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暇な俳優が「出会った人と作っていくぜ」という企画を実行に移す

皆さんはじめまして

舞台を中心に活動している寺越隆喜(テラコシ タカキ)というフリーで暇な俳優です。
近年は俳優だけに限らず、身体表現や即興、はたまた舞台に関わらず、日本に関わらず様々な場所で表現を模索しながら活動してるので果たして自分は俳優なのか?パフォーマーといった方がいいのでは?とか模索の日々。

※2023年現在までの作ったものの映像や写真をまとめてのせてあります。



そんな僕がこのコロナ禍になりいろいろ考えました。

コロナ前までは東京にいれば面白い公演のオーディション、ワークショップ(練習会みたいなもの)がワンサカあり、暇な自分はそういうものを見つけては飛びついてました。

しかしコロナ禍になり、そういうものが軒並みなくなり、ひたすらバイトの日々になりました。

これでいいのかなぁ~?

とか考えながら日々を生きてましたが…どんどん何かが胸の中にたまっていくのを感じてはいました。

明確には何がきっかけかは覚えてませんが、ある時そのモヤモヤが爆発しそうになり

自分で動かなければいかんだろう!

と考えるようになりました。

そこからは早かったです。
企画を考え始めて、、、といっても自分は事前に入念に準備するのが苦手なので直感でやりたい事をあげていき大枠を決めました。

・知らない人と何か作りたい
・様々な土地に行きたい
・滞在制作したい

これをまとめたのが「出会った人と作っていくぜ」という企画です。

「出会った人と作っていくぜ」とは?

①まずは行き先と日程を決めて自分のSNSで発信して興味ある人募ります。
②繋がった人と事前に連絡とりあい話します。
③日程がきたらその土地にいき事前に繋がった人と会い直接話します。更にその人から紹介されたり、表現に興味ありそうな人達が集まる場所などを教えてもらい出向きます。
そして参加者が決まったら彼らと何ができるか?どういう作品をどういう場所で作るか?をより深く話しあいます。

ざっくりこんな感じですが、①が一番苦戦します。当初は苦戦する理由がよく分からなかったのですが…よく考えればそりゃそうです。こんなよく分からないやつのよく分からない企画は(更にそんなに拡散力もない)怪しすぎるでしょ(笑)

第一、第二弾やった今でこそ、こうやって整理して書くことが少しはできるようになりましたが、当初はうまく言葉にすることができなく「こいつは何者で何がやりたいんだ?」というところが大きかったと思います。

なのでSNSで繋がってる東京の知り合いがその土地の人を紹介してくれるという形がほとんどです(まぁここは今もそこまで変わってませんが…😢)

③に関していえば実際その土地にいってみなければ決まらない事が多いので、その土地、出会う人によって全く流れが違います。

どういう人を募集してるの?

参加者の定義は表現者(俳優、演出家、ダンサー、作家、写真家、歌手…等々)は勿論のこと表現者じゃなくても、基本この企画に興味があれば誰でも大丈夫としてます。

なぜかというと一番は自分が驚き、楽しみたいからです。
ジャンルを制限してしまうとその分野の人しか集まらなくて自分の予想の範囲を越えない気がします。

自分は一人で何かをやることがあまり好きではありません…というかできないのかも…。
相手がいて始めて「この人とだったらこれが出来るかも」と浮かんできます。
なので、その相手はいろんな視点の人達がより面白く、想像かきたてられます(かといって同ジャンルを求めてないわけではありません)

まぁといってもジャンル分けする意味もないのかもしれませんが…人間は誰もが違うわけですし…そもそも自分自身どのジャンルの人なのかわからないのに何いってんだ(笑)

……ちょっと迷走しだしたので話しを戻しますと基本この企画に興味ある人誰でもOKです!

どうやって何をつくるの?

実際話して、自分が印象深く感じたところ(その人の事やその場所など)を抽出してざっくりとした形で提案します。そこからまた話し合いながら形づくっていきます。

ディスカッションして実際やってみてフィードバックして、更にやってみてという作り方です。
一番意識していることは誰もが平等に意見をいえる空間作りです。
あくまで企画したのは自分ですがパワーバランスは常に平等でいたいです。
なので一番始めに提案するのも自分じゃなくてもいいと思ってます。
自分が提案した時は特に強制的にならないように、周りの声をちゃんと聞くように意識していますが、、、いかんせん器の小さい自分ですからここはまだまだ勉強中です。参考までに今まで作ったもの(映像や写真)をまとめてのせときます。


