子供はなんでも捕まえてくる。

ある夏の夕方。
仕事おわりに歩いていると、
後ろから背中を叩かれた。
振り向くとコーラの缶を片手に持った女の子が立っている。

「え、なに?」
女の子に声をかけると、
悪戯っぽい笑顔で持っていた缶を私に差し出した。
「覗いてみて。」
言われるがままに缶の中身を覗いてみると、
中にはカブトムシがいた。
この大きさの虫は普通なら入れない筈だ。
手品かなにかだろうか。
「え、すごい。どうやって中に入れたの?」
「もう一回見て。」
私の問いかけを無視して女の子は催促する。
言われるがままに中を見てみた。

体育座りをした中年がいた。
全裸で少し小太りの男性だった。
初めはおもちゃかと思ったが、
中身を見ている私に手を振った。

驚いて缶から目を離すと、
女の子はいなくなっていた。
もう一度中身を覗いてみるとそこには何もいなかった。

このブログで掲載している怪談は99%フィクションです。

F県Fさん

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