吉田A仮名(ええがな)

1990年、大阪に生まれる。小2、F君との遊びに飽きていると、ガムが欲しくなり、「マッ…

吉田A仮名(ええがな)

1990年、大阪に生まれる。小2、F君との遊びに飽きていると、ガムが欲しくなり、「マッハで買ってくるから」とF君を残し、チャリでガムを買いに行くも、T字路で車にぶつかり、たんこぶができる。中2の夜、親父に500円貸し渋ると、椅子を持ち上げて追いかけられる。現在、文章を書いている。

マガジン

  • 透明無題日常劇場

    これは日記。すなわち、透明無題の日常を綴る一個の人間の、魂の軌跡、生命の神秘、宇宙的エロスの三文芝居。

  • 吉田戦車『伝染るんです。』に触発された400文字

    吉田戦車『伝染るんです。』(文庫版)に触発された文章を掲載していきます。二次創作的なノリで、1つの四コマ漫画につき400文字、思いついたことを書いています。400文字は作品と関係があったりなかったりします。よく分からない営みですが、私なりの『伝染るんです。』への愛です。

  • 言わんでもええがなエッセイ 好きだの嫌いだの

    身の回りのものについて、好きだの嫌いだの書いたものを掲載していきます。各noteごとのテーマは、連想的につないで決めていきます。「好き」の中に「嫌い」を、「嫌い」の中に「好き」を発掘してやろうという、変な意気込みで書いていこうと思います。やらんでもいい、不自然な営みです。1作品1000字程度。

記事一覧

透明日記「季節が少し戻る」 2024/07/11

朝、昼、雀にエサをやる。小さい雀が来ていた。みすぼらしく濡れそぼり、腹の毛が黒ずんでいる。頭に濡れた毛が立つ。催促するように近づいて鳴く。哀れんで、多めにエサを…

透明日記「中洲には巨大な風が吹いている」 2024/07/10

朝、梅雨曇りで風の少ない日だった。セミの声が神社の方から聞こえていた。セミは朝しか鳴かなかった。 朝のうちに川辺に行くと、土手には人も鳥もいない。ハトまでいない…

透明日記「午前十時に散歩する」 2024/07/09

今日は雲の表情が激しい。朝の空は淡め。夕方の空はくっきりし始め、いろんな形の雲が出ていた。陰影も豊かで、見応えがあった。 最近は遅くまで明るく、夜はやたらに短い…

透明日記「空の青が深くて散歩」 2024/07/08

暑い日が続いているけど、これからもずっと暑い日は続く。暑い暑いと言うのにも飽きた。だから、空の青が深いとか、暑い以外の夏も見るようにしよう。 朝、岡崎京子の漫画…

透明日記「車突っ込み、夏来たる」 2024/07/07

朝起きて漫画を読む。漫画のような気分になる。 ぼくは人間から逃げる野ウサギのように、クーラーの効いた家から飛び出した。 マンションの廊下を駆け抜け、階段を転げ落…

透明日記「無能の人が好きだった」 2024/07/06

太陽が躁病だったので、ぼくは散歩を諦めた。外は焼け石で、少し歩くだけでも修行のようだ。 近年、いよいよ太陽はその本性を露わにし、ちょくちょくダークサイドに出かけ…

透明日記「顔の女」 2024/07/05

日記を書き損ね、これになった。 「顔の女」 おれは女を見ていた。傾いた口でよく笑う女だった。大きな口が斜めに付いていた。口の左端はあごの左側にかかり、口の右端は…

透明日記「植物園で鯉を撫でる」 2024/07/04

午前中に外に出た。 街の至るところに高校生がいた。平日は学校にいるんじゃなかったか、あれが今時の高校生ってやつか、なんかよくわからない。制服は着てる。 トングや…

透明日記「ちゃんと食べようと思った」 2024/07/03

ひとつの蕾から複数の蓮の花が生まれる。これを妙蓮と言う。 下苅り半次郎。御陰核が二つあるように見える妙蓮のような子宮を探す漫画。生まれ変わっても将軍になりたいと…

