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高校生の将来性→地域の可能性

中島:1992年生まれ福島県出身。日本大学工学部建築学科卒業後、地元市役所に建築技術職として入庁。紆余曲折を経て一念発起、2021年にブルースタジオに入社。元公務員としての経験を活かし、bpm事業部シニアコンサルタントとして人生爆走中。三度の飯より酒が好き。

藤森:1996年生まれ長野県出身。雑誌編集部員の時に見たブルースタジオの「まちを編集する」のフレーズにグッと来て2022年入社。クリエイティブディレクター大島芳彦のアシスタント、またコンサルタントとして日々奮闘しながら今年からbpm事業部に配属された公共1年生。得意技は野沢菜を漬けること。

藤:公共事変、第8回です!
先週末はGWでしたね〜!ナカジマさんは帰省、されました?

中: 前半は帰省したよ!地元の友達に会ったり、大学時代にバイトしてた居酒屋のモツ焼きと梅割りが飲みたくなっちゃって飲みに出たり充実してました〜!(にんまり)
フジモリくんは?野沢菜漬けた?笑

藤:モツ焼きと梅割り最高!
自分も帰省してました!気持ち的には年中野沢菜漬けていたいところですが、冬しかできないので代わりに夏野菜の準備しに〜!5月は気候が良くて最高です🌿
そういえば、今年から上京したり地元を離れた学生や新社会人にとっては「初めての帰省」になりますね!駅でもそれっぽい若者を見かけてほっこりしてました。

中:冬季限定なのね、知らなかった(笑)
でも帰れる地元がある安心感って良いよね〜!東京生まれ東京育ちの人に「帰省」っていう概念が羨ましいって言われた時は新鮮だったな〜
つまり我々地方出身者は東京に出稼ぎに来ているわけですね(笑)
ちなみにフジモリくんが上京した理由は何かな?

藤:自分は大学に進学するために高校を卒業して上京してきました!

中:首都圏に住んでる地方出身者って大体はそんな感じだよね〜。
地方にいくほど、高校卒業して進学するタイミングで地元を離れる若い人は多いよね。
それ自体は悪いことじゃないというか、私は福島の大学に進学したけど地元の同級生はほとんど東京の大学に進学したし、それを羨ましく思うところもあったし。
あと、やっぱり地方にいるだけじゃ得られない知識とか経験が都会にはあるな〜とも思うよね。

”若者の地元離れ”

中:でも地方にとっては、都会に行った若い人が帰ってきてくれないことが問題になっていて。理想は東京の大学で勉強して色んな経験を身につけて、最終的に地元に戻ってきて欲しいってところなんだけど、なかなかそう上手くいっていないわけで...。
理由は人それぞれあると思うけど、フジモリくんはなんで地元に帰らず東京で働き続けてるの? 
藤:出た!地方について語るとき避けては通れない「若者の地元離れ」…
なんで東京に居続けているか...そうですね、東京なら映画観たいなと思ったらすぐ映画館に行けたり、面白い展示がやってたりする場所に気軽に行けたり、そういう刺激を得られる機会が多いっていう側面もあるんですけど、そういう話の前に、やはり地元にやりたい仕事がないから、っていうのは大きいかもです。
自分も地元はとても好きですけど、地元で働くっていうのは今の自分の状態では想像がつかないですね…

中:「やりたい仕事がない」っていう理由、よく分かるし、よく言われる話なんだよね...。
正確には「職種とか働き方の選択肢が少ない」っていうことかなと思ってるんだけど、それを改善しようってなると極端な話「起業創業して欲しい!」とか「企業を誘致します!」っていう話になるんだよね。
それも大切なことなんだけど、少しハードルが高いというか、民間に決定権がある話だから、どんな自治体でも簡単に取り組んで分かりやすい結果を出すのは難しいと思っていて。

