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旅日記。

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世界中を旅しながら、写真を撮って、そして旅日記を書いています。「人生は旅だ」と、いつかどこかで耳にしましたが、その言葉は本当なのでしょうか。実際に旅をして、確かめたいと思います。… もっと読む
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記事一覧

【欧州ひとり旅】4ユーロのココアでは

【欧州ひとり旅】4ユーロのココアでは

 まさかこの街がカカオで有名だなんて、村のココア屋さんを訪れるまでは知るよしもありませんでした。いいえよく考えれば、カカオの香りは朝からずっと鼻をつき抜けてわたしの脳を包み込んでいたのでしょうけれど、昨日チョコレートを食べすぎたせいか、どこか慣れてしまっていたのかもしれません。

 いずれにせよ、ココア屋さんを見つけることができてとても良かったと思います。マルケル湖や北海へと通ずる運河や草原なんか

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【地中海ひとり旅】彷徨いカプチーノ

【地中海ひとり旅】彷徨いカプチーノ

 「暑い、暑い・・・」と呟きながら通りを彷徨っていたら、ひとつのカフェに行き着きました。相変わらずの、白と青。狭い入口の奥からは日が差し込んでいて、開けた奥行きを感じます。特に喉が渇いているわけでもなかったし、疲れているわけでもなかったのですが、導かれたように、わたしはそのカフェに入りました。

 残りひとつだった日陰の席に腰掛けて、カプチーノと、甘いお菓子を注文しました。左耳から聞こえてくるフラ

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【地中海ひとり旅】フロリアナにあるホテル

【地中海ひとり旅】フロリアナにあるホテル

 バレッタから少し外れたところにあるフロリアナという地区には、昔ながらの集合住宅がいまでもたくさん残っていて、目を瞑って通りで深呼吸をしてみると、建物に反響する微かな声や朝ご飯の匂い、地中海の潮の香りなんかが全身に入ってくるように感じます。
 昨日の深夜に船で入国したわたしは、船着場からなるべく近い宿をと思い、このフロリアナにあるホテルを選びました。結果として、それはそれは良い選択だったのでしょう

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【地中海ひとり旅】赤い服を着た少年

【地中海ひとり旅】赤い服を着た少年

 「ねえ、どこから来たの?」
 赤い服を着た少年は、少し訛りのあるフランス語で、わたしに話しかけてきました。首を傾げるわたしを見て、「ああ、このアジア人はフランス語をそれほど理解できないのだろう」と悟ったのか、これまた訛りのある英語で、「どこから来たのってば?」と再度わたしに尋ねます。

 「日本、日本っていう、東アジアにある国だよ。」
 少年がわたしの言ったことを理解したのかはわかりませんが、い

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【地中海ひとり旅】商売上手の店主

【地中海ひとり旅】商売上手の店主

 ビーチの入口付近にある、オレンジュース屋さん。陽気な店主がひとり、ひたすらオレンジを搾っています。

 「あんたも一杯どうだい。美味しいぞ」露店をのぞき込むわたしに店主はそう言いましたが、少しでも節約をしたかったわたしは、我慢することにしました。実際、少し高かったですし。

 「まあいいさ、あと10分後くらいにはきっと飲みたくなるぞ」店主の言葉を背中で聞いて、わたしは目的のビーチへ向かいました。

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【欧州ひとり旅日記】更待月のある礼拝堂

【欧州ひとり旅日記】更待月のある礼拝堂

 礼拝堂に降る光のかたちが、昨晩宿の窓からみたお月さまの形に似ていて、わたしはどうしてか、寂しさを感じとりました。

 このくらいの形の月を、「更待月“ふけまちづき“」というのだそう。むかしの人々は、このように月の満ち欠けにひとつひとつ名前を付けていましたが、そうやって名前を付けていたのは、月をいまかいまかと待ち望んでいたからであると、どこかで聞いたことがあります。

 さて、昨日のわたしは、残念

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【地中海ひとり旅】セント・ポールズ・ベイの常連さん

【地中海ひとり旅】セント・ポールズ・ベイの常連さん

 「このホテルの常連なんだよ、わたしは。」
 そう言って食パンにチョコクリームを塗る赤ジャージのおじさんの横顔は、ドヤ顔というよりは、どちらかというと、退屈そう。セント・ポールズ・ベイの海岸沿いにあるこのホテルは、2月というオフシーズンもあってか、ちょっぴり閑散としています。いまのところ、朝食会場にはわたしと赤ジャージのおじさんだけ。

