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掌編小説、随筆

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掌編小説と随筆をまとめています。
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#日記

生き切るという癌

生き切るという癌

 物事には終わりがあり、さらに始まりがあるもので、それらを繋げて環が出来上がり、永遠が続くということもあるようです。

 僕の最近の調子、要するに身体のことの話になるのですが、頗る悪しでございます。一昨日、一昨昨日でございましょうか、夜、枕衾に酖る時間に、急に胸だか心臓だかが痛く苦しくなってきまして、僕はこれを、この痛みを癌から来るものなのだなと直ぐに思いました。こう思うのも理由がありまして、僕の

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散り散りの自分

散り散りの自分

 僕は「散り散り」だ。
 あれを考え、これを考え、色々考え、いっぱい考え、しかし、どこにも収まらない。本棚から出した本たちが片付けられずに積まれて置かれている。これが、僕の生活だ。僕自身だ。

 僕は努力をやめた。自分の力を見たくなくて、努力をして、頑張って、それでも何も出来なかったらどうしようと不安になって、だから、やめたんだ。

 きっと、最近になって始めたことも、なあなあになって終わるだろう

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虚無感に浸る(日記)

虚無感に浸る(日記)

 作品展への作品提出が終わり、ふぅーっと息をついた辺りから虚無感に襲われています。予定が無くなるとそうなるだろうなと思ってはいたけれど案の定。今は明るい内容の本よりは、虚無感に浸れる本を読みたいと思い、太宰治かセナンクール、もしくはシオランの本を読もうかなと考えています。

 虚無感との向き合い方を模索しています。『夜と霧』で有名なフランクルの『虚無感について』を注文しました。カウンセラーさんから

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最近のことを書くだけ

最近のことを書くだけ

 最近のことをつらつらと書いていきます。
 まず、何気ない日々が一番の幸せだと気づきました。些細なことに心を込めるということも学びました。それと、エナドリを飲むことを「命の前借り」と言うように、スマホ決済は「お金の前借り」だということに気づきました。

 「返って自分のためになる」という考えは無く、ただひたすらに奉仕の精神で、人のためになることをしたいと思っています。でも、僕は手元不如意です。体力

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破壊の先に

破壊の先に

 病院に入院してからというもの、僕の心の内にはある文字たちが付き纏っていた。それらは僕の心を変えてしまった。「壊、亡、虚、滅、消」の五文字。

 その他にも「破壊」「崩壊」「滅亡」が僕へのキーワードとして取り巻いている。何かを壊したいという気持ち、何かしらの固定概念を壊したいという気持ちが大きくなっている。

 たぶん入院前に読んだ漫画からの影響がある。その漫画は、伊藤計劃のハーモニーをコミカライ

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徒然を連れて 3

 神出鬼没のライターと化した三葉治です。

 今日は、仕事場の向日葵の水やりに行った時に、後脚を片方無くした茶色のバッタに出会いました。私は脚を無くした昆虫を見る度に「お前はいま何を思って生きているのか」と問うことがあります。脚が無くなって悲しいのか、痛いのか、それともなんとも思わず今日のご飯のことを考えているのかと。でも虫は当たり前のように答えません。私の存在を感じて警戒しながらじっとしているだ

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徒然を連れて 2

 一昨日から日記を書き始めた。
 日記の中身には「もういやだ」とか「もう書けない」ばかりが目立つ。その他にも「もうやめたい」「嫌いだ」「ずっと寝ていたい」「疲れた」がある。これらは小説書きのことについてだ。

 日記にはすごい力がある。思ったことをそのまま書いても大丈夫。どんな文章でも受け入れてくれる。日記が大好きになりそうだ。日記ならいくらでも書ける。数えてみたが、一日に三十行近くは書いている。

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徒然を連れて 1

 人付き合いをしていて、否、本当に人間関係があったかどうかさえも怪しくなり始めて、孤独を感じている今日この頃。いつものごとく布団の上で衾を被って寝転んでいる。土日はいつも予定は無く、特に暇な日だ。暇な時間に出来ることは山ほどあるが、やりたくない。そんな気分じゃないからだ。色んなことを後回しにしてごろ寝している。そんな生活。

 そういえば昨日にサプリメントを買ってきた。お金が底を尽きようとしており

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不幸の楽しみ方

不幸の楽しみ方

 時に天地は万物盈満、されど我が心は地に伏して枯れ枯れなり。心おさまる寄辺や閨は何処にもあらじ。さすらふ人生にて、嗚呼、哀哉。

 五月。新緑が眩しい。
 案の定、五月病を患い、やる気がなくなっているところに、衝動による急な出費で貯金も僅かしか残っておらず、食費が一週間で千円という落ちに堕ちた生活を送っている今日この頃。最早「清貧」と言う言葉を以てして生活をしなければ精神が保てなくなった。それかい

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『古今患者の残穢』

 二○二一年十一月十七日。精神病院に入院した。退院目標は、手元不如意のために、一週間、長くても二週間に設定した。
 私は個室で過ごすことになった。
 ベッドと机、クローゼット、洗面台が備え付けられており、風呂とトイレは共同となっている。個室の窓から見える外の景色といえば、向かいの患者達の窓群と、職員と来客のための駐車場、それから少し離れた所に体育館のような建物があり、そのずっと奥に薄く靄のかかった

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