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プールの季節に



保護者の力になりたくて


私の職業は養護教諭(保健室の先生)です。

特別支援学校に勤める私は昔から、保護者の力になりたいと強く思っていました。

お子さんに障がいがあるというのは、大変なことだろうと思うからです。

(もっとも、自分が親になると、障がいの有無にかかわらず、親という時点でものすごく大変なのだと痛感することになるのですが)

保護者は、障がいのある子どもたちの人権を守っていくという仕事の大先輩であり、協働者です。

保護者の努力に報い、学校職員として何ができるかを考える日々です。


学校には、学校保健委員会という組織があります。

これは、養護教諭・栄養教諭などの保健関係者、校長などの管理職、小学部・中学部・高等部の部主事、校医、保護者代表などがメンバーです。


ある年の学校保健委員会で、わりと熱血な食育の取組を発表させていただくと、重度の障がいがある子の保護者が喜んでくださいました。

私も嬉しくて、翌年には、高等部の体育のT先生に、彼が行っていた「障がいが重度の生徒たちの運動量を確保する」という内容の取組を報告してもらう運びとなりました。

授業を見させていただいたのですが、生徒たちが本当に生き生きとした嬉しそうな笑顔で身体を動かしていたのです。


思いがけないバッティング


ところが、困ったことが起きました。学校保健委員会は7月で、プールの時期でした。そして、もろにT先生の学年のプールと重なっていました。

生徒たちの状況からしても、T先生が抜けると、授業の安全が確保できません。

だから、プール割り当ての案が出た時点で、それに気付いて変更してもらっておけばよかったのですが、そこまで気が回りませんでした。大失敗です。


前代未聞の対応策


結局、T先生が学校保健委員会で抜ける代わりに、高等部の部主事と高等部担当の教頭がプールに入ってくれることになりました。お二方とも、学校保健委員会のメンバーで、こんなことは前代未聞です。


学校保健委員会の当日、開催の前に私はぐっと耐えるような心境で過ごしていました。

自分がやっていることの責任を、重々に受け止めていました。


そのとき、思いがけないことが起こりました。


いきなり外でザーッと大きな音。



大雨です。



プールは中止です。


プールを楽しみにしていた生徒たちにとっては残念なことでしたが、学校保健委員会のほうは、教頭も部主事も参加した本来の形で行うことができました。

そして、T先生の発表で保護者が喜んでくださり、身体を動かすことの大切さや各学部の状況を皆で話し合って、有意義な会合となったのでした。



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