吉田A仮名(ええがな)

1990年、大阪に生まれる。小2、F君との遊びに飽きていると、ガムが欲しくなり、「マッ…

吉田A仮名(ええがな)

1990年、大阪に生まれる。小2、F君との遊びに飽きていると、ガムが欲しくなり、「マッハで買ってくるから」とF君を残し、チャリでガムを買いに行くも、T字路で車にぶつかり、たんこぶができる。中2の夜、親父に500円貸し渋ると、椅子を持ち上げて追いかけられる。現在、文章を書いている。

マガジン

  • 透明無題日常劇場

    これは日記。すなわち、透明無題の日常を綴る一個の人間の、魂の軌跡、生命の神秘、宇宙的エロスの三文芝居。

  • 吉田戦車『伝染るんです。』に触発された400文字

    吉田戦車『伝染るんです。』(文庫版)に触発された文章を掲載していきます。二次創作的なノリで、1つの四コマ漫画につき400文字、思いついたことを書いています。400文字は作品と関係があったりなかったりします。よく分からない営みですが、私なりの『伝染るんです。』への愛です。

  • 言わんでもええがなエッセイ 好きだの嫌いだの

    身の回りのものについて、好きだの嫌いだの書いたものを掲載していきます。各noteごとのテーマは、連想的につないで決めていきます。「好き」の中に「嫌い」を、「嫌い」の中に「好き」を発掘してやろうという、変な意気込みで書いていこうと思います。やらんでもいい、不自然な営みです。1作品1000字程度。

最近の記事

透明日記「あ、もう、夜なんですね 2/2」 2024/06/24

今日はぼんやりで、とくに何かをやる気がしないけど、ぽつぽつ書くことはできる。ぽつぽつ書いて、散歩に出る。 川辺にも何組かの子連れの雀がはためいている。空気のように歩いていても、人だとバレて、雀は遠くへ飛んでいく。地面の踏みそうな位置にカナブンを見つけて足を止めた。カナブンはじっとして、隠れてますと言っている。了解して、少し大きめに迂回する。 昼は暑い。朝からずっと、ぼんやりの空。川辺のいい加減なところで階段に座り、川を見る、音を聞く。川の段差でざあざあ、流れる川面が砕けて

    • 透明日記「あ、もう、夜なんですね 1/2」 2024/06/24

      朝、だるい。歯みがいて、茶飲む、水飲む、水飲む。水を飲むと、ああ、もう朝ですかと、体が目を覚ます。ぼうっとしながらスピーカーでパンクとか流す。 ベランダでタバコを吸ったり、水を飲んだりして、ただぼうっとする。薄い雲に透かした太陽は、体に悪そうな気がする。体に悪そうな光に体を晒す。体が溶けていく。 空はぼんやり、うすぐもり。かたちのある雲はしょぼい風に押されて、めんどくさそうに北へ、北へ、だらだらポケットに手を突っ込んで流れていた。 ゆるい風。パンクが流れるベランダで、カ

      • 透明日記「いと丸き屁のような詩」 2024/06/22

        「エビ」 エビのかたち、意味わからん ちょっとキモい電車みたい 乗りたい あっ、後ろに動くんか なんか思ったの違う ますます 乗りたい 乗りたい乗りたい乗りたい 「光あれ」 光る生き物もいるというのに なぜおれのからだは光らないのだ 言葉で好きと言うよりも からだが光った方がおもしろいじゃないか 「豪遊日記」 お昼過ぎ、すごそうな人と会った おでげすは光の速度で走れるでげすよ こちらで手を振るあいだに あちらで手を振って見せましょう 一回五百円でげす 金を払った

        • 透明日記「雲が流れる」 2024/06/21

          大雨がベランダを打っていた。昨日はベランダにダンボールの切れ端を敷いてタバコを吸っていたが、昨夜取り入れるのを忘れ、切れ端は色を暗くして濡れそぼっていた。川辺のゴミのようだった。 物干し竿にゴミを干す。 朝のうちに雨は上がり、ベランダに日が差すようになっていた。雲の流れが速い。空気は日を浴びて新鮮で、晴れ晴れとした大きな風が吹いている。空は雄大なものを孕んで、遠くまで広がっていた。 タバコを吸うために、ベランダに日陰をつくる。格子の入った黄緑の雑巾で物干し竿を拭く。雑巾