透明日記「前の土曜のごく一部」 2024/07/02

タバコを吸う。煙が舌先に当たる。舌の形が変わり、口の中の煙が外気とともに喉を通る。吸気は呼気に転じ、舌が緩み、煙が吐き出される。心が徐々に落ち着いていく。 こう…

透明日記「空が晴れてきやがった」 2024/06/28

昨日は何をしていたろうか。特に気に留めるようなことがないような日だった。曇りの日だ。今週は、月から金まで雲に覆われ、土曜のこの朝にも薄い雲がある。 今週、陽の光…

透明日記「膝をぶつけて目が覚めて」 2024/06/27

朝はいつも、起きたらトイレに行ってから、口をゆすいで、水分を摂る。それでだんだん目が覚めてくる。でも今日は、水分の手前でコップを取ろうと食器棚に向かったら、その…

透明日記「雀との関係に溝を感じる」 2024/06/26

なんかずっと薄曇りの日が続いてるけど、今日のそれは雲の姿に潤いを感じるって言うか、湖に浮かぶ光みたいな涼しさがあって、吹く風なんかも月曜の朝はしつこくネチネチと…

透明日記「あ、もう、夜なんですね 2/2」 2024/06/24

今日はぼんやりで、とくに何かをやる気がしないけど、ぽつぽつ書くことはできる。ぽつぽつ書いて、散歩に出る。 川辺にも何組かの子連れの雀がはためいている。空気のよう…

透明日記「あ、もう、夜なんですね 1/2」 2024/06/24

朝、だるい。歯みがいて、茶飲む、水飲む、水飲む。水を飲むと、ああ、もう朝ですかと、体が目を覚ます。ぼうっとしながらスピーカーでパンクとか流す。 ベランダでタバコ…

透明日記「いと丸き屁のような詩」 2024/06/22

「エビ」 エビのかたち、意味わからん ちょっとキモい電車みたい 乗りたい あっ、後ろに動くんか なんか思ったの違う ますます 乗りたい 乗りたい乗りたい乗りたい 「…

透明日記「季節が少し戻る」 2024/07/11

透明日記「季節が少し戻る」 2024/07/11

朝、昼、雀にエサをやる。小さい雀が来ていた。みすぼらしく濡れそぼり、腹の毛が黒ずんでいる。頭に濡れた毛が立つ。催促するように近づいて鳴く。哀れんで、多めにエサをやった。

風のよく出る曇り空。明るい灰色の雲、水気の多い空気。季節が戻るような涼しさがある。

朝、ハヤシライス。堀辰雄の「風立ちぬ」を読む。静かな小説。季節ごとの自然が書かれていていい。死にゆく妻との日々、悲しいような幸福。感情が緩やか

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透明日記「中洲には巨大な風が吹いている」 2024/07/10

透明日記「中洲には巨大な風が吹いている」 2024/07/10

朝、梅雨曇りで風の少ない日だった。セミの声が神社の方から聞こえていた。セミは朝しか鳴かなかった。

朝のうちに川辺に行くと、土手には人も鳥もいない。ハトまでいない。珍しい。風もなく、虫の音だけが草むらから聞こえる。

家の近くの橋の下、川岸でコイぐらいの大きさの魚を見た。コイより話しかけやすそうな顔で、コイよりも細い。まん丸の大きい目で、ウロコが細かく、キラキラ鋭い色艶をして、ボラっぽい。川岸でゆ

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透明日記「午前十時に散歩する」 2024/07/09

透明日記「午前十時に散歩する」 2024/07/09

今日は雲の表情が激しい。朝の空は淡め。夕方の空はくっきりし始め、いろんな形の雲が出ていた。陰影も豊かで、見応えがあった。

最近は遅くまで明るく、夜はやたらに短い。夜は七時半ごろにやってくる。七時のベランダがまだ明るい。夕方のベランダには、やらこい風が吹いていた。東の空は静かな青色、雲が眠るように浮ぶ。一日の終わりを見るようで、安らぐ。

