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【読書】Believe It|否定されても粘り強く信念を貫くこと

Believe Itという本を読みました。12億ドルで化粧品会社を世界的大企業であるロレアルに売却した話です。

かといってありきたりな起業家、すなわち超難関大学の優等生が起業して成功したエリート的な話ではありません。

著者自身が皮膚の病気になったことをきっかけに、肌に優しい化粧品を作ったのです。そして美人モデルではなく、肌にトラブルのある人をモデルに採用したのです。

結果的に著者のように成功する人ばかりではありませんが、不屈の精神は見倣うところがあります。

ノーと言われても信念を貫こう

著者は金もコネもなく、リビングでビジネスを始めました。そして肌に優しい化粧品を製造業者と協力して作り、色々な会社や番組、お店などに売り込みます。

しかしことごとくノーをくらいます。無名な会社の商品を扱ってくれる変わりものなんて滅多にいないのです。

この辺りユーグレナのミドリムシの話を思い出しますね。500社回って、ことごとく前例がないことを理由に断られ、500社目で変わったものを採用してみようという会社に出会えたという話です。

著者の会社も何年もノーを食らい続け、資金もギリギリ、しかも1週間の労働時間は100時間と超絶ブラックな働き方です。もう最悪で嫌で嫌で仕方ない状況でしょう。

それでも著者は化粧品業界に疑問を抱いていました。モデルはみんな一般人とはかけ離れた美人であることに。現実とかけ離れた理想をモデルとして宣伝して、現実の自分とはかけ離れていることに。

だから等身大のモデルすなわち肌にトラブルがある人や高齢者、有色人種などをモデルに使って宣伝します。一般人を基準に考えたのです。

そうやって長年かけて少しずつ共感を得て、TVショッピング番組に参加するチャンスを得ます。そこで多くの専門家がせっかくのチャンスだから失敗しないよう美人のモデルを使えとアドバイスします。

しかし著者は自分をモデルにすることに決めます。そして自身の肌の病気をそのまま見せます。そして共感を得ます。ここから少しずつファンを獲得していきます。

何が大事かというと、自分はこうした方がいいと思う、世の中のこういうところは変だと思うという想いがあるなら、どれだけノーと言われてもやり抜いてみることです。

著者は何年もノーと言われ続け、激務を続けても、信念を貫いて成功しました。

私も疑問が沢山あります。仕事は言われたことだけやればいい、嘘や責任の押し付け合いは日常、残業は美徳などです。いずれも仕事の世界では当たり前のごとく蔓延っていますが、私は納得がいきません。

だからこれらを否定したマネジメントを貫いています。その結果、残業せず顧客の信頼を得る働き方を長年に渡って実現できています。ちなみに私がいるIT業界は残業が多いことで有名です。

最近はだいぶマシになってきていますが、理不尽な終電、徹夜、休日出勤などが当たり前のごとく蔓延り、残業すればするほど頑張っていると言われる業界です。

恥ずかしがるな

本書ではタマのついたリスが登場します。リスがタマをぶん回して見せびらかしている絵が登場するのです。それを著者とその友達が見て笑うと言うのです。

最初私は首輪に鈴でも付けたリスか、それかヘンテコな鎖鉄球(どんなのだよと思いますが)でも持っているのかと思いましたが、読んでいるうちにどうやら下ネタ的な意味なのかなと思うようになりました。だとしたらそんな絵はギャグでしょう。見たら著者たちのように笑えそうです。

重要なことは、このリスのように恥ずかしがったり周囲のノーに対して委縮したりしなくてよいということです。むしろこのリスのように堂々としろということですね。

人間は誰しも自分が一番大事で、自分で気にするほど他人は自分に関心がなく、ストーカーでもない限りは自分を細かく観察することなどないのです。だから恥ずかしがらずやってみればいいのです。

でもこのリスみたいなことをしたら露出狂ですのでダメですよ。あくまでもこれくらい恥ずかしがらず自分を貫いてみようということです。何かを成すなら必要ですね。

失敗談が書かれている

著者は着々と顧客を増やして、最終的には世界的な化粧品大手企業であるロレアルから買収話を持ち掛けられます。そしてロレアルから12億ドルを提示されて売却します。

こういう成功談は成功した話ばかりが書かれます。そんなこと現実には起きないよというような成功話ばかりで、中心にいる人物がいかに優秀で恵まれていて、素晴らしいアイディアを持っていたかばかり書かれます。

しかし著者はそういうことはせず、失敗したことや長年に渡って散々ノーを突き付けられたこと、苦悩したことなどを堂々と書いています。

著者自身が肥満であることや、肌の病気で肌が荒れていることを堂々と書いています。そして著者自身が実は養子であり、実の両親は学生時代に1回だけ関係を持ったら、その1回で妊娠してしまったので育てられず養子に出したこと、育ての両親はトラブルがあって離婚したことなどが語られています。

複雑で決して恵まれているとは言えません。それに著者は起業前はリポーターをやっていたようですが、年収2万3500ドルと約300万円くらいです。極めて平凡ですね。

普通だったら本人も出版社も隠したいようなことを包み隠さずに著者は書いています。なぜなら綺麗でピカピカな経歴の人ばかりではなく、誰しも人生には山や谷があり、失敗や挫折があるからです。

私も失敗だらけの人生です。でも失敗から学べることもあります。成功したら学ばず済ませてしまいそうです。失敗については他にも記事を書いています。

終わりに

大雑把にまとめてしまうと、恥ずかしがらず、信念や想いを貫いて、夢を実現しようという話ですね。でも家族や友人との関係を大事にしようという話も出てきます。

失敗が多い、上手く行かない、どんなに頑張っても認められないということは人生にはあると思います。ない人はよほど恵まれている人か、よほど何もしていない人でしょう。

ちょっとやそっとで上手く行くわけはなく、粘り強く続ける必要があるのです。そのとき想いや信念が原動力となるのです。そして恥ずかしがらず、否定されても続けてみましょう。

著者は世間の多くの人を励ましたいのだと私は受け取りました。

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