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奴隷商人

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紀元前45年、ダマスカスの奴隷商人の物語
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奴隷商人 Ⅸ、第53章 ●奴隷商人51、紀元前46年

奴隷商人 Ⅸ、第53章 ●奴隷商人51、紀元前46年

奴隷商人 Ⅸ
第53章 ●奴隷商人51、紀元前46年 ●砂漠行 5
【砂漠行12日目】 200+120キロ

 ホルスを放つと言って飛んでいってしまったムラーはその晩帰って来なかった。翌日、出発の午前4時の1時間前に急に空中から飛び降りてきた。荷物を持っている。

「どこに行ってたのよ?心配するじゃない?」
「ああ、スマン。ちょっとアレキサンドリアの王宮に行って、あるものを盗んできたんだ」
「王宮

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奴隷商人とその時代 Ⅴ

奴隷商人とその時代 Ⅴ

奴隷商人とその時代 (続き)
奴隷商人とその時代 Ⅴ
●奴隷の相場、娼婦の相場これで相場を考えてきましたが、計算式が間違い。

です。訂正します。

紀元1年の奴隷の値段は、

という記録がある。このころのローマ帝国の人口は5,400万人で、そのうち3分の1が奴隷だった(半分以上と見積もる人もいる)1デナリウス=銀3.9 g。当時のローマの庶民の年収は、500~1,000デナリウス、約100~20

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奴隷商人 Ⅸ、第52章 ●奴隷商人50、紀元前46年

奴隷商人 Ⅸ、第52章 ●奴隷商人50、紀元前46年

奴隷商人 Ⅹ
第52章 ●奴隷商人50、紀元前46年
 ●砂漠行 4
【砂漠行11日目】 200+90キロ 30キロ、大スフィンクス方向に進んだ。残りあと3日。昨日のムラーとの話は重かった。第1~4ユニバースまでの運命がこの一戦にかかっていると思うと気が重い。どうしてもクレオパトラ7世は抹殺しないといけないが、できるんだろうか?

 目的地の南の大スフィンクスは、ギザの大スフィンクスからほぼ南に5

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奴隷商人 Ⅸ、第51章 ●奴隷商人49、紀元前46年

奴隷商人 Ⅸ、第51章 ●奴隷商人49、紀元前46年

奴隷商人 Ⅸ
第51章 ●奴隷商人49、紀元前46年
 ●砂漠行 3
【砂漠行10日目】 200+60キロ 純粋知性体ってのは、アインシュタインにも全宇宙中のレシピを知っているグルメにも似ている。神にも等しい。ただ、鍋やフライパン、天体望遠鏡などという下賤なものは扱わん、という存在だ。

 もちろん、純粋知性体は、地球の内核、外核を操って大規模造山運動を起こさせることはできる。事実、ベータ本体はア

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奴隷商人 Ⅸ、第50章 ●奴隷商人48、紀元前46年

奴隷商人 Ⅸ、第50章 ●奴隷商人48、紀元前46年

奴隷商人 Ⅸ、第50章 ●奴隷商人48、紀元前46年
●砂漠行 2
【砂漠行7日目】 200+30キロ「アルシノエは知性体が入っているわけじゃない。こいつを第4夫人にするつもりはない。ゆくゆくは素質があれば、ソフィア、ジュリアの次をやらせてみてもいいかな?と思うんだが・・・」と言うと、
「アルシノエを私とジュリアの次ですって?旦那様、私とジュリアはどうするおつもりです?」とソフィアが食いつく。俺は

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奴隷商人とその時代 Ⅳ

奴隷商人とその時代 Ⅳ

奴隷商人とその時代 Ⅳ ●紀元前46、47年前後の出来事
 ●古代ローマの浴場

●紀元前46、47年前後の出来事

 4.の年代がピンと来ないですが、2023年の今年、紀元前46年は2069年前にあたります。日本で『卑弥呼の日食』と言われる天岩戸伝説が起こったのが西暦247年。今から1776年前ですが、それでも紀元前46年は、『卑弥呼の日食』よりも293年昔。ピンと来ないんですよ。

 そこで、

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奴隷商人とその時代 Ⅲ

奴隷商人とその時代 Ⅲ

奴隷商人とその時代 Ⅱ ●イスラムの一夫多妻制度
 ●奴隷制度
 ●奴隷制度・ハレムと一夫多妻制
 ●奴隷商人ムラーの商売

●奴隷制度

 そもそも、アラビア起源、特に、イスラム教が始まってからのハレムとそれ以前のハレムは違う。

 ハレムの習慣は、古代の地中海世界において、家族の女性の居室を隔離した風習があったから、モハメッド・イスラム教が始めたわけでもなんでもない。紀元前からハレムは中近東に