 「あなたはどこから?」「そっちはどこから来たんだい?」旅人

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【地中海ひとり旅】ドアというものはとても不思議なもので、

【地中海ひとり旅】ドアというものはとても不思議なもので、

 旅先でドアを見かけると、「このドアの向こうにはいったい何があるのだろう、気になるなあ、気になるなあ」って、無性にドアに取り憑かれてしまうことがたびたびあります。

 ドアというものはとても不思議なもので、たった数センチの厚さで、お星さまから見ればおよそ同じ場所であるはずなのに、こちら側とドアの向こう側ではまるで別世界なのではないかと、そう錯覚してしまうことがあります。

 ここチュニスには、ドア

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【地中海ひとり旅】チュニジアのとあるビーチで

【地中海ひとり旅】チュニジアのとあるビーチで

 「わたしはいま旅をしている。」そう最初に自覚した旅は、おそらく小学3年生の時の旅だったと思います。その頃よく、放課後おじいちゃんちに寄っては、おじいちゃんが若かりしころにしたという旅々の話を、日が暮れるまで聞いていました。でもおじいちゃん、「旅はいいぞお」って言ってみたり、一方で「旅なんてするもんじゃあない」なんて言ってみたり。「おじいちゃん、結局のところ旅が好きなの?嫌いなの?」って、子どもな

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今日からまた、ひとり旅。

今日からまた、ひとり旅。

気分:期待と不安の入り混じる感じ
天気:晴れ時折わたあめみたいな雲4つ

 バスと新幹線を乗り継いで、東京へ。東京はもっと春が近いのかなって思っていましたが、そうでもないみたい。ヒートテック、極暖のほうが良かったかなあ。

 東京は、相変わらず人が多いです。これでも少しは慣れた方だと思いますが、でもやっぱり、ちょっと苦手です。田舎は退屈だと言いつつ、都会は苦手という、どうしようもないわたし。

 

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【欧州ひとり旅】ザーンダムの自転車道

【欧州ひとり旅】ザーンダムの自転車道

 自転車大国オランダで走っている自転車は、とても可愛いです。色とりどりで形もさまざまですし、何より、工具とか瓶が入っていそうなプラスチックの前カゴを取り付けている方が多く、とっても新鮮。

 「俺たちの事撮ってよ」と話しかけてきた学校帰りの男の子たちに話を聞いてみると、「みんなこのカゴをカスタマイズしてオシャレにしてるんだよ」と教えてくれました。簡単に取り外しができるようになっていて、瓶ビールやコ

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【欧州ひとり旅】腹ぺこな旅人

【欧州ひとり旅】腹ぺこな旅人

 わたしは、腹ぺこな旅人。お腹を空かせて路地を彷徨い、溢れるヨダレはもう枯れそう。食べ物を求めて鼻を効かせるも、匂いはあてにならず。あちこちのお家から、トマトソースやニンニク、お肉の匂いがぷんぷん。この時期にしてはちょうど良い暖かさの風が吹くものですから、フライパンや鍋からたちのぼる湯気は、そのまま風に乗って。

 この道を抜けたら、パン屋やカフェのひとつやふたつ、きっとありますよね。

ありあの

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【欧州ひとり旅】勝ち確のザッハトルテ

【欧州ひとり旅】勝ち確のザッハトルテ

 ふと訪れたカフェが、まさかザッハトルテの有名店だったなんて、今日のわたしは勝ち確です。ウィンナーコーヒーだけ飲んであまり長居するつもりもありませんでしたが、今日これからの予定をちょっとくらい狂わせたって、わたしはここでザッハトルテを食べるんだって、そう決めました。

 「ザッハトルテは頼まないんですか?ここのは、ウィーンでも評判の美味しさなんですよ」
注文をとりに来たお兄さんにそう言われたわたし

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【欧州ひとり旅】寂しい、淋しい。

【欧州ひとり旅】寂しい、淋しい。

 宮殿の庭園にあるベンチでお昼ご飯を食べ終わったあと、眠くなる前に、庭園を散歩することにしました。あまりにも広大でしたから、正直、庭を階段の上から眺めるだけでも良いかなと思っていたのですが。

 10月の西ドイツは、北海道よりも高緯度に位置しているにもかかわらず、暑いです。旅をすればするほど気候の多様さに驚かされ、地球という惑星は本当に不思議なものだなあと感じます。夏花の季節は少し過ぎていたようで

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