懐かしいときに書きます。
酔っぱらったときに書きます。
わけもなく撮ったもの。
妄想癖が悪化したときに書きます。
人目をはばかる。
ベッドに落ちた陽だまりの中で幸福に目を醒ました。忘れられない一年の最後の一日は、いつもとおんなじだった。エアコンをつけっぱなしの部屋にいると気づかないけれど、窓…
「今度、オンライン忘年会しよう」。 12月に入って、地元の友人のグループラインでそんな呼びかけがあった。幽霊部員も含めた10人ほどのメンバーは、ほとんどが幼馴染。進…
はめ殺しの窓には、甘いカクテル色の空が広がっている。庭のニームの木が揺れている。蝉の声は少し遠くなった。私はベッドに寝そべって、眼鏡を外す。風鈴の音が聴こえる。…
いつか誰かのものになると知りながら、私たちが見守ってきた白い花は、いま、誰かの手に摘まれて、遠くへ行ってしまおうとしている。せめてその人が、誰より優しい人であっ…
小さくわかれたぼくのふるさとが、いよいよこの街の片隅で灯りをともす。冷たかったこの街がなつかしいろに染め上げられて、いつか本当にぼくのふるさとみたいになるかもし…
歌うことが好きだった。次の言葉を探さなくてよいからだ。あの頃の私はいつも言葉に迷っていて、おはようの一言にさえ逡巡して、ぐずぐずと夕暮れを迎えていた。お酒が飲み…