ついていきます。

最近になり、家の中でおかしなことが増えた。
家族全員でリビングにいる時に2階から足音がしたり、
誰もいないはずの部屋から女の笑い声がしたりする。
家を建てて20年近く住んでいるが、
曰く付きの土地ではないし、
家の中で誰かが死んだりもしていない。

どうしたものかと家族で悩んでいたら、
妻の知り合いに霊感がある人がいるという。
藁にもすがる思いでその方(Aさん)に頼んでみた。

私は仕事で立ち会えなかったので、
ここからは妻の話になる。

「なんかいるわ。」
Aさんは家に入る前にボソっとつぶやいた。
家中を妻とAさんで見回ってみたが、
Aさんは怪訝な顔をするだけで、
特に何も言わなかった。

一通り見回りが終わったあと、
妻とAさんとでお茶を飲んでいる時にAさんは話しだした。
「家に入る前は凄い嫌な気配がしたんやけど、家に入るとかなり薄れたんやよね。なんか原因があるとしたら外かもしれんわ。」

お茶を飲み終わり、2人で庭に出てみた。
「ここ、ヤバいわ。」
庭の入り口付近でAさんは叫んだ。
妻が足元を見てみると、なにかを埋めたような跡がある。
もしかしたら原因はこの土中かもしれない。
2人で掘り返してみると、
何か丸い石のようなものが出てきた。
死体か何か出てくるかと思っていた妻はほっとしていたが、
石を見た瞬間にギョッとした。
石には綺麗に女の人の顔が彫られていたのだ。
「どこの誰かしらんが不気味なもんを埋めたわね。」
Aさんが何気なしに石を裏返した。

「ついていきます」
石の裏には綺麗な字でそう彫られていた。

何故か分からないが、
その字面を見た瞬間に2人揃って鳥肌がたった。

誰が何の為に埋めたのか、
彫られていたのは誰の顔だったのか、
字面の意味は何だったのか、
分からないことが多すぎたが、
その石を川に捨ててから、
我が家でおかしなことは起きなくなった。

I県Oさん

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