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📚39【人間の証明】人質司法の実際 872

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人間の証明
勾留226日と私の生存権について

角川歴彦(1943年東京生まれ、早稲田大学政治経済学部卒業、1966年角川書店入社)

リトルモア 133頁
2024/6/27初版


帯 佐藤優氏推薦⤵️



「歴彦」と書いて「つぐひこ」と読むと知ったのは2022年9月。
東京五輪に関する贈賄容疑で新聞紙上に掲載されたときのこと。
角川春樹氏がコカインで逮捕されたときに「歴彦」という名前を見た気はするけれど、以降「れきひこ」と読んでも何にも困らなかったから。

事件については「角川って昔からいろいろと問題を起こすなぁ」という、無責任で漠然とした印象しかなかった。
東京五輪自体、「やめときゃいいのに」「他にお金をかけるところは、いくらでもあるでしょうに」と消極的だったので、新聞で見かければ小見出しくらいまでは読むという程度。

俄然、読む気になったのはこの広告(朝日新聞掲載)を見たから。
シワシワですけど、拡大してご覧になってくださいね。


まず錚々たる顔ぶれに圧倒された。
赤川次郎‼︎
内田樹‼︎
小川洋子‼︎
見城徹‼︎
林真理子‼︎
保坂正康‼︎
村木厚子‼︎
何なに、この豪華なこと‼︎

「世界から批判されている人質司法(赤川次郎)」
「公正であるという擬態を優先する人々に正義を語る資格はない(内田樹)」
「他者を尊重する精神を見失った人間がどれほど醜いか(小川洋子)」
「自白に追い込みたい検察の独裁と横暴(見城徹)」
「途方もない理不尽への闘い(林真理子)」
「この国は民主主義国家ではない(保坂正康)」
「有罪•無罪が決まる前から厳しい罰を受けるのです(村木厚子)」
とうです、この紹介文‼︎

そしてそして
「死なないと出られないんです」
「緊急出版」
「日米同時発売」
「基本的人権と尊厳は侵害され続けた」
「終わらせよう!人質司法」
「憲法と国連に訴えよう」
この扇状的な文言の数々。

何より私を捉えた衝撃的な言葉は
「この国はいつまで『人権後進国』なのか」?

人権後進国って……‼︎


いつものことながら付箋を貼り貼り。
写真はボケボケ。


ほんの一部ではあるけれど、抜粋していこう。

この手記は私の無罪を訴えるためのものではない。それはこれから始まる刑事裁判で争うことになる。(中略)拷問とも呼べる人質司法の非人道性、違法性を広く世に問いたいと考えたからである。

本書まえがき
太字は筆者

実現すべきは人質司法を禁止する法律の制定と、その犠牲になって地位や名誉、財産を失った人々を救済する補償制度の創設である。

同上

刑事訴訟法では、勾留期間は十日間が原則であり、「やむを得ない事由」がある場合に限り、十日間の延長が認められる。(中略)特捜部に逮捕されれば二十日間の勾留が当たり前になっており、そのうえ再逮捕、再々逮捕で四十日間、六十日間勾留されることも珍しくない

第一部 捕縛



連れて行かれた東京拘置所では、常用している内服薬の服用も許されず、健康状態が阻害された。

検察は「東京拘置所の医療施設は日本の拘置所の中では最高の水準である」とアピールするが、私からすれば不見識も甚だしい。(中略)
すべては応急処置、対処療法でもあり、治療と呼べるようなものではなかった。

第一部 獄窓 


その後、勾留の執行停止を申し立て検査入院。
一過性意識消失、新型コロナから肺炎、心房細動、薬剤性肝炎と、保釈後には骨粗鬆症による腰椎椎体骨折と診断される。

(人質司法という言葉は)被疑者•被告人が否認や黙秘をしている限り、長期間勾留されたり接見禁止を付されたりする未決勾留制度を指している。「無罪の主張をあきらめれば、外に出してやる」と身体を「人質」にして虚偽の自白を強要する手法は冤罪の温床となってきた。

第二部 人質司法

あらゆる領域にわたる自由の剥奪や劣悪な生活環境と不十分な医療体制は一種の拷問とも言える。

同上

特捜検察はメディア報道を利用して被疑者や被告人を「犯罪者」に仕立てあげ、世論の後押しを得て強引に捜査を進める。(中略)これはまさに現代の「人民裁判」である。

同上

検察は世論を操作するために自分たちに利する情報を意図的に記者にリークする。(中略)不利な報道をする記者には記者クラブや検察庁への「出入り禁止」と取材拒否をちらつかせて……

同上

人質司法は、強大な力を持つ検察が主導しながら警察•検察•拘置所•裁判所•メディアが一体となって維持されている「システム」なのだと実感し……

同上



ところで村木厚子氏といえば冤罪被害者として有名だけど、おやおやおや……

無罪確定後、村木さんと会った検事総長はこう語ったと言う。
「無理がかかっているのはわかっていた。だけど中からは変えられなかった
日本は刑事司法が全く自浄能力を失っていることを検察トップ自らが認め……

第二部 公共訴訟へ

人質司法の非人間性と憲法違反を国民一人ひとりに知ってもらうには訴訟を起こすしかない。(中略)勾留•保釈却下を違憲•違法とする「人質司法違憲訴訟」を起こすことを決意した。

同上

この訴訟は角川歴彦氏の個人の被害を救済するためではなく、無罪獲得を目指す刑事訴訟とも別。
原告は角川歴彦氏、被告は国。
長期間の身体拘束•精神的苦痛•生命の危機に対する慰謝料を求める国家賠償請求の形を取る。

最後になったけれど、「人間の証明」は故森村誠一氏の代表作。
タイトルの使用依頼に対し、ご遺族である妻様は「光栄です」と答えられたそうです。



ご高覧ありがとうございます。





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