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令和四年度自画自賛怪談集

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記事一覧

座敷童(?)

仕事の関係で地方への移住が決まった。
近くにアパートがなかったので古い平家を借りた。

移り住んでからしばらくすると、
奇妙な現象が多発した。
机の上に置いていたものがズレたり、
電気が勝手についたりする。
不気味だったが、悪意は感じなかったので放っておくことにした。

兄夫婦が旅行も兼ねて子供を連れて遊びに来ることになったので、スーパーで買い物をした。
酒とつまみ、子供用にお菓子を買って、
まと

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心理的瑕疵なし。

不動産屋の友人と飲みに行く機会があったので、聞いてみた。
「事故物件とか幽霊が出る部屋とかあるの?」
怪談好きなら絶対に聞くであろう質問に友人は苦笑いしながらも答えてくれた。
「うちは小さい田舎の不動産屋だからそういうのはないかな。」
あからさまにテンションが下がった私を見て友人が続けて話してくれた。

「人が死んだとかもない普通の部屋なんだけど、何回も同じクレームがくる部屋ならあるよ。」
「どん

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第6回 笹村絵莉那展覧会

第6回 笹村絵莉那展覧会

明日のみ急募 
日当2万円 
労働時間3時間
詳しくは 090 ×××× ××××

ポスティングされていたチラシは誰がどう見ても怪しい内容だったが、ちょうど金欠学生だった自分は思い切って電話をしてみた。

「バイトのチラシを見て電話をかけたのですがまだ応募は可能ですか?」
「ああ!助かるよ!人手が足りなくて困ってたんだ!」
「日当とか大分高いですが、仕事内容はどんな感

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村上さんですか?

久しぶりに会った後輩に聞いた話

2.3年前から月に何回か同じ人から間違い電話がよく来るんですよ。
「村上さんですか?」って。
「いや、ちがいます。」
って答えて切るのが毎回の流れなんですけど、めちゃくちゃ気持ち悪いんすよね。

「いや、普通に相手が間違えてるだけじゃないの?」
後輩が話終わった際に私が言うと、後輩が暗い顔で話し出した。
「何回か電話番号変えてるんですけどねぇ。」

S県Yさん

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とびだしちゅうい

夜中に金縛りで目が覚めた。
体は動かないが、目だけは動くのであたりをキョロキョロと見渡してみた。

あれ、何かあるぞ。

テレビの前に何か人影がある。
ソイツは直立不動で一切動かない。
初めの方は真っ暗で人影の正体は分からなかったが、段々と目が慣れてきて正体が分かった。

ソイツの正体は通学路によく置いてある看板だった。
「とびだしちゅうい」
文字も小学生男子のイラストも通学路に置いてあるまんまの

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ヤ○ザもビビる

ふらりと入ったスナックのカウンター席、
隣の席の方と仲良くなった。
彼の名前はAさんといい、
話をしていくうちに彼が元ヤ○ザだと分かった。

好奇心を抑えきれずに聞いた。
「今までで一番怖い体験はなんですか?」

まだ現役でヤ○ザだった頃、
Aさんは若い衆を引き連れて、
5人で飲み歩いていた。

ひたすら飲み歩き、夜も開け始めた頃、
目の前から背の高い筋肉質な男が歩いてきた。
このまま歩いてくると

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何でも屋への依頼

Wさんは何でも屋をしている。
何でも屋と言っても珍しい仕事はなく、
引越しや掃除がほとんどだという。

ある日、仕事の依頼が入った。
アパートの一室を片付けて欲しいという依頼だった。

<作業内容>
1.家具や雑貨など中にあるものは全て捨てて良い
2.当日、依頼者は来れない。
3.鍵だけを先に事務所に送る。
4.作業終了後には妹が確認に来る。
5.通帳と捨てて良いかわからないものは妹へ渡して欲しい

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ついていきます。

最近になり、家の中でおかしなことが増えた。
家族全員でリビングにいる時に2階から足音がしたり、
誰もいないはずの部屋から女の笑い声がしたりする。
家を建てて20年近く住んでいるが、
曰く付きの土地ではないし、
家の中で誰かが死んだりもしていない。

どうしたものかと家族で悩んでいたら、
妻の知り合いに霊感がある人がいるという。
藁にもすがる思いでその方(Aさん)に頼んでみた。

私は仕事で立ち会え

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事故物件日当10万円

「めちゃくちゃ高時給のバイトを見つけたんだけど、一緒にやってみない?」
講義終わりに大学の友人から誘われた。
丁度金欠気味だったので、詳細を聞いてみることにした。

「どんくらいの仕事量で、どんくらい貰えるの?」
「アパートの1部屋を掃除して、一日泊まって日当10万円。」
「え?」
あからさまに怪しすぎる内容に、怪しすぎる日当。
普通なら断るような内容だが、好奇心が勝った。
僕は友人とバイトをする

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勝手に入る

ある雑誌で漫画を連載していたYさんの話。
なんとか原稿を提出した次の日、
提出した原稿のやり直しを頼まれた。

どこを直せば良いか担当に聞いてみると、
あるページの通行人の顔だという。

言われたページを見てみてドキッとした。
主人公達とすれ違った通行人の顔が、
思い切り読者目線で、
斜めに引き伸ばされたような顔をしている。
これじゃあ話が頭に入ってこない。
…こんな気持ち悪い顔描いたかなぁ。

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お笑いグランプリの怪

死んだ姉は生前、あるコンビ芸人Sのファンだった。
その芸人さんはまだあまり有名ではなかったが、
姉はわざわざライブを見に他県へ何度も遠征するくらい、熱狂的なファンだった。

そんなお笑いコンビが、
ついにあるお笑いグランプリへの決勝まで残り、
地上波で漫才をすることになった。
「姉ちゃんが生きてたらめちゃくちゃ喜んでただろうね」
そんな話をしながら母とテレビを見ていた。

そのコンビは優勝こそはで

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3-5-7

私の知り合いのEさんから聞いた話。 

Eさんの上司のAさんはかなりの競馬好きだった。
AさんほどではないがEさんも競馬が好きだったので、
職場でよく競馬の話をしたし、
大きなレースがあると二人で競馬場に観戦に行ったりもした。

そんなAさんが事故で亡くなった。
急な別れでかなりショックを受けたEさんは、
何日も会社を休んでこのまま辞めようかとも思った。
そんなある日、夢見た。

会社でAさんがニ

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子供はなんでも捕まえてくる。

ある夏の夕方。
仕事おわりに歩いていると、
後ろから背中を叩かれた。
振り向くとコーラの缶を片手に持った女の子が立っている。

「え、なに?」
女の子に声をかけると、
悪戯っぽい笑顔で持っていた缶を私に差し出した。
「覗いてみて。」
言われるがままに缶の中身を覗いてみると、
中にはカブトムシがいた。
この大きさの虫は普通なら入れない筈だ。
手品かなにかだろうか。
「え、すごい。どうやって中に入れた

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このブログで掲載している怪談の1%はノンフィクションです。

4月ごろからこのブログを書き始めて早3ヶ月が経った。
現時点で公開している記事が48個。
マニアックな皆様の応援のおかげで続けられている。
この場を借りて感謝を伝えたい。

1から私が考えたフィクションが7割。
私が実際に遭遇した話が1割。
残りの2割は取材のような真似をして集めたものになる。
今日はその取材の際に遭遇した怪談について話す。

誰かに習ったわけでも仕事にしているわけでもなく、
完全

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