ぼんやりとした小説を書いています。

砂場で眠る

砂場で眠る。私は手をつないでもらっている。  目の前は星空ばかりで、月は見当たらなかった。でも空がぼんやりと明るいからきっとどこかに隠れているのかもしれない。  …

疲れきった天国  1

「飲んで良いよ」  そう言って、コンビニから戻ってきたマキオが渡してきたのは缶チューハイだった。私は顔を歪めながらもそれを受け取る。勢いよくプルタブを引くと空気…

海に連れてって。今すぐに

車は暗闇の前で震えながら停まった。 「ついたよ」 シフトレバーをパーキングに押し込みながら言うと、助手席で眠っていたユリは目をこすって短く息を吐き出した。たぶん…

過去を抱いて今は眠るの 6

「な、なにそれ?どうなってるの?」   宮園恵(ミヤゾノ メグミ)は座っていた座布団から身を崩し、顔を引きつらせながら後ずさった。  顔面を殴られたはずの冷原一(…

彼は独りで甘く眠る

握りしめていた手のひらの中で、「秘密」がぐにゃりと溶け出しはじめた。  私はそれに気づきながらも、手を開くことはしなかった。かわりに息をゆっくりと吸い込み、あい…

でんきくらげ

ちょうど十二時の鐘が鳴って、僕は本を破る手を止めた。  口の中に放り込んだものを咀嚼し、飲み込むとタイミングを見計らったかのように「ねぇねぇ」と声が聞こえた。 …