        透明日記「あ、もう、夜なんですね 2/2」 2024/06/24

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        • 透明無題日常劇場
          125本
        • 吉田戦車『伝染るんです。』に触発された400文字
          20本
        • 言わんでもええがなエッセイ 好きだの嫌いだの
          11本

        記事

          透明日記「どこまでを最近と言うのか」 2024/06/20

          最近というのはどこまでの過去を指すのだろうか。 思い起こせば、戦争は大昔のことではなかったか。こどもの頃、戦争は遥か遠い過去のように感じていた。 親が言う昔というのも、戦後数十年経った、70年代ごろの話だったと思う。マクドナルドが上陸した衝撃や、子供の頃に「あんぽ反対、沖縄返せ」とみんなで叫んで遊んだ話は、親父からよく聞かされた。最近とは程遠い昔のように感じていた。 それが年を経て歴史のことを読んだり聞いたりして、案外、最近のことだなあと思うようになり、戦前の小説もよく

          透明日記「どこまでを最近と言うのか」 2024/06/20

          透明日記「断片と断片」 2024/06/19

          (断片A) 今日は駄洒落の世界に迷い込んだ。 内田百閒は駄洒落を垂れ流す作家だ。最近よく読んでるから思考回路が感染ってきた。 入れ歯をいじる婆さんを見て、入れ歯は口に入れるから入れ歯だが、口から出すときは何て言うのだろう。出すのに入れ歯では理屈が合わない。出すときは入れ歯ではないだろう。なんなんだろう。 そう思いながら、西日の差す大きめの交差点で信号を待っていたら、西の車道からチロチロチロって車椅子のじじいが出てきた。どこから迷い込んだのか、ちょうど交差点だから傍に避け

          透明日記「断片と断片」 2024/06/19

          透明日記「軽いからだの欠片」〜小説か詩〜 2024/06/18

          朝起きると、からだが軽くって仕方ない。布団からトイレまで、猿になって跳ねた。ひょー、うひゃーという気持ちが顔中にあふれ、股を開いて金色の虹を出す。虹には虹の重さがある。からだはどんどん軽くなる。 トイレのドアノブを回すと、からだの方が回った。左足で壁を押さえ、ドアノブを回す。からだが軽い。ドアの隙間から気流が入る。目をつむってトイレから出る。玄関が広く感じ、爽やかな風が脳みそを洗う。 目を開けると、ここはどこだ。 淡い、オレンジの世界。ミルキーに燃える空が甘い風を運ぶ。

          透明日記「軽いからだの欠片」〜小説か詩〜 2024/06/18

          透明日記「枝豆から串カツまで」 2024/06/16

          朝は九時半ごろに起きたが、誰も起きていない。リビングはクーラーが効いて涼しいので、リビングに足を広げて寝転ぶ。 なにかお腹に入れたくなって、枝豆を食べる。近くに殻入れがないので、枝豆の皮はテーブルの上に積んでいく。空腹だと枝豆は機械的に処理され、全部食べてしまいそうになるが、ひとりで全部食べるのはやらしい。 だから次でやめようと思って三粒のを一つ食べるが、まだ少し欲しい。二粒のものにも手をかける。まだ欲しい。うっすらと罪の意識が頭を覆うが、これは一粒だからと、一粒のを二つ

          透明日記「枝豆から串カツまで」 2024/06/16

          透明日記「薄曇り」 2024/06/15

          体調はよくなったと思っても、咳が続いて煩わしい。 寝る前に咳がよく出るような風邪を引いたみたいで、昨日はなかなか眠れなかった。眠れないからマンガを読んだ。しばらく読むと眠くなって、寝る体勢を取ると、待っていたように咳がよく出る。咳が出ると眠れないのでマンガを読む。 というようなことを繰り返してようやく眠れたが、暗い部屋の中、布団の上で咳き込んで身をよじっているのは、すごく心細かった。 こんなに眠れないなら、眠ったら死んでしまうのではないかと怖くもなる。咳が出るのでリビン

