはコーン状にぎゅうっと尖りて、ふはぁっと開

          ことのはいけばな’22 穀雨 第17侯『霜止苗出』

          ことのはいけばな’22 立夏 第19侯『蛙始鳴』

          花を活けるように、言葉を三十一文字他の器にのせて活ける。はなとことばを立てて相互記譜。七十二候のことのはとはなの旅。 》へそ岩で 見下ろす棚田に 間も無く水が引かれるという *水口のあたりでふたり雨蛙 *水を待つ草に並びて青蛙 *水音に頃合いかなとあまがえる *雨がえるぴょんぴょん田んぼ待ちきれず *青蛙卯の花影で深みどり *あまがえる隠れ身の術破れ笠 *あまがえる遠い目をして食べられる *あまがえる遠い目をして睦みあふ *空仰ぎシャワーコールす雨蛙 *ぞ

          ことのはいけばな’22 立夏 第19侯『蛙始鳴』

          ことのはいけばな ‘22 穀雨 第16侯『葭始生』

          花を活けるように、言葉を三十一文字他の器にのせて活ける。はなとことばを立てて相互記譜。七十二候のことのはとはなの旅。 百穀を潤す雨の降る季節。美し葦牙のくに。 *そこここでつのぐむくにや春惜しむ *葦牙のももいろに降る穀雨かな *「穀雨」とふ中華そば屋に抗えず *葦の牙遠き岸辺につのぐみて *ユーラシア春はめぐるも憂く暗く *ウクライナ卯の花腐し黒い雨 *卯の花をかざしてみどりの邦おもう *角ぐみて穀雨となりぬ美し国 *つのぐみを撫でて穀雨の虹渡る *つのぐみをつつ

          ことのはいけばな ‘22 穀雨 第16侯『葭始生』