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個は家族になると調和する【共感覚アートメモ:家族】

体が起き上がれるようになってきたので、引き続き制作を進め始めた。リアルペイントの制作は日中にしかできないので、夜の間に下書きが止まっていた絵を仕上げる。

中日本で大変お世話になった、事務局長の井土さんが新しい鍼灸院を建てられるとのことで家族の共感覚アートを注文いただき、その下書きをしあげようとしていた。旦那様のことも知っているため、それぞれの色をわかっているので、特に追加の情報はなくて大丈夫ですよーと伝えて、制作をはじめた。

ご夫婦の色を思いながら下書きを描いていく。が、描けない。 

2人の共感覚で反応する色が見えすぎていて、それはいいのだがこの2人の色が1枚のキャンバスに入ろうとすると混ざり合わないのだ。

これが実際に描けなくて手を止めた下書き。

この色たちが混ざり合いそうで、混ざり合わない。それぞれに個性があり、これらは1つに調和されなかった。何度か試行錯誤したが、どうにもこうにも行かない為、井土さんに連絡することにした。

「ご夫婦の個の色が強すぎて色が混ざり合わないので、ご家族写真いただけますか?」

不思議なお願いをして、井土家ご家族の写真を手に入れた。自然体な笑顔の素敵なお写真だった。

驚いたのは、ご家族の写真になった途端に上にあった個の色がほぼ見えなくなり、別の色が出現した。井土さん、旦那様それぞれに見えていた強めの色はどれだけ乗せてみても1枚の紙の上では調和しなかったが、ご家族写真となった途端にそれは混ざり合い別の色を出した。

個人が出す色と、家族が織りなす色というのは全く別の色のようだった。

私もなぜこのような色の変化が起きるのか不思議だが、個人が団体になった時、捉えるイメージ自体が変わるからなのだろうか。

これは私が共感覚アートを描くうえではじめての体験だったため、井土さんに許可を取り、メモをしながら完成まで見守りたい。


山口葵

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