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#スキしてみて
起きない奇跡、醒めない夢【ショートショート】
嫌味じゃないお香の香り、
程よい日当たりの窓には品の良いカーテン。
僕のために毎日メイキングされた寝具に
埋もれながら、ハッと目が覚める。
まだ外は暗い…
時計の針が差すのは 3:04
あぁ、まただ…
そろそろ朝まで眠れないものか。
靴を浅く履き、部屋の中を数歩すすむ。
毎日こんな時間に起きる自分は
いったいどんな顔をしているのか…
確認しようと壁に向かう。
『…あ、そうか。鏡外したんだっ
嘘なら、夢ならよかったのに(後編)【夢見る恋愛小説】
数日後、本当にプリンセスは現れた。
目を丸くして驚いている兄弟に、
『来るって言ったじゃない?』
と茶目っ気たっぷりに微笑んでいる。
1つ、2つと咲き始めた薔薇を数える後ろ姿。
1度の奇跡で終われば、
なかったことにできたかもしれない。
平凡な毎日に麗しいプリンセスが登場して、
心を奪われないなんてできるだろうか。
それは10才のぼくにも、
年の離れた兄にも同時に訪れた初恋。
決して、結
嘘なら、夢ならよかったのに(前編)【夢見る恋愛小説】
どうして僕たちは出逢ったんだろう?
出逢わなければよかった?
ほかの未来があった?
そんなことできた?
今でもたしかに、こんなに愛しい気持ちだけはっきりとここにあるのに…
~※~※~※~
ぼくと兄は家の近くにある、
平凡な田舎の教会に花の手入れに来ている。
頼まれた訳でも雇われているわけでもないが、代々我が家がやっている。
ぼくと兄は少し年が離れている。
ぼくはまだまだ子どもだけど、
待ち合わせは、いらない【夢見る恋愛小説】
もしもあの頃の僕が
「恋」というものを自覚していたら、
片想いと片想いが出逢って「両想い」という
マジックが起こせたのだろうか…
高校3年の春、
高校生活最後のクラス替えの掲示を見てから
僕は新しいクラスの下駄箱へ向かった。
明日からしばらく気をつけないと、
朝ボーッとしてたら無意識に2年の下駄箱に
着いてアレ?なんてことになる。
脱いだ靴を手に取ろうと下を向き、
起き上がった時に話しかけられ