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むさしの写真帖

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「写真っていうのはねぇ。いい被写体が来たっ、て思ってからカメラ向けたらもう遅いんですよ。その場の空気に自分が溶け込めば、二、三秒前に来るのがわかるんですよ。その二、三秒のあいだに…
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#エッセイ

むさしの写真帖

むさしの写真帖

古いデジカメについて書いています。
ただしこれらの記事は2018年前後のものであるので、カメラのほとんどは手許にないのをご承知おきください。

追記: ネタが尽きたので写真、カメラにまつわること。またアラカンおじさんの日常について書いたりします。(2023年霜月朔日)

Tシャツと皮ジャン

Tシャツと皮ジャン

いつもこの人のエッセイっていつも好いなと思う(リンクを埋め込もうとしたらエラーになった)
淡々としていても、ちゃんと愛情が感じられるところが好きだ。
ぼくもこういう「丸い」文章が書きたい。

昔からアメリカの映画なんかで、主人公の男性が革ジャンにTシャツという出で立ちで登場するのを目にする事がある。
トップガンのトム・クルーズなんかもワッペンをたくさん貼り付けたG-1ジャケットをTシャツの上に羽織

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別離

別離

母親のことを書いていて、つらつらと思い出している。

一度テレビに一緒に出たことがあって、ローカル番組だが「花咲がタイムズ」という番組の「背負え!おんぶs MAN』というコーナーだった。
現在TBS(といっても制作はCBCらしいけど)の「ゴゴスマ」の司会をしている石井亮次さんがCBCのアナウンサーだったころに栄(名古屋の繁華街)の街角で声をかけられた。
夏の暑い盛りで何人もの人に声をかけていたらし

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雨が降りはじめた

雨が降りはじめた

雨というと村上春樹さんの「中国行きのスロウ・ボート」の中の「ニューヨーク炭鉱の悲劇」を思い出す。
雨が降ると軍用のポンチョを被って動物園に出かけ、猿だかの檻の前で缶ビールを飲む友人の話が出てくる。
その描写がなんとも言えず好いので、雨の日には必ず思い出すのだ。

たぶん高校生だったと思うが、当時付き合っていた女の子と雨の日にデートをした事がある。
今のようにあちこち遊べる所も少なく、喫茶店でコーヒ

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北新宿

北新宿

この辺りは民家が多い。
大きなマンションもあるがタイムスリップしたかのようなアパートもある。
ここも新宿。
#北新宿 #新宿 #どうしようもない私が歩いている

コンビニにアイスを買いに行く

コンビニにアイスを買いに行く

娘は社会人で一人暮らしをしている。
特に用事のない休日前に帰ってきて、休日は完璧なまでの「上げ膳据え膳」な一日を過ごして翌朝に弁当を作らせて出勤していく。

休みがほとんど平日なので、ぼくとはパターンが合わず、帰る日の夕飯(これも娘のシフトが遅番だと帰宅が夜遅いので一緒には食べられない)と休日の夕飯を一緒に食べるくらいだ。
ここしばらくはそんな生活をしている。

先日帰ってきた時は、珍しくぼくが在

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ロミオとジュリエット

ロミオとジュリエット

もう時効だろうから白状するが、もう30年以上昔、大学生の頃にお付き合いさせてもらっていたガールフレンドと真夜中にこっそり家を抜け出して、度々デートをしていた。
彼女は典型的な箱入り娘で、そうそう頻繁に会うことが叶わなかったので、苦肉の策として、そういうことになっていたのだ。

ぼくは男だから夜中に家を抜け出したところで母親に文句を言われる程度だろうが、彼女はそういうわけにもいかないから、かなりスリ

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「ぼく」

「ぼく」

なんでも今日は「幽霊の日」なんだとか。
だからって訳でもないけど、ちょっとひんやりする話でも。

小学校も2年か3年くらいの頃だったと思うから、もう半世紀も前の話だね笑
でもあの時の事ははっきり覚えてるんだなぁ。
夢だったんじゃないかと思う事もあるけれど、母に後年こんな事がなかったか?と訊ねたら、珍しくぼくが泣き叫んだから覚えてると言っていた。
それくらいびっくりしたんだよ。

ちょうど今くらいの

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帰省

帰省

娘(25)が週末に帰ってきた。
帰ってきたといっても都内にいるのだから、そう遠いわけではない。
一人暮らしをすると家を出て、もう1年以上になるか。
聞けば毎日弁当をこしらえ、実家では起こすまで意地でも起きてこなかったのにきちんとアラームで起きているという。
掃除や洗濯もルーティンの中に組み込まれていて、今のところ心配ごとは杞憂に終わるようだ。

帰省というのか微妙だと思うが娘にとっては「実家」であ

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新宿

新宿

もうだいぶ見慣れたはずだけども、やはりあの人混みを目の前にすると気後れしてしまう。
朝の名古屋駅の私鉄から地下鉄へと移動する人の多さもかなりのものだが、新宿のそれとは比較にならない。

たぶんもうキャパシティ的には限界を超えているのだと思う。
というか東京には人が多すぎるのだ。
こちらに来て驚いたことの一つに「人がいない場所がない」というのがある。
例えば夜遅くに駅から歩いて帰るときにも、ぼくの家

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6月

6月

「死ぬかもしれない」と思った話をしよう。
ぼくが36歳の頃の話だ。
6月の終わり頃、給料日の後だったから25日は過ぎていたんだろうと思う。当時は名古屋で両親と一緒に住んでいた。

仕事を終えて帰宅し、20時過ぎだったと思うが夕食を摂った。
そこまでは何事もない一日だったのだ。

2階に上がりテレビを見ている時、喉の奥に違和感があった。
何だか食べたものが引っかかるような嫌な感じだ。
唾を飲み下して

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銀座

銀座

母は出不精な人だった。
父はあちこち見て歩くのが好きな人だったが母は正反対で、家族で旅行なんかに行っても浮かない顔でついて来る感じだった。
だから母と二人で出かけた記憶といえば普段の買い物くらいである。

ぼくが仕事で東京やら大阪などあちこちに行くようになり、その話を母にすると「へー」だとかの気のない返事ばかりしていたが、初めて銀座に行った話には珍しく乗ってきた。
そんな反応するなんて珍しいね、と

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新宿警察署裏

新宿警察署裏

「裏」ってどうよと思うけど笑
この右手にはよく観光の人が写真を撮ってるロバート・インディアナという人の「LOVE」のオブジェがある。

新宿に初めて来たのはかなり昔の話になるが、早朝に夜行のバスを降ろされて、とりあえず目についた吉野家で朝メシ代わりの牛丼をかき込んだ記憶がある。
その吉野家は早朝にもかかわらずほぼ満席で(さすが東京だわ)と思った。
今思えば歌舞伎町の真ん前なんだから別に不思議でもな

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紙垂

紙垂

そうか、もうそんな時期なのか、と思う。
ここ数年はコロナの影響で山車も出せなかったが、今年はようやくできるということだろう。

名古屋から東京に越してきて思ったことのひとつに祭事を盛大に行う、ということがある。
もちろん名古屋でもやってはいるのだけど、こちらほど町単位や社とかで賑やかに行うことは稀になっている。
そこに住んでいる人たちの地元愛というか、単なる祭好きというか。
とにかくこの時期や秋の

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