迷惑亭

アジアを放浪中です。見た映画や小説の感想を書きます。だいたいネットフリックスかアマゾン…

迷惑亭

アジアを放浪中です。見た映画や小説の感想を書きます。だいたいネットフリックスかアマゾンプライムです。筆力を鍛えるために1,000字以上を目指します。良ければ読んでください。

記事一覧

夏目漱石の「こころ」は小説としての構成が終わっている。

高校生の時にはじめて読んだ「こころ」を、久しぶりにフィリピンで読んだ。海外放浪中でやることがなかったので、小説に飢えて、スマホに青空文庫のアプリをインストールし…

迷惑亭
7時間前

「銀の匙」で日本語の美しさを堪能する。

今まで読んできた小説の中で、一番表現が美しいと思ったのは、中勘助の「銀の匙」です。 この小説は日本文学の名作で、僕が憧れてやまない地元兵庫県のエリート学校「灘中…

迷惑亭
5日前
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「白夜行」東野圭吾/圧倒的な構成力!しかしここでも東野は実力を出し切らない

ずっと家にあった一冊だ。東野の本はいくつか読んできたが、この本は読んだことがなかった。トリックだけのミステリー小説のくせして気取ったようなタイトルをつけているの…

迷惑亭
3か月前
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映画「TOVE:トーベ」/ただの恋愛映画

ムーミンの作者として有名なトーベ・ヤンソンの人生を描いた本作。 トーベは風刺画家としても有名で、独裁者を痛烈に批判し、戦争に反対し続けた。 そんなトーベの生き様が…

迷惑亭
3か月前

【小説「本心」】/平野啓一郎は活動家を描くことから逃げない。

「本心」平野啓一郎 【ストーリー】 母を亡くし天涯孤独になった青年が、VF(バーチャルフィギュア)という技術を使って仮想空間で母親を復元し、その本心を知ろうとする。…

迷惑亭
4か月前
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【映画感想】ラスト・エンペラー/皇帝の孤独

「ラストエンペラー 」 昔テレビで放送されていたのを録画していた。 先日、やっと見ることができた。 清朝最後の皇帝・溥儀(ふぎ)の生涯を描いた壮大な歴史大作であり、…

迷惑亭
4か月前

映画「時計じかけのオレンジ」/狂気が足らない!

映画「時計じかけのオレンジ」 強盗・強姦・ホームレス狩りなど、やりたい放題のかぎりを尽くす荒くれ者軍団のリーダーが捕まり、刑期の大幅な短縮を条件に新しい治療の…

迷惑亭
4か月前
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《映画感想》Netflix配信「ロ・ギワン」/ マフィアいらない…

Netflix配信映画「ロ・ギワン」 ※あまり好意的な感想ではないです。 ベルギーに流れ着いた天涯孤独な脱北者の男性と、心に傷を負ってベルギーで生きる韓国人の女性が出…

迷惑亭
4か月前
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夏目漱石の「こころ」は小説としての構成が終わっている。

夏目漱石の「こころ」は小説としての構成が終わっている。

高校生の時にはじめて読んだ「こころ」を、久しぶりにフィリピンで読んだ。海外放浪中でやることがなかったので、小説に飢えて、スマホに青空文庫のアプリをインストールした。昔の旅人は日本から持ってきた本を読み終えたら、旅先で出会った人と交換していたらしい。自分が全く手も出さなかった山岳小説や詩集なんかを偶然手にするのを想像すると、新しい世界が開けるようでロマンを感じる。いまではスマホを持っていればKind

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「銀の匙」で日本語の美しさを堪能する。

「銀の匙」で日本語の美しさを堪能する。

今まで読んできた小説の中で、一番表現が美しいと思ったのは、中勘助の「銀の匙」です。

この小説は日本文学の名作で、僕が憧れてやまない地元兵庫県のエリート学校「灘中学」の教材として使われたことでも有名です。灘中学・高校は今となっては東京の開成高校と肩を並べる日本屈指のエリート学校ですが、まだ「関西の進学校」程度の存在だったころ、ある国語教師が教材としてこの本を使いました。彼は一般の教科書は使わず、中