2021
■第一弾 四国編■(1週間ずつ香川、徳島、高知愛媛の順で)

・香川県高松市「孤独とは」

本を人に置き換えて、探している本(=友達)が見つからない女性がどういう行動に出るのか?本屋で即興的に行う。

出演 寺越隆喜、桐子カヲル、Aさん
場所 本屋ルヌガンガ



・徳島県徳島市「カケル」

描く、描かれるという関係性で徳島の一週間をボディペインティングで表現。パフォーマンスではなく映像、写真として表す。
出演 寺越隆喜、ぼう
映像 鵺 写真 Rinda
場所 株式会社reterace.ビルの使ってない部屋


写真 Rinda


・高知県いの町「仁淀川の鯉のぼり」

仁淀川の近くで製紙会社(和紙)の作業をしながら過ごす。仁淀川の鯉のぼり祭り(様々な和紙を仁淀川に流す)がで中止になったので自分が仁淀川に流れる事によって体現しながら和紙を使ったパフォーマンス。
出演 寺越隆喜、遠枝恵実
撮影 遠枝澄人
場所 仁淀川


写真と映像 遠枝澄人

・愛媛県松山市中島「おはよう」

松山沖に浮かぶ中島の太陽があまりにもきれいにみえる海辺の場所を見つけたので朝日と共に舞踏家、俳優たちと即興的に存在するパフォーマンス
出演 寺越隆喜、木室陽一、ほがさん
音 Bさんによるトランペット
場所 中島の海辺


日の出とともに存在する


■第二弾 北海道編■(1週間ずつ札幌、蘭越、函館の順で)
・札幌「わ×わ×わ」

映像として編集するのを前提に作る。人を集めて様々なところで即興をする。ルールはサッポロビールを持つことのみ。ひたすら遊んでもらう。映像は寺越から始まりどんどん輪が広まっていくイメージ。
出演 寺越隆喜、浦竜也、工藤康二、川島靖史、栗原聡美、太田友香、その他多くの札幌の方々
場所 札幌市の様々な場所
映像編集 浦竜也



映像 浦竜也


・蘭越作品「隔てなきショーウィンドウ」

価値感の受け入れを元にパフォーマンスを作る。
結果としてこのパフォーマンスは出演者の中西勇気さんの結婚を蘭越の人達が多いに祝うというところに結実。

出演者 寺越隆喜、中西勇気
音 蘭越市に昔からある音頭
場所 PIAかねこのショーウインドウ


服屋のショーウインドウを貸してもらう



・函館作品①「マリオネット」

参加者のりょーちんの頭の中を具現化して彼をその空間にぶち込んだらどういう事になるか実験。
出演 りょーちん
場所 知り合った現代美術家のアトリエ
映像編集 寺越隆喜 西田伊吹


おれから見た頭の中のイメージ



・函館作品②「生きる」

写真家西田伊吹に海辺でパフォーマンスしてるところを撮ってもらい1枚の写真に仕上げてもらう

写真 西田伊吹@i_24_photo_7


・函館作品③「邂逅」

身体が空間の雰囲気を作るのをリキッドライトを使い視覚化するパフォーマンス

出演 寺越隆喜、新保さん、ヤマハナリョウ
リキッドライト 伊藤碧
音 館宗武
場所 伊藤碧さんのシェアハウス裏の倉庫
写真、その他諸々 西田伊吹


写真と映像 西田伊吹


■第三弾 東京編■
・戯画リンピック「マスクオンマスク」

山下智代さんと引地川にあった鳥獣戯画のオブジェから着想を得た架空の競技を作りあげ実際に引地川で行う
出演 寺越隆喜 山下智代
音 オカリナゆうこ
場所 引地川
映像 吉田みずほ


映像 吉田みずほ


・「青葉荘 竹」

梅崎信一さんと寺越が住んでるアパートで体験した事を膨らませて作った覗き見パフォーマンス。
出演 寺越隆喜 梅崎信一
監視人 松本響
場所 寺越のアパート
映像 吉田みずほ


写真と映像 吉田みずほ

・出会った人と作っていくぜ東京芸術祭

コロナ禍だったせいもあり、参加者それぞれに一人の人と向き合ってもらおうと思い、二人一組のペアを好きなだけつくってそれぞれ創作してほしいと提案。出来たものが写真、往復書簡、映像などだったのでそれを一堂に介して世界一小さな芸術祭として寺越の家を会場として行う。
参加者 寺越隆喜 小川ジョウジ 國松卓 山下智代 梅崎信一 中山侑子 村山かおり 吉田みずほ



