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ファンタジー小説『Aldebaran・ Daughter』【執心篇10】斜光で欠けゆく鋒鋩(vs水の蟹)後半①
「エリカ殿、属性付与を頼む」
声をかけられた彼女は、左斜め後ろへ振り向いた。いつもと変わりないオリキスの表情を見て、不安が少しほぐれる。
(早く、行動に移さなきゃ)
今回の敵に関しては出だしが狂うと、先制攻撃を仕掛けても悪い流れで戦闘を開始することになりかねないという説明はされていた。
うかうかしていたら水の蟹が振り向いてしまう。
エリカは腹を括り、深く息を吸い込むと、バルーガに右
Aldebaran・Daughter【執心篇5】始まりの裾を炙る(vs火の妖精 前半)
三人は合流して潮の胃袋へ入り、梯子を下りて地面に足を着ける。
バルーガは左斜め後ろに立つエリカのほうへ顔を向けると、革製のガントレットを嵌めた右手の親指で自分の顔を差した。
「今日はオレたちも戦う。広間へ着くまでのあいだ、おまえは退がって力を温存しろ」
「何もしなくていいってこと?」
「そうだな。一度に四体以上を倒さなきゃいけなくなったら加勢してくれ」
エリカは目を丸くし、バルーガの