「仁淀川の鯉のぼり」
1週間和紙と向きあっていたので、自分で紙漉きをして和紙を作らせてもらうことで一つの形として作ることができて高知はそれでいいかなぁと思っていたが、急遽の遠枝恵さんの出現により和紙の鯉のぼり祭りの体現を思いたつ。
これが前日までのお話し。
早速朝から遠枝恵さんと夫の澄人さんが、いの町に来てくれて、どういうものをやるか話す。
夫の澄人さんは表情変わらずにおれの話しを聞き撮影を了承。
¨楽しんでくれてるのかな…わからん¨
まぁ大丈夫だろうと思い、早速目の前の仁淀川へ。
雄大な山、そして仁淀川の自然と一体になるため、おれが自然の姿になり(裸)、仁淀川へ入り流れる、鯉のぼりのように。
恵さんは目の前の自然から受けたものを即興で舞う。
澄人さんはそれをカメラで切り取り、自然を生かしてもらうため映像を引きで撮る。
恵さん、澄人さんがセッティングしている時におれは仁淀川がどういう感じなのか実際入って確かめる。周りの人達はけっこう冷たいよ、とかいってたけど大丈夫だろうと思いとりあえずいったれ!
さ、さみーーーー!!寒すぎる!
これは長時間やっていたら本当に死んでしまう。とりあえず体温を戻すために座り込み縮こまる。
これやべぇなぁー。
自然なめてた…体温よ戻ってくれぇ~。
二人はセッティングを続けている、よしよしまだまだ時間かかりそうだ。
ひたすら体温に全集中。
戻れ~戻れ~体温もどれ~
そうしているとにわかに忙しなくなってくる澄人さん。
「黒と白どちらが映える?」
と緩やかな恵さんを制して
「黒でいいよ!もう始めるよ!」
おいおいもっとセッティング時間かけていいのに……おれの体温はまだ完全ではないぞ…
マジかーすぐ始まりそうだ、やるしかない!
澄人さんのスタートの声が聞こえる。
おれは立ち上がり仁淀川へ歩き始め、そして入水。
限界までは流れようと思い、流れるために手を動かし続ける、鯉のぼりのように。
つ、つめたい…本当にヤバい……もうダメだ…死んでしまう…。
川から出て、タオルを探すが見つからず、やむ無しと思い念のため持ってきていた高知の集大成である和紙で身体を拭く。和紙は本当に丈夫だ、びちゃびちゃにならない。
うわ~体温が戻っていく。おれは和紙をこのために作ったのかもしれない?
ビチャーーンという音が
見るとめぐみさんが仁淀川に浮かんでいた。
少し川に浮かんだ後、陸に上がってきて恵さんの口から「終わりー」と聞こえる。
だが澄人さんはやめようとしない。
基本スタートとカットは澄人さんに任せていたので、だったらおれとめぐみさんも続ける。
おれの背中合わせにめぐみさんが座り込む。濡れているめぐみさんに自分の身体を拭いた和紙を渡す。
あ~和紙を通して交流してる。
これが高知での1週間だったのかもなぁ。澄人さんのカットの声が聞こえる。なんか自然と心地よく一部になれた気がした。
澄人さんに
「寺越さん全然流れなかったですね」
といわれ、奇しくも今年の鯉のぼり祭りと同じ状態になったなぁと思い、笑った。
更に澄人さんが
「セッティングしてる時、寺越さんが一点見つめて集中してるから早く用意しなきゃって焦りましたよ」
と言われ、あ~体温戻そうと必死になってるのを勘違いされてたんだなぁと、また笑った。
冬の川は驚くほど冷たい。
映像と写真 遠枝澄人
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