マガジンのカバー画像

家族のこと

22
私は家族が大好きです。変わり者で破天荒な父と優しく器のでかい母、ちょっと早めに空へかえった兄の話を主に書いています。
運営しているクリエイター

#日記

父と娘

父と娘

私はnoteでもTwitterでも家族のことをよく話題にしている。
1番身近にある豊富なネタだ。
父も母も私にとっては幼い頃から「そういうもの」として存在しているが、周りから観ると2人ともなかなかのハードパンチャーらしい。

幸い家族の関係性は悪くなく、むしろ良好と言える。
実際noteでもTwitterでも「ほっこり家族エピソード」や「実録ポンコツ家族ストーリー」を書いている。(つもりである)

もっとみる
父と七夕

父と七夕

父の胃がんの手術から10日が経つ。

当日はとにかく長かった。
9時間もの長い時間を、母と私は院内の一角にあるラウンジで過ごした。

ラウンジの近くには売店(ローソン)があった。
患者さんやその家族、ときには職員さん達が買い物をするためにひっきりなしに売店にやって来た。
そしてそこで買ったものをラウンジで飲み食いしていた。

母と私も特に飲みたいわけでもないが何となくコーヒーを買ってテーブル席へと

もっとみる
父の薬

父の薬

最近の私は職場でも薬のセットをして、実家でも薬のセットをしている。

81歳の父、70歳になろうという母どちらもこれまで健康であり、定期的な受診や内服薬とは無縁の人たちであった。

父は去年の冬に新型コロナに感染した。
年齢も年齢なので心配していたが微熱と関節痛くらいで軽症であった。
その後、数日間あけて母と私も感染したが母が最も症状が強く救急を要請したほどであった。

「俺のせいでお前達に感染さ

もっとみる
忘れていくこと

忘れていくこと

近所に住む高齢男性が最近よく下着姿でウロウロしている。
1軒1軒ご近所のお家の表札をじっと見て指でなぞったり、門扉の把手をガチャつかせたりすることもあるそうだ。

私はそのオジイをよく知っている。
小さい頃から可愛いがってくれていたから。
よく声を掛けてくれていたから。
「かをちゃん、おかえり!」
「かをちゃん、運動会がんばれよ!」
「かをちゃん、ちぃとスカート短かすぎやしねえか」
「かをちゃん、

もっとみる
手術日も父は父だった

手術日も父は父だった

父の1回目の胃がんの手術が無事に終わった。

今回の手術は胃の下の方にある平べったいがんを内視鏡で切除するものであった。
上部の大きながんの手術(開腹術)はこの後に控えている。

父の「出来れば全摘ではなく1センチでも良いから胃を残したい。」という希望は、今回の手術が成功しない限り叶うことはない。

そのため今回の手術はとても大事なものであった。

見出しに使用した写真のバラは、去年の母の日に父が

もっとみる
近づく入院日

近づく入院日

父の入院日が近づいてきた。

今回の入院では胃の下方にある比較的ライトな癌を取る手術なので、さほど長い入院期間にはならない予定だ。

父が手術を受ける病院は実家からバス→電車→バスと乗り継いだ先にある。
遠くはないが近くもない。
70歳の母と杖歩行(長距離時)の私にとっては遠く感じる。

洗濯物を預かったり届けたりするのも大変だろうと考えた私は「お父さん、パジャマとかタオルはリースで良いよね?病院

もっとみる
父の決断

父の決断

最近の父についてである。
簡単に言うと普通に過ごしている。 

父の「普通」が一般的に「普通」かどうかは今は置いておくとして、とにかくリウマチであることも進行性の胃がんであることも本人も家族も忘れてしまうほど普通に過ごしている。

先日、外科チームの医師達から手術に関する説明を聞いてきた。

「胃の下方にあるものは開腹しなくても取れる可能性がある。
上方のクソデカがんは開腹術となる。
この場合は二

もっとみる
水族館に行こう

水族館に行こう

むしむしジメジメとイヤな気候になってきた。
これから蒸し暑い梅雨が来て、それをやっと乗り越えると今度は暑い暑い夏がやってくる。

…いやだ!!!

湿気だいきらい。暑いのも苦手。
今も半袖に可愛いステテコでドライをかけた部屋でnoteを書いている。

もうちょっとだけ涼しくなれないものか、と考えて良いことを思いついた。

涼しげな画像でも見ようではないか。

私は水族館が好きだ。
夏になるとあちこ

もっとみる
待合室にて

待合室にて

父の付き添いで病院に行くことが増えた。
いつ行っても混んでいる。

その病院ではまず機械で受付をし、受付票に印字されている番号で検査や診察の順番を案内される仕組みになっている。

父は今日1日「532番」と呼ばれる運命だ。

待合室の壁には大きなテレビ画面のようなモニターが数台設置され、そこに数字がずらりと並んでいる。

「今は○番の患者さんが診察中なのか」
「次は○番が呼ばれるんだな」
「お父さ

もっとみる
春待ち得たる

春待ち得たる

わたしは猫を見かけただけで幸運だと思い
美しい空と雲も幸運と思う。
仕事が楽しいのも幸運。
仲間にめぐまれ、皆でげらげら笑えるのも幸運だ。
美味しいゴハンも幸運で、ぐっすり眠るのも朝おきられるのも幸運。
虹が見れたら特大の幸運だ。

美しい桜🌸を見ることが出来るのも当たり前じゃなくて幸運だ。
今年も大事な人たちと桜がみたいなあ!

今日は父さんの胃がんの状態について
今後の治療方針について
担当

もっとみる
父が泣いた日

父が泣いた日

年明けにリウマチと診断され、その治療が開始となった途端に胃がんが見つかった父。
リウマチと胃がんの両方を診てもらえる病院を紹介され、先日はじめてその病院を受診してきた。

病院へ向かう途中「実を言うと俺はまだ半信半疑なんだ。こんなにメシが旨いのに胃がんなんておかしいよ。」と父は何度も繰り返した。
そう思いたい気持ちが強かったのだろう。

そんな父の期待を裏切り、診察室で見せられた画像では胃の上方に

もっとみる
父は空を飛びたい

父は空を飛びたい

私の父は80歳を越えている。
年齢だけ聞くと「おじいちゃん」のイメージを抱くだろう。

しかし父は未だに野球の審判をしている。
無駄に走ったり跳んだり、鉄棒にまたがり両手で鉄棒を握り体を真横に倒してグルングルン回転したりしている。(何のためにそんなことをするのかは分からない。)

コロナ禍になる前は行き先も日程も何も決めない1人旅にしょっちゅう出掛けていた。
(年齢的には徘徊と呼ばれてもおかしくな

もっとみる