チラシと映像 吉田みずほ
出会った人と作っていくぜ東京ミュージアム

2022
■第四弾 伊豆大島編■
・「大島のボレロ」

ボレロを波及のイメージとして中心に伊豆大島在住の舞踏家青木建さん(本番不在)を据えてそこから波及していく。それぞれの関係性、個性などを表現してそれをみている人達にも波及させていくパフォーマンス

出演 寺越隆喜、樋口綾香、Cさん
協力 YossyBrooklyn、モリヤマコージーロー/青木建
音 ボレロ
映像 太郎さん
場所 野田浜

チラシ 樋口綾香
大島在住青木さんを中心に

・「脳内エクスチェンジャー」

大島で関わった人達を寺越は大島で拾ってきた海の漂流物で樋口綾香は抽象的な絵や写真で表現して、それを組み合わせて寺越の家に具体化。その上で様々な道具を置いといてそこに訪れた人達に自由に遊んでもらう場として提供。最終的には訪れた人達の脳内が合わさったような空間が出来あがる。

管理人 寺越隆喜
身体詩人 樋口綾香
場所 青葉荘竹(寺越の住んでるアパート)
映像 樋口綾香
音 ボレロ


チラシ 樋口綾香
この状態がどんどん変わっていく

■第五弾 新潟佐渡島編■
「どろリンピック」参戦

地域お越し協力隊によるドロドロのたんぼで行われるどろリンピックに参加。その余興としてたんぼで生きるカラダを意識して即興的にパフォーマンス。出演 寺越隆喜
協力 佐渡の地域お越し協力隊の人達
場所 佐渡ヶ島の昇龍棚田

どろリンピックで地域の人達と戯れる
昼休憩に即興的に「たんぼとからだ」をやる

■第六弾 駄菓子屋編■
「親子ってなんぞ?」

近似のよく話すおっちゃんに「息子と繋いでくれないか」と頼まれたところが出発点。おっちゃんと息子は絶縁状態が続いている。寺越自身も親父とはまともに会話を久しくしていない。捜索を通じて、自身の事も交えて親子というものを考え、親の空間と息子の空間とそれをとりもっている母の空間を作る。
息子の空間の展示の一部 樋口綾香
管理人 寺越隆喜
場所 青葉荘竹(寺越の住んでるアパート)

チラシ 樋口綾香
¨親¨の空間
¨子¨の空間
¨親¨と¨子¨を繋ぐ空間としての駄菓子屋
映像 吉田みずほ

■第七弾 レンタルスペース編■
「子宮生前葬」

子宮を摘出する女性の希望がありそこから空間をイメージ。子宮への入り口から血管のような赤い紐に彼女の子宮の歴史が順を追って書かれてあり終着地に祭壇のような場所で彼女の子宮とのお別れを意識させて子宮についてそれぞれ話し合えるような空間を作る
子宮の持ち主 佐藤紘子
案内人 寺越隆喜
場所 StudioOnda東中野

子宮への入り口
子宮の持ち主

■第八弾 西成編■
「包容の渦」※路地裏の舞台へようこそ2022参加

どんな人でも許され受け入れられるからこそ強い引力がある渦のようなイメージの元、公園のオブジェ(多くの人が座れるスペースがある)を西成としてそこに引き寄せられてしまう人とそこに対して嫌悪している人によるパフォーマンス。共演者としてそのオブジェに座っている人達を勝手に意識。
出演 寺越隆喜、樋口綾香/西成の人達
揉め事仲裁などの見守り人 Dさん
場所 西成の四角公園(警察裏)

チラシ 樋口綾香
西成の人達も巻き込んだパフォーマンス
最後子供に囲まれる樋口


■第九弾 沖縄編■
「Unvisual Painting」

沖縄市の銀天街のシャッターに身体でペインティングしようとしたところペンキの資金が足りず断念。知り合ったyoshikawa satoruのアドバイスを元に視覚化できない、頭の中でうまれるペインティングというのを考えゲリラ的にパフォーマンス。
出演 寺越隆喜
映像、写真 yoshikawa satoru
場所 那覇市のビル


映像 yoshikwa satoru


2023

❏第十弾宮崎編❏(新富町)

