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映画における「見事なショット」とは何か? ~ 蓮實重彦の言葉から

映画における「見事なショット」とは何か? ~ 蓮實重彦の言葉から

はじめに映画の見方は人それぞれと思うが、私は昔からどちらかと言えば「物語体験」よりは「映像体験」に魅かれるタイプだ。
今春、著名な映画批評家でもある蓮實重彦氏が『ショットとは何か』という著作を上梓された。それを機に、氏の考える「ショット」についてより深く知りたいと考えた。
そこで、蓮實氏の著作を相当量読んでいる知人に、「ショット」についての理解が深まりそうなものを何冊か推薦してもらい、かつ、文芸誌

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「はじめての井上陽水」から感じ取る、いかがわしさと上品さ。

「はじめての井上陽水」から感じ取る、いかがわしさと上品さ。

ここ最近であるが、井上陽水の歌詞に浸っている。

井上陽水。
私の年代('80年前後生まれ)で彼の楽曲にしっかりと詳しい方は、おそらく音楽好きな方であろう。
「当然通った」という経験は、きっと一回り上の世代なのかなぁ。

子供の頃から、テレビやCM、そして他アーティストへの提供曲やカバーでいくつも耳にしていた。

不思議な節回しや声質に惹かれ、「好き」と感じ、だからなんとなく知っているような気にな

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オフラインエディターしげぞうの仕事道具をご紹介します

オフラインエディターしげぞうの仕事道具をご紹介します

こんにちは!しげぞうです。

ぼくは普段編集室に行ったり、会議室に行ったり、撮影現場に行ったりして編集をしています。機材が用意されている環境でも、一応my機材は常に持ち歩いています。

今回は、そんな仕事道具をご紹介します!

メインPCもう15インチってAppleのサイトで整備品以外売ってないんですね…笑
フリーになる直前(2019年9月1日)に買いました。

スペックは基本盛り盛りですが、内臓

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「読むこと」は教養のエチュードvol.1

「読むこと」は教養のエチュードvol.1

第二回教養のエチュード賞にご応募いただき、誠にありがとうございます。

それぞれが、それぞれのてんてこまいを過ごしたであろう年の瀬。その中を僕宛の手紙がこれだけ届きました。胸がいっぱいです。お礼は僕なりの方法で返していきたいと思っています。昨年学んだ大切なことがあります。それは「誠意というのはいつだって、簡単な方法では伝えることができない」ということです。

2020年を迎え、僕からプレゼント。全

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日本の造形文化の伝統はアートと相性が悪いかもしれない

前口上以前Twitterで「美術鑑賞には教養が必要だ」と言ったら炎上しました。「美術」は「自由学芸(リベラルアーツ)」つまり西洋における教養科目に数えられる一制度の訳語なので、僕はそんなことは当たり前だと思っていたのですが、たしかにふつう、学校で「図画工作」は習っても「美術」は習いません。これは明治時代のいわゆる「文明開化」のときに日本が西洋の「美術」という制度を輸入しようとして失敗したからです。

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