2023年6月の記事一覧
マティスとモデルを務めた女性たち マティス展後期③ 妻アメリーの苦しみ
現在、上野東京都美術館で大回顧展開催中のマティス。
前回までの記事では、マティス展で印象的だった作品や、光や色、快適さをもとめ鮮やかな作品を生み出していったマティスの生涯について紹介しました。
当初はそれで終わりにしようと思っていたのですが、記事を書くためにいろいろ調べている中で、複数の女性たちがマティスの芸術家としての在り方に重要な役割を果たしていたことが見え、とても興味深くて…。
せっかく
小説家・新川帆立さんに聞く「ミステリー小説の書き方」#創作大賞2023
『元彼の遺言状』『競争の番人』などの作品で人気の小説家・新川帆立さんに小説の書き方を教えていただくイベントを開催しました。新川さんはnoteで開催中の投稿コンテスト「創作大賞」で、『別冊文藝春秋』編集部の特別審査員を務めます。
イベントでは「ミステリー小説の書き方」「キャラクターのつくり方」「“お仕事ミステリー”について」の3本柱で、小説を書くうえで大事なポイントをお話しいただきました。また『別
【小説】真珠の耳飾りのフェルメール
ハーグ王立美術学院の学生、テオ・ホイヘンスはマウリッツハイス美術館からの帰り道にホームセンターのGAMMAで買った直径二センチメートルほどのステンレス球を右手の三本の指で摘むように持ってかれこれ二時間も眺めていた。離してみたり近づけてみたり、身体の向きを変えてみたりしながら、その銀球を覗き込み深く物思いにふけっていた。
「見るということに於いて、どんな人種よりも敏感で貪欲な"画家"が気付かないは
ハードボイルド書店員が「2025年の大河ドラマ」に思うこと
再来年の大河ドラマの主人公は、あの蔦屋重三郎(蔦重)です。
ざっくり言うと彼は「耕書堂」という書店の経営者で、かつ本を作る版元も兼ねていました。出版物の企画を考え、喜多川歌麿や葛飾北斎といった作家を見出して育てるプロデューサーの顔も持っていました。
現代における本屋は日々入ってくる大量の本や雑誌を並べ、売る役割のみを担っています。現場の最前線に身を置き、お客さんの声を直に聴ける立場なのに、それ