なぜ三菱商事が平均6.5%のベースアップを実現できたのか?~総合商社が儲かっている理由~
こんにちは!
就活アドバイザーで、総合商社4年目営業のYasuと申します。
普段は就活関連の記事を書いており、オンラインでも就活相談に載っております。
関心のある方は以下のリンクをご参照ください!
皆さんは以下の三菱商事のベースアップに関する、ニュースを知っていますでしょうか?
商社志望の方で知らない方はぜひ読まないと、まずいですね。。
要約しますと、三菱商事が平均給与の6.5%ベースアップ、及び新卒の初任給を5万円アップする方針を決めました。
総合職の初任給はついに30万円の大台を超えて305,000円となりました。
総合商社の初任給は高くてありがたいです。
初任給は大抵の場合、三菱商事フォローで他4商社も続くことが考えられますので、業界をあげた動きになる可能性もありますね。
物価高に応えたベースアップと説明していますが、他の企業と比べても、三菱商事のベアの上げ幅が大きいのは明らかです。
トヨタ、日産、ホンダの賃上げは以下です。
では、なぜ三菱商事がこれほどのベースアップを実現できたと思いますか?
社員への思いがあっても、会社のキャッシュがないと実現できない決定ですよね。
今回は、三菱商事があっさりベースアップを決められた理由を、キャッシュ事情説明します。
三菱商事が大幅なベースアップができた理由
結論から申し上げますと、
現在の総合商社業界は類を見ないほど、儲かっています!
以下が5大総合商社の2022年度第3四半期(12月まで)の純利益になります。
%は前年同期との比較です。
ご覧の通り、5大総合商社の中でも、三菱商事の純利益上昇幅は一番高いことが分かりますね。他の三井、住友、丸紅も30%-40%近い上昇幅です。
ここでもう一個注目してほしいのは、伊藤忠が昨年と横ばいで、それほど成長しておらず、三菱・三井と比べて差を付けられてしまっている点です。
なぜ、事業内容が似ている総合商社内でこのような差が生まれているのでしょうか?
三菱商事の強み① 資源分野が強い
まずは、三菱商事のセグメント別純利益を見てみます。
三菱商事の特徴1つ目として、石炭を始めとする資源分野がとても強い点があります。
私が上で話していた資源分野とは、天然ガス、金属資源、石油を指しましいて、上記の表からすべて合計すると、5,381億円。
全体が9,557億円なので約6割が資源分野での収益と言えます。
22年度は21年度と同様にロシア・ウクライナ問題から天然ガスや金属を始めとする供給不足から資源価格が高騰しておりまして、鉱山の権益を持っている商社はかなり儲けられた印象です。
三菱商事は石炭を始めとした金属に強みがありますので、この分野で潤っております。
ただし、天然ガスのチャート(月足)で見ますと、既にピーク時の4分の1まで落ち込んでいますので、23年度はしっぺ返しがある可能性がありますね。
一方で、伊藤忠商事は財閥系の商社と比べて、コンシューマー寄り(消費財)系のビジネスに強みを持つ商社です。
具体的にはアパレルを始めとする繊維業界や食品分野に強みがあります。
そのため、上記のような資源価格高騰による純利益の底上げをあまりエンジョイできずに、今回差を付けられてしまったのと考えられます。
逆に言いますと、3年前に資源価格下落によって三菱商事、三井物産が減損を強いられた際も、伊藤忠は堅調な利益を上げていました。
資源分野は、ハイリスクハイリターンのホームランバッター
非資源は、ローリスクミドルリターンのアベレージヒッター
市況によって各社の純利益に特徴が出ることも留意しておきましょう。
三菱商事の強み② 他の新事業分野も調子がいい
三菱商事は、資源分野だけでなく、他の新事業分野でも好調が続いています。
代表的な例ですと、再生可能エネルギーや電気自動車への投資により、
クリーンエネルギーへの需要にもこたえ、利益が出ています。
また、ヘルスケア分野、特に診断薬や医療機器の分野への投資は収益性が高いです。パンデミックによるヘルスケアの需要増に加え、先進国での高齢化社会の進展が背景にあります。
フィンテック分野への投資も、デジタル決済ソリューションやオンライン・バンキング・サービスの導入拡大により、好結果をもたらしました。
こうした医療やDXなどのトレンドを先回りして、効率性の向上とコスト削減を進めたことにより、収益向上につながったのでは?
と個人的には分析しています。
まとめ
三菱商事が今回大幅なベアと初任給の5万円の引き上げを実現できた背景には、①資源価格の高まり、②新事業への投資の成功がありました。
上記で稼いだ潤沢なキャッシュフローによって、更に優秀な人材を獲得すべく、今回の給与改定に乗り込んだものと考えられます。
ただし、上で話しました通り、足元の資源価格は既に下がってきていますので、24年度以降の5大総合商社のランキングに変動がある可能性もありますね。
就活生の皆さんは、こうしたニュースを表面的に見るのではなくて、
・なぜ三菱商事がこの方針を取ったのか?
・財源はどこから確保しているのか?
・なぜ純利益が高いのか?
など自身で分析してみるといいですね。
ニュースを多角的に深く分析してみると、他の就活生よりも実りのある企業研究ができるのでおすすめです。
総合商社関連の記事も貼っておきます。
<ライバルと差を付けよう!>
今後も就活記事書いていきますので、宜しくお願いします。
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