ふらりと入ったスナックのカウンター席、
隣の席の方と仲良くなった。
彼の名前はAさんといい、
話をしていくうちに彼が元ヤ○ザだと分かった。

好奇心を抑えきれずに聞いた。
「今までで一番怖い体験はなんですか?」

まだ現役でヤ○ザだった頃、
Aさんは若い衆を引き連れて、
5人で飲み歩いていた。

ひたすら飲み歩き、夜も開け始めた頃、
目の前から背の高い筋肉質な男が歩いてきた。
このまま歩いてくると俺たちとぶつかるな。
なんとなくそう思ったが、
いかつい男5人を見て、相手が避けるだろうと、
Aさん達は横に広がったままで歩いていた。

男の顔がなんとなくわかる距離まで来た。
なんや背が高いと思ったら外人さんか。

ぼんやりと外国人を眺めているとおかしな点に気がついた。
目の前から来る男の身長は2mを余裕で超えている。
外国人とはいえ、身長が高過ぎないか?
なんとなく足元を見た時に謎が解けた。

目の前の外国人はハイヒールを履いていた。
顔を見てみるとかなり濃いメイクもしている。
あ、この外人さんはオカマなのか。
珍しいものを見たなと感心しながらすれ違おうとすると、
思い切り肩がぶつかった。

この野郎…!
各々文句を吐きながら振り返った。

後ろにはすれ違ったはずの男はいなかった。
「あれ、誰もいないぞ。」
「あんなでかい体でどこに隠れたんやろか。」
Aさん達が話していると、
「うわ!!」
若い衆の1人が叫びながら目の前を指差した。

さっきと同じ男が同じ方向から歩いてきてる。
Aさん達はパニックになりながら逃げ出したと言う。

「あれは意味が分からなすぎて怖かったわ。外人さんでオカマでお化けやで。あんなもんはヤ○ザもビビるわ。」

Aさんは笑いながら話した。

O県 Aさん

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