透明日記「いと丸き屁のような詩」　2024/06/22

「エビ」
エビのかたち、意味わからん
ちょっとキモい電車みたい
乗りたい

あっ、後ろに動くんか
なんか思ったの違う
ますます　乗りたい

乗りたい乗りたい乗りたい

「光あれ」
光る生き物もいるというのに
なぜおれのからだは光らないのだ

言葉で好きと言うよりも
からだが光った方がおもしろいじゃないか

「豪遊日記」
お昼過ぎ、すごそうな人と会った

おでげすは光の速度で走れるでげすよ
こちらで手を振るあいだに
あちらで手を振って見せましょう
一回五百円でげす

金を払った

まばたきは厳禁でげすよ
徐々に速くなりますから
よく見るんでげすよ

すごそうな人はすごい速さで走り出した
向こうの人垣のところで見えなくなった
なにが起こるのかじっと目を凝らした
目が乾き、腹が減った

日が暮れる頃
近くの住人に
帰れと言われた

「エスカレーターズ・ハイ」
ここは禁煙のエスカレーター
喫煙者が悟りを開くエスカレーター
三千世界のエスカレーター

このエスカレーターはくだり専／このエスカレーターはくだ／どのエスカレーターもくだり専用で、この世、生まれるあなたは苦、そのもの／悟り専用のエスカレーションにお乗りの方は／このエモーショナルな声に耳をお澄ましに

おタバコをお／おタバコをお吸いの方は／おタバコの汚水にまみれ／下駄箱に全身をお詰め込みになって死ね

下りエスカレーター近くの下駄箱には
禁忌を犯した喫煙家の怪死体が眠っている

「でん部」
ちょっと信じ難いかもしれないが
ぼくたちは夏の大会を終えると
尻の割れ目だけ、日焼けしている

「気のせい」
誰かの屁で室内が臭い
そんな気がする
気のせいかもしれない
気のせいじゃないかもしれない
でも、みんなが疑いの目で
コレと決めた誰かを見ていて
とても空気は悪い