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エッセイ

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2020年4月の記事一覧

愛すべきディズニープリンセスの中でベルだけがどうしても愛せない

愛すべきディズニープリンセスの中でベルだけがどうしても愛せない

 昨日の金曜ロードショーは観なかった。なぜなら『美女と野獣』のベルはディズニープリンセス史上最も気に食わない女だからである。

 わたしの母は白雪姫が嫌いだと言う。その理由は「ディズニープリンセスの中で1人だけかわいくない」「ドレスが変」などらしい。
 確かに他のプリンセスと比べてみると、絵柄が少し古いからか、確かに少し垢抜けない感じはある。チークの入れ方が野暮ったいのだろうか。それか聖子ちゃんカ

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最高に美しくて愛おしくて痛い恋愛映画『君の名前で僕を呼んで』の話

最高に美しくて愛おしくて痛い恋愛映画『君の名前で僕を呼んで』の話

 映画が大好きで、あと映画館という場所が大好きで、映画をよく観る。映画についてインターネットで記事を書いて、それでお金をもらっていたことがあるということもあるかもしれないが、1年にだいたい映画を100本ほど観た。今回はその中で、最も記憶に残っている作品のうちの1本について書こうと思う。

 『君の名前で僕を呼んで』という作品である。イタリアの監督、ルカ・グァダニーノによる作品で、第九十回アカデミー

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生きづらさは「愛」では治せない。発達障害の診断を受けて少しだけ生きやすくなった話

生きづらさは「愛」では治せない。発達障害の診断を受けて少しだけ生きやすくなった話

 昨年秋、発達障害の診断を受けた。いわゆるADHDである。

 なんとなく「あ、自分ADHDってやつかも」とはっきりと思い始めたのは昨年春、就活中のことだった。
 まず予定の管理が絶望的に下手である。説明会だと思って会社のビルに行ったら1日間違えていたり、面接をダブルブッキングどころかトリプルブッキングしてしまって半泣きになりながら人事の方にメールをしたことは2,3回ではすまない。
 そして物忘れ

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『グレイテスト・ショーマン』がどうしても気に食わない

『グレイテスト・ショーマン』がどうしても気に食わない

 タイトルの通りである。

 実はわたしはかなりの映画好きで、過去には映画ライターみたいなお仕事を少しだけやらせていただいたこともあるくらいだ。ブルックリンみたいな服が好みだしクリステン・スチュアートのような大人になりたいし、好きな女優はルーニー・マーラだし、生まれ変わったらエズラ・ミラーになりたい。最近だと『パラサイト』より『スウィング・キッズ』が好みだった。グザヴィエ・ドランと今敏が好きで、マ

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大嫌いな「おばあちゃん」へ

大嫌いな「おばあちゃん」へ

 昔から母方のおばあちゃんが大好きだった。小さい頃ブラジルに住んでいたんだけど、おばあちゃんは英語が一文字も読めないのに、わたしの誕生日プレゼントを届けるためにたったひとりで3日以上かけて会いに来てくれた。

 わたしが中高を卒業したときも、大学に受かったときも、おばあちゃんは自分のことのように喜んでくれた。今おばあちゃんは体が不自由なので施設で暮らしているんだけど、少しでも長く生きていてほしいと

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羊水と酸素

羊水と酸素

 母なる海とかいうけど、あの海以外を故郷だと思ったことはなかった。東京は便利だし楽しいけれど愛せない、日本を故郷だと思ったことは一度もない、愛国心というものもどこにあるんだか知らない。トランジットのBA航空のラウンジで今、この文章をiphoneで書いているけれど日本に「帰る」とは決して言えない。

 四日前の今頃はキックボードで買いものをしていた。町のそこらじゅうにキックボードが置いてあって、アプ

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憧れていた早稲田を愛せなくて、わたしは苦しかった

憧れていた早稲田を愛せなくて、わたしは苦しかった

 皆さん卒業おめでとう、わたしも先日4年間過ごした早稲田大学を卒業しました。

 こういう世の中だから卒業式がなくなって、その知らせが来たときTwitterのタイムラインではみんなが残念がったり悔しがったり悲しんだりしていて、でもわたしは卒業式に行くつもりがなかったから特に何もなかった。強いて言うなら、袴をわざわざレンタルした子たちかわいそうにな…とか。

 卒業式に行くつもりがなかったのは、袴に

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