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奴隷商人とその時代 Ⅱ

奴隷商人とその時代 Ⅱ

奴隷商人とその時代 Ⅱ奴隷商人とその時代 Ⅰ の続き。

1.塩野さんはそれでもよく書く方だが、ローマ史、ヘレニズム史の文献や小説を読んでいても、そこに生きた人間たちの生活がさっぱりイメージできない、
2.あまりに17~19世紀のアフリカ―アメリカの黒人奴隷貿易の印象が大きすぎて、紀元前から続いた奴隷制度、それが現在の白人至上主義の時代ではなく、コーカサス系の白人蛮族もいたし、ギリシャ系の白人種も

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奴隷商人とその時代 Ⅰ

奴隷商人とその時代 Ⅰ

奴隷商人とその時代 Ⅰ 異世界ファンタジーで、ウンコをどう拭くか?とか、お風呂の話をしつこく書くのは私くらいでしょうか?

 いつも私が書くフィクションは、日本を舞台として、せいぜい1970年代からのラブコメであったり、SF・近未来小説であったりします。登場人物もほとんど日本人です。

 その私が、紀元前46年、47年を中心とした古代エジプト、古代ローマのお話を書き出したか?

 塩野七生さんの『

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奴隷商人 Ⅸ、第49章 ●奴隷商人47、紀元前46年

奴隷商人 Ⅸ、第49章 ●奴隷商人47、紀元前46年

奴隷商人 Ⅸ
第49章 ●奴隷商人47、紀元前46年
 ●砂漠行 1【砂漠行6日目】 140キロ

 昨晩は、ムラー様と絵美/エミー様に可愛がっていただいて大変満足。絵美様が、私が16才の時、そんなに性欲があったかしら?と言う。エミー様が、12才頃から始めないとガキを十分産めねえじゃねえか、絵美の生きていた時代は安心安全で贅沢だったんだ、この時代は、早熟じゃないと生き残れないんだよ、と言う。なるほ

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奴隷商人 Ⅷ、第48章 ●奴隷商人46、紀元前46年

奴隷商人 Ⅷ、第48章 ●奴隷商人46、紀元前46年

奴隷商人 Ⅷ
第48章 ●奴隷商人46、紀元前46年「さて、俺がわからないのは、両性具有で、生殖能力がない、ガキを作れないクレオパトラがだ、どうやって、シーザーを騙して、ガキを作ったのか、わかんねえんだ。まず、クレオパトラを抱けば、シーザーはそこにチ●コがあるのがわかるだろう?マ●コもある。これじゃあ、絶世の美女だとしても、驚いて子供なんて作んねえよ。第一、クレオパトラは子宮がないから、受胎できな

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奴隷商人 Ⅷ、第47章 ●奴隷商人45、紀元前46年

奴隷商人 Ⅷ、第47章 ●奴隷商人45、紀元前46年

奴隷商人 Ⅷ
第47章 ●奴隷商人45、紀元前46年●アルシノエの苦情 小テントで、ムラー様、絵美様と私、イシス、マンディーサとムスカ、侍女頭のアルシノエが一緒に夕食の席についた。ムラー様がツンデレのマンディーサが、やっと告白したか、おめでたいというので、二人を招待したのだ。

 いやぁ、マンディーサをやっちまわなくて良かったぜ、とムラー様が言って絵美様に思いっきりつねられた。この下品な男め!と睨

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奴隷商人 Ⅷ、第46章 ●奴隷商人44、紀元前46年

奴隷商人 Ⅷ、第46章 ●奴隷商人44、紀元前46年

奴隷商人 Ⅷ
第46章 ●奴隷商人44、紀元前46年 飛んでいったらあっという間だった。砂漠、土漠上空を十数分飛んで、地中海の海岸線に出た。アレキサンドリア寄りの私たちの船が停泊している小さな漁村に着いた。二千メートルから徐々に高度を落としていく。

 アフロダイテ号とアルテミス号の甲板が見えた。ムラーの指示通り、漁港から少し離れた沖合に停泊している。だが、数隻の小型船舶が横付けされている。小型船

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奴隷商人 Ⅷ、第45章 ●奴隷商人43、紀元前46年

奴隷商人 Ⅷ、第45章 ●奴隷商人43、紀元前46年

奴隷商人 Ⅷ
第45章 ●奴隷商人43、紀元前46年 ●クレオパトラの狙い
 ●マンディーサ

●クレオパトラの狙い ベルベル人盗賊団の一人を生きて捕まえた。他は皆殺しにした。なぜ、こいつらはアヌビスとホルスのお先棒を担いでいたのか、頭を鷲掴みにして意識を探った。

ギザのピラミッド近くのエジプト王国の行政事務所が見えた。王国の行政官がベルベル人たちを集めて指示していた。(いいか?これが似顔絵だ。

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