藤:こういう仕事がしたいと明確には決まっていないけど、自分のしたいことを見つけたいっていう人からしたらとりあえず選択肢が多い首都圏に行くか…ってなりますもんね。
自治体が若者のやりたいことを見つけてあげる訳にもいかないですし….
行政が他にできることって何かありますかね。

中:自治体も若者にUターンで移住して来てほしいとは思いつつなかなか難しい課題だよね。移住といえば前に関係人口を増やすっていう話をしたと思うんだけど、Uターンの対象になってる人たちは、以前は住んでいた訳だからすでに関係はあるんだよね。
「地元だから」きっかけがあれば、縁もゆかりもない人より移住してもらいやすいんだけど、逆に「地元だから」都会と比較して嫌なところが目についちゃって移住しない、っていうこともあると思うんだよね。
だからUターンの場合、地元に帰るっていう選択をしない理由の根幹にあるのは、地元に住んでいる学生の頃に「地域の魅力を知らなかった・繋がりがなかった」ことが大きいんじゃないかなと思っていて。

藤:地域と繋がれていないってことですか。

地元を知るきっかけがない

中:うん。実は、繋がりがないっていうのには理由あって...。
例として、お互いの高校生の頃を振り返ってみよっか。
フジモリくんの高校は、県立?市立?

藤:県立でした! 

中:私も県立高校だったんだけど、この県立っていうのがミソで。
東京とかの都市圏は、私立の学校に行く文化が普通にあるし、人口も多いから市立・区立高校なんかも成立するよね。
でも地方は、どちらかというと公立に進学する人の方が多いし、人口が少なくて学区が広がる分、県立の高校が多いわけです。
で、県立高校の教育方針とかを決めていくのは県の教育委員会になるのね。となると、県立高校が立地してる市町村が、◯◯高校の生徒と◯◯市のまちづくりに関わるプログラムを導入したい!みたいな話ってかなり通しにくいんです。

藤:〇〇市にある高校だけど、県が管轄しているから地元市町村と連携を取りづらいのか…!

中:小中学校は学区が小さいから市町村立になるので、自治体の判断で色んなことをやりやすい方なんだけどね。
とは言え、そもそも教育委員会は行政とは別組織なので、それまた難しい問題もあるんだけど...それはまた今度ね...

藤:高校生が自分の通っているまちについて考える機会がなかなか得られないのはそういう仕組みがあるからでもあるんですね...確かに小学校の時は地域学習みたいなのはあったけど、高校生の時はあまり記憶にないかもです。

中:それでも最近は、シビックプライドを育む教育が重要視されてきて、カリキュラムの中に地域学習みたいな時間が作られたりしてるから、少しずつ変わってきているんだけど。
学校の中だけじゃ得られないものは山ほどあるし、学校教育として地域の「人」と繋がるとなると、「先生と生徒」みたいな位置付けにしかなれないっていうのが勿体無いというか...

一歩先をいく、かっこいい先輩がいたならば

中:ちょっと話が変わるけど、フジモリくんは高校生の時、進路のこととか将来のことって誰に相談してた?

藤:うーん、やはり親とか先生とはそういう話をしたような覚えがあります。

中:そうだよね、私も学校の先生とか親に相談してたかな。
でも高校卒業って、「自分で自分の未来を考えて選ぶ」っていう人生でかなり重要なタイミングでしょ?
高校生って大人と子どもの境目だと思うから、これから自分がやりたいこと・やりたくないこと・できること・できないことを、自分の責任で判断していくスタートラインにいるわけで。

もちろん学校の先生とか親に相談することは必要だけど、それだけじゃない価値観に触れて考えるきっかけがあったら、今とは違う選択がどこかであったかもしれないなって思っていて。

藤:確かに学校とか塾、家庭でもない身近な場所で自分のこれからについて話せる機会ってなかなか無いのかも...