昨日の昼は暑く、川辺に生き物も少なかったので、朝の十時に散

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透明日記「空の青が深くて散歩」 2024/07/08

透明日記「空の青が深くて散歩」 2024/07/08

暑い日が続いているけど、これからもずっと暑い日は続く。暑い暑いと言うのにも飽きた。だから、空の青が深いとか、暑い以外の夏も見るようにしよう。

朝、岡崎京子の漫画を読む。昨日読んだ『ヘルタースケルター』が面白かった。軽くて、深い。絵の余白が堪らない。他の作品も古本屋でパラパラめくって面白そうなので買っていた。読んだものは、ハッピーと残酷が表裏一体な話が多かった。すごい作家だ。

ご飯を食べる気がし

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透明日記「車突っ込み、夏来たる」 2024/07/07

透明日記「車突っ込み、夏来たる」 2024/07/07

朝起きて漫画を読む。漫画のような気分になる。

ぼくは人間から逃げる野ウサギのように、クーラーの効いた家から飛び出した。

マンションの廊下を駆け抜け、階段を転げ落ち、車道に出る頃には肉製のスーパーボールとなって、アスファルトを跳ねた。身にまとう冷気はすでに消えていた。

ただただ、路上に跳ね、汗にまみれた。汗のしたたる肉の玉となったぼくは、跳ねた拍子に空中で我が身が分解される運命を望んでいた。

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透明日記「無能の人が好きだった」 2024/07/06

透明日記「無能の人が好きだった」 2024/07/06

太陽が躁病だったので、ぼくは散歩を諦めた。外は焼け石で、少し歩くだけでも修行のようだ。

近年、いよいよ太陽はその本性を露わにし、ちょくちょくダークサイドに出かけては人類に修行を与えるという謎の運動をやめる気配がない。

修行をするぐらいなら、トルコ語でもフィリピン語でも、なんでもいいから語学とかをやりたいような気分になる。夏やし、スカーっと、語学とか、やりたい。と。

それぐらい暑い。散歩に出れ

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透明日記「顔の女」 2024/07/05

透明日記「顔の女」 2024/07/05

日記を書き損ね、これになった。

「顔の女」
おれは女を見ていた。傾いた口でよく笑う女だった。大きな口が斜めに付いていた。口の左端はあごの左側にかかり、口の右端は右頬にかかっている。歯がない。いや、覚えていないだけかもしれない。若いのだから、あったように思われる。

鼻も、口の傾きに合わせ、少し傾いている。小さな鼻だ。ごく自然に、目も傾いている。垂れ目のようだ。垂れ目が、口の傾きに合わせ、左目は鼻

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透明日記「植物園で鯉を撫でる」 2024/07/04

透明日記「植物園で鯉を撫でる」 2024/07/04

午前中に外に出た。

街の至るところに高校生がいた。平日は学校にいるんじゃなかったか、あれが今時の高校生ってやつか、なんかよくわからない。制服は着てる。

トングやゴミ袋を片手に道に群れる高校生、ペンを片手にスーパーの休憩スペースに群れる高校生、自転車で群れる高校生。あちこちに群れが見られる。雀みたいだ。

群れから外れた高校生もたくさんあった。風にさらわれる蝶のように自転車を漕いでいた。早退にし

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透明日記「ちゃんと食べようと思った」 2024/07/03

透明日記「ちゃんと食べようと思った」 2024/07/03

ひとつの蕾から複数の蓮の花が生まれる。これを妙蓮と言う。

下苅り半次郎。御陰核が二つあるように見える妙蓮のような子宮を探す漫画。生まれ変わっても将軍になりたいと言う徳川家綱の命により、忍者が女の陰毛を剃って回る下苅り屋に身をやつし、旅に出る。

朝、アホな設定の渋い漫画を読んでいると、ゴミ屋の時間が来ていた。急いでゴミを集める。

大きなゴミ箱を開けると、生ゴミの腐臭がもわっと湧き立つ。腐臭はと

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透明日記「前の土曜のごく一部」 2024/07/02

透明日記「前の土曜のごく一部」 2024/07/02

タバコを吸う。煙が舌先に当たる。舌の形が変わり、口の中の煙が外気とともに喉を通る。吸気は呼気に転じ、舌が緩み、煙が吐き出される。心が徐々に落ち着いていく。

こういうことを書いていたい。土日を振り返って、映画を観に行ったり、ライブを観に行ったり、千鳥橋に遊びに行ったり、小説添削の聴講に行ったりしたけれど、それらについて書いていたけれど、思い出すと面白いのだけれど、なぜか書いていて面白くなくって、諦