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「白夜行」東野圭吾/圧倒的な構成力!しかしここでも東野は実力を出し切らない

「白夜行」東野圭吾/圧倒的な構成力!しかしここでも東野は実力を出し切らない

ずっと家にあった一冊だ。東野の本はいくつか読んできたが、この本は読んだことがなかった。トリックだけのミステリー小説のくせして気取ったようなタイトルをつけているのが気に入らなかった。

この本と、バンコクのバックパッカー宿で再会した。にわかに小説を読みたくなり、手に取った。せっかく海外にいるのに…と言われかねないだろうから、もう少し本当のところを話すと、旅のペース感を掴むのに本を読むのはちょうど良い

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映画「TOVE:トーベ」/ただの恋愛映画

映画「TOVE:トーベ」/ただの恋愛映画

ムーミンの作者として有名なトーベ・ヤンソンの人生を描いた本作。
トーベは風刺画家としても有名で、独裁者を痛烈に批判し、戦争に反対し続けた。
そんなトーベの生き様が見られると思い、Amazonプライムで再生したものの、画面を流れるのはトーベの恋愛模様のみ。
とある既婚者の女性に強烈に惹かれて、彼女よりも前に出会っていた男性と結婚して忘れようとするも、忘れられない…みたいな。
なんじゃそりゃ。
この映

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【小説「本心」】/平野啓一郎は活動家を描くことから逃げない。

【小説「本心」】/平野啓一郎は活動家を描くことから逃げない。

「本心」平野啓一郎

【ストーリー】
母を亡くし天涯孤独になった青年が、VF(バーチャルフィギュア)という技術を使って仮想空間で母親を復元し、その本心を知ろうとする。さまざまな人と出会い、亡き母の実像に迫ろうとする中で、自分のこれからの生き方を見つめ直していく。

【おすすめポイント】
前作「マチネの終わりに」「ある男」でも感じたが、平野啓一郎の小説には一本の話の軸の中に、さまざまな社会問題が巧く

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【映画感想】ラスト・エンペラー/皇帝の孤独

【映画感想】ラスト・エンペラー/皇帝の孤独

「ラストエンペラー 」
昔テレビで放送されていたのを録画していた。
先日、やっと見ることができた。

清朝最後の皇帝・溥儀(ふぎ)の生涯を描いた壮大な歴史大作であり、坂本龍一が音楽を手掛けたことでも知られている歴史スペクトラム大作。

溥儀の幼少期からの孤独と、皇帝の座に居続けようとするエゴイズムが丁寧に描き出されていた。
紫禁城では皇帝として崇められながらも、実質的には袁世凱が中国の皇帝となり、

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映画「時計じかけのオレンジ」/狂気が足らない!

映画「時計じかけのオレンジ」/狂気が足らない!

映画「時計じかけのオレンジ」

強盗・強姦・ホームレス狩りなど、やりたい放題のかぎりを尽くす荒くれ者軍団のリーダーが捕まり、刑期の大幅な短縮を条件に新しい治療の被験者となる。

(以下、感想)(若干のネタバレあります)

名作と言われてるので、一回見てみようと思ってチャレンジしたが、はじめの理解不能な導入で断念していた。 ところが先日、短い漫画で名作映画を紹介するTwitter上のアカウント

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《映画感想》Netflix配信「ロ・ギワン」/ マフィアいらない…

《映画感想》Netflix配信「ロ・ギワン」/ マフィアいらない…

Netflix配信映画「ロ・ギワン」

※あまり好意的な感想ではないです。

ベルギーに流れ着いた天涯孤独な脱北者の男性と、心に傷を負ってベルギーで生きる韓国人の女性が出会い、お互いを支え合いながら生きていく。
現在、Netflixの映画部門で1位となっている。

イマイチでした。
まず、主人公ギワンと出会い恋に落ちる女性マリの設定がしっくりこなかった。
マリはマフィアに借金をしており、その返済の

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