中:私の場合は、大学で建築とかまちづくりを学んで、卒業してからも色んな経験をして今の仕事をしているからこそ、当たり前のように「地元のために何かしたいな」って意識するし考えるようになっただけで。

でも例えば私は工学部=理系なんだけど、得意科目は文系ばっかりだったのね。ちなみに数学は大嫌いだったんだけど(笑)
身近に文系の大学に行ってる先輩がいて、「将来はこんな面白い仕事ができると思ってる」みたいな話を聞かされてたら、そもそも建築学科には行かなかったかもしれないし、
地元にグラフィックデザインの事務所をやってるおしゃれなお兄さん・お姉さんがいて関わってたら、「大人になったらこの事務所で、この人たちと仕事がしたい!」って思っていたかもしれないし。

藤:地方の高校生が首都圏に行きたがるのって、都会のキラキラしたおしゃれな大人への漠然とした憧れがあるからでもあると思うんですけど、身近にもいたらいいですよね。

地域との関係性への種まき

中:そう!通学路の記事でも言ったけど、子どもの頃に関わる大人って、大人が意識して関係性を広げてあげないとすごく狭い範囲でしか関われないでしょ?

進学で東京に行っちゃった先輩とか、20〜30代の働き盛りで都会のことも知ってる「かっこいいお兄さん・お姉さん」的な人と身近に関われる環境があると、「都会じゃなくても、かっこいいキラキラした大人になれるんだ!」みたいな意識が生まれると思うんだよね。

藤:確かに今後の人生を左右するかもしれない大きな決断をしなきゃいけないけど、判断材料となる情報は少ないですもんね!自分が経験したことを教えてくれて一歩先にいる少し年上の人っていう存在がいたら心強いかも。

中:地元で頑張ってる「かっこいいお兄さん・お姉さん」がいるっていうのは、たぶん一番理想だろうなと思うんだけど、それだけじゃなくても良いとも思うんだよね。

何に興味を持つかは人それぞれだし、興味を深めていくタイミングが高校卒業・大学進学の時期なわけだから、地域に「今あるもの」を高校生に対して魅力的に見せて関わらせてあげるっていうのがとても大切で。
前に関係性のグラデーションという話をしたけど、濃度とか密度を上げるための種まきをする、みたいなイメージかなあ。

藤:フジモリも高校生の時、そんな関係性があったらよかったなと思っちゃいますね。笑

中:ほんとにね、私も欲しかった!べつに後悔はしてないけど、単純に「もっと楽しかっただろうな〜」って思うよね(笑)

心を寄せられる場所を増やしていく

中:とまあ、長々と色んな話をしてしまったけど、何が言いたかったかというと、まちの中に高校生の居場所をどれだけ作れるか?というのが、Uターンしてもらうことや関係人口の「関係性の濃度」を上げていくためには重要なんじゃないか?ということです。

でも関係人口の話も、最終的に全員が「地元をどうにかせねば!」みたいな使命感に燃えるべきということではなくて、地元のことを思い浮かべた時に、親・兄弟・友達以外にも具体的に「あのお店の◯◯さん、元気かな〜」とか「よく行ってたあのお店の味、久しぶりに食べたいな」とか、心を寄せる相手・場所を増やすことだけでも良くて

藤:確かに。町おこしとかいうとスケール大きいし、興味あっても参加するのに躊躇しちゃうひとはきっといますよね。

中:ネットの情報なんかより口コミで広がる情報の方が熱量は高くて、魅力も伝わりやすいから、「移住者を増やしたい」っていう関係人口創出の最終目標にとっては、薄く多くの人に情報が広まることよりも、熱量が高い歩く広告塔みたいな1人を生み出して「移住意欲が高い関係者」の母数を増やすことの方が大切だったりするわけです。

そういう可能性を秘めてるのって、絶対に高校生だと思うんだよね〜

藤:高校生の生活圏からまちを眺めると新たな発見もありそう!まちのことを考えると同時に高校生のことも考えたいものです!

中:そんなわけで今回は、そんなわけで今回は、心は永遠のティーンエイジャー★ナカジマのノスタルジーをお届けしました!
高校時代に思いを馳せながらお酒を嗜みたいと思います〜
次回も、お楽しみに!


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