「舞のみにけーしょん」

コロナにより集まりを欲しているのを感じ、祭りっぽい事を意識。祭りといったら盆踊りと考え、日常の動作を踊りにしていく即興盆踊りを作ってみんなで踊るパフォーマンス。その上で徐々に音を奇妙にさせていき身体が変質していくのか実験的にやってみる。これは新富町で日常的に飛び交っている飛行機から着想。
出演 寺越隆喜、樋口綾香、新富町の人達
音 新富副町長(タイコ)
場所 水沼神社
協力 新富町役場、新富町の人達

チラシ 樋口綾香
パフォーマンス前


❏第十一弾岩手編❏(二戸市)
体験型アトラクション「Feelinling」

自殺率が全国でもトップクラスに高い二戸市。そこから死というものを調べた時に”ゼロポイントフィールド仮説”というものにたどり着き、その空間を空き小屋を借りて作る。(ざっくり説明するとゼロポイントフィールド仮説は地球の全ての事象が波動エネルギーで残っている空間があり、身体が機能しなくなっても意識としてそこに残り続ける)
来てくれる人達にはあまり説明はせず体験型アトラクションとして五感を研ぎ澄まして楽しんでもらう。
アトラクションの一部 寺越隆喜、樋口綾香
音 猿楽
場所 ギフト北岡の奥の倉庫
協力 二戸市の人達

チラシ 樋口綾香


空き家を借りて空間を作る(本来は真っ暗)


❏第十二弾 隠岐の島編❏(海士町)
「ゲイニャキョウニャ」

この土地に根付いている踊りキンニャモニャを自分達の解釈で考えそこから作る。キン(金)ニャ(女)モ(物)ニャ(ない)つまり金も女も何もないという説があり、これを何もなくても生きていけると捉える。そこから自分達が生きていく上で大切にしている事(共通している三つの〇〇〇ニャ)を考えゲイ(芸)ニャ(女)キョウ(共)ニャが出てきた。芸は表現活動、女は女、女性性、共は共有、共生。この大切なものがなくても生きていけるのか?自分達は生きていけると判断。ただそこに対するそれぞれの距離感や向き合い方は様々でそれを含めてパフォーマンスで表現。映像、空間を利用していろんな角度から楽しんでもらうように意識。
出演 寺越隆喜、樋口綾香/海士町の人達
映像出演 スナックみちくさのママが教えてる踊り会の人達、子供相撲の練習中の子供や親子さん、大人の島留学で来ていた人達、観光で来ていたDさん
場所 あまマーレ
音 キンニャモニャ音頭
映像 寺越隆喜
協力 海士町の人達

チラシ 樋口綾香
キンニャモニャ踊りから着想を得たパフォーマンス


2024

❏第十三弾 鳥取編❏(湯梨浜町)
「(仮)源泉パトロール」

湯梨浜町に広がる東郷池とここの人の営みを考えてく中で”循環”というテーマにたどり着く。東郷池の中にある源泉からの循環から始まり、生きていくこと、自然との関わり、大きくいえば地球という生命体、様々な循環をイメージして空間と身体、時には言葉を交えて表現。
タイトルの(仮)は生きているのか?生かされているのか?循環しているのか?循環させられているのか?みたいなところから。パトロールは源泉から出た水が様々なところをパトロールしてるみたいなイメージから。
出演 寺越隆喜
映像 湯梨浜町のおっちゃん
場所 養生館
音、空間 Bobuuun

チラシデザイン 吉田みずほ
パフォーマンスの始め


では第一弾の場所どうする?

場所選びは相当悩みましたが、最後は直感です。予算、時間共に限られている中で四国だったら4つの県が密集しており、各県を1週間ずつ巡ればより沢山の人との出会い、場所の違いなど多くの発見があると思ったから

基本場所選びは難航するんですよね…。なんといっても行ったことない魅力的な場所は日本に多すぎるから。ゆくゆくは海外も考えているのでもっと難航することが予想される(笑)
第一弾はこの企画をやるにあたりいろいろな人に話している中で四国という話しが出て直感で決定!でもこれが後々悩みの種に…まぁこの話しは後程。

いざ実行へ!

この企画をやるにあたり日々の記録をSNSで綴っていました。ここではそれを大幅に加筆修正して書いていこうと思います。

その時の事を思い出すと今更ながらこんなよく分からないやつのよく分からない企画に皆よく協力してくれたなぁと頭が下がる思いです。

その当時のありのままの日々の日記は自分のインスタにのせています。興味ある方はみてみて下さい。

それでは暇な俳優?パフォーマー?が様々な土地で好き勝手やっていくさまをご覧下さい。本人は至って真面目ですが(笑)

寺越隆喜



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