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透明日記「空が晴れてきやがった」 2024/06/28

透明日記「空が晴れてきやがった」 2024/06/28

昨日は何をしていたろうか。特に気に留めるようなことがないような日だった。曇りの日だ。今週は、月から金まで雲に覆われ、土曜のこの朝にも薄い雲がある。

今週、陽の光をくっきり見たのは33秒ぐらいだ。太陽が雲の切れ間でベロを出しているのが、ぼくの目には見えた。長期休暇なのか、ゴーグルと海パンを着用していた。太平洋に行く途中だろうか。太陽のプライベートに興味はないが、毎日曇りは気が滅入る。

昨日の夕方

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透明日記「膝をぶつけて目が覚めて」 2024/06/27

透明日記「膝をぶつけて目が覚めて」 2024/06/27

朝はいつも、起きたらトイレに行ってから、口をゆすいで、水分を摂る。それでだんだん目が覚めてくる。でも今日は、水分の手前でコップを取ろうと食器棚に向かったら、その食器棚に膝をぶつけて目が覚めた。

家の食器棚には炊飯器を置く架台が付いている。架台はスライド式で、食器棚自体の据え付けが悪く、いつも突き出している。

その架台の角に膝をぶつけた。いや、膝に刺さった。というか、角に刺された。相当にめり込ん

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透明日記「雀との関係に溝を感じる」 2024/06/26

透明日記「雀との関係に溝を感じる」 2024/06/26

なんかずっと薄曇りの日が続いてるけど、今日のそれは雲の姿に潤いを感じるって言うか、湖に浮かぶ光みたいな涼しさがあって、吹く風なんかも月曜の朝はしつこくネチネチと暗くて鬱陶しかったけど、今日はわりとさっぱりしてて肌に当たったときの空気の切れ方が、違うな、気持ちええな、こんな風と過ごしたいなって、そういうふうに思わせる風やったな。せやから、網戸で外の空気入るようにして扇風機して過ごしとった。

ああ、

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透明日記「あ、もう、夜なんですね 2/2」 2024/06/24

透明日記「あ、もう、夜なんですね 2/2」 2024/06/24

今日はぼんやりで、とくに何かをやる気がしないけど、ぽつぽつ書くことはできる。ぽつぽつ書いて、散歩に出る。

川辺にも何組かの子連れの雀がはためいている。空気のように歩いていても、人だとバレて、雀は遠くへ飛んでいく。地面の踏みそうな位置にカナブンを見つけて足を止めた。カナブンはじっとして、隠れてますと言っている。了解して、少し大きめに迂回する。

昼は暑い。朝からずっと、ぼんやりの空。川辺のいい加減

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透明日記「あ、もう、夜なんですね 1/2」 2024/06/24

透明日記「あ、もう、夜なんですね 1/2」 2024/06/24

朝、だるい。歯みがいて、茶飲む、水飲む、水飲む。水を飲むと、ああ、もう朝ですかと、体が目を覚ます。ぼうっとしながらスピーカーでパンクとか流す。

ベランダでタバコを吸ったり、水を飲んだりして、ただぼうっとする。薄い雲に透かした太陽は、体に悪そうな気がする。体に悪そうな光に体を晒す。体が溶けていく。

空はぼんやり、うすぐもり。かたちのある雲はしょぼい風に押されて、めんどくさそうに北へ、北へ、だらだ

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透明日記「いと丸き屁のような詩」 2024/06/22

透明日記「いと丸き屁のような詩」 2024/06/22

「エビ」
エビのかたち、意味わからん
ちょっとキモい電車みたい
乗りたい

あっ、後ろに動くんか
なんか思ったの違う
ますます 乗りたい

乗りたい乗りたい乗りたい

「光あれ」
光る生き物もいるというのに
なぜおれのからだは光らないのだ

言葉で好きと言うよりも
からだが光った方がおもしろいじゃないか

「豪遊日記」
お昼過ぎ、すごそうな人と会った

おでげすは光の速度で走れるでげすよ
こちらで

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