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木曜日の雨を待っている
【詩】
木曜日の雨を待っている
仮面を被り虚勢をまとい
西の空を睨みつけながら
木曜日の雨を待っている
ひかりを封じ影を紛らせ
雲を呼びこみ風を起こし
木曜日の雨を待っている
律動を刻み旋律を鳴らし
メルボルンシャッフルで
木曜日の雨を待っている
月曜日の憂い火曜日の花
水曜日の月を眺めながら
木曜日の雨を待っている
地下鉄を乗り継いでいま
この夜の海を泳いでい
だってワルツが聞こえないから
しかたないもの、若かったから。肩に降りかかる歳月の羽根の重さなんて、気にかける暇もなかったから。誰が悪いわけじゃない。みんな失敗だったってだけ。孤独が好きなわけでもないし、賑やかな夜の中で踊りたいわけでもない。自分で自分がわからなかった。靄めいて幽霊みたいだった。港から出て行く船を並んで見た。夕暮れが僕たちを包み込んで切り裂いて、粉々にしてしまったあとで、恋とはなんだと考えた。考えていたら夜がき
もっとみるかつてきみと渡った橋は
だれもが立ち去ることができる街角までともに歩いた。川の底にある小石のことばで語りかけることができればきみをひきとめることができると信じたかった。きっと見送ることができないという理由でひきとめたかった。
かつてきみと渡った橋はほんの一瞬のキスにすぎなかったが、背後には暗がりがひろがっていて、私たちの後ろ姿はその暗がりに刻印されていて、でもふり返るだけでは見ることができない、それは夜の中の夜なのだと