          透明日記「薄曇り」 2024/06/15

          透明日記「血と肉が疼いて、家事」 2024/06/14

          体調がいい感じになっていくにつれ、文字に焦点が合うようになっていくというか、封じられた認知能力が解放されたの感があって、読む本の文章が目で見て分かるし、目で分かる以上に顔面に文章が染み込んでくるような感じで、すんなり文章が頭に入る。 まだ若干の咳が出るから、二万歩歩くとか仕事探すとか、そういう無茶はできへんけど、血と肉はうずうず疼いて仕方がないから、家事。 風邪のあいだに布団は寝汗でくたくたのしなしなで、へんな臭いもするような気がせんこともないから、炎天に干す。 布団を

          透明日記「血と肉が疼いて、家事」 2024/06/14

          透明日記「のど飴の日」 2024/06/13

          お昼を朝のうちに食べた。昼寝も朝のうちにした。昼にすることがなくなった。 風邪。文章を読むのも書くのも嫌な感じ。文字はなんの役にも立たない。容器の中で固まった、木工用ボンドみたいなもん。 動物のドキュメンタリーを見たり、ガンダムのアニメを見たり。永遠の昼。 何もやることが思い付かないので、ぼうっとリビングに立っていたりする。 昨日の夕方の空の感じを思い出して、そこに流れてた雲の色と形に、改めて驚く。 時間は前に進むのをやめて、垂直にふぁーって、高いところに飛んでいる

          透明日記「のど飴の日」 2024/06/13

          透明日記「頭は今日」 2024/06/10

          頭は今日、回ることをやめたらしい。 なんか喉の調子がおかしくて、乾いた咳が黄ばんだ痰になって、ゴホッ。体が冷たいような気もする。死んでる?いや、これは悪寒だ、風邪気味ってやつだろう。 頭のやつ、カゼをコウジツに休んだらしい。 タバコを吸うとひどくなるけど、吸えるうちに吸わないと、人生は徐々に狂うと言うから、タバコを吸う。 咳というのはコホンと一つやる分には労力の少ないものだけど、何遍もやらずにいられないようになってくると、体にダメージが積み重なって、体力がかなり消耗さ

          透明日記「頭は今日」 2024/06/10

          透明日記「今日は悲しい、懐かしい雨」 2024/06/09

          昨日は紙芝居大会に参加して、紙芝居をやった、見た、楽しかった。 けど、この紙芝居大会について書きたかったけど、今日は悲しい知らせを聞いた。 あんまり関わったことはないけど、なんべんか一緒に過ごしたことのある人が先月、アメリカ滞在中に車の事故で亡くなったらしい。 ジャズのピアノかなんかをやっていたような気がする。 泉鏡花が好きだと言っていたその人は、いつもいい加減なようでいて的確な、暗喩に富んだアホなことを言うから楽しくて、人間的になんか余裕があって魅力的で、妙に気にな

          透明日記「今日は悲しい、懐かしい雨」 2024/06/09

          透明日記「鳥取砂丘・出雲大社の石」 2024/06/05〜06/06

          鳥取に行った、砂丘に行った、バスに揺られた、一泊二日。 砂丘は当たり前に砂がいっぱいあって、どーんって、すり鉢を斜めに切ったような丘があって、うす茶の起毛のカーペットみたいな感じで、だだっ広げに存在してた。 すべては砂、ただの砂、ただの細かい砂、やのにそれがのぺーって広がると、どこか突き抜けたような、悲しみ。砂丘の上は青い空、これものぺーってしてる。丘の方を見つめたら、うす茶と青の起伏だけが景色のぜんぶで、心が漠として茫漠。人間など、どうでもいいっていう感じの世界観。人間

          透明日記「鳥取砂丘・出雲大社の石」 2024/06/05〜06/06

          透明日記「美容院で髪を切る」 2024/06/04

          美容院はいろんな音であふれてるの。ぽやぽや、きらきら、きんきん、ぶおお、ぶおお、じょぼじょぼ、って。なかでも今日は、おしゃべりがごっつい感じでうねってて、ごおおって、ウォータースライダーで水に呑まれる感じがあった。 隣と隣の隣と隣の隣の隣かどこかで、客と美容師と客と美容師と客と美容師のしゃべる声が、ぼわあって長方形の白い店内に広がって跳ね返って、ぼわわんぼわわんってなって、店内が歪むの。 たぶん、地上からほんの少し、美容院は浮いてたはずや。歪んだ形が歩道に染み出して、そう

          透明日記「美容院で髪を切る」 2024/06/04

          透明日記「なんか四時に起きたし」 2024/06/03

          変な時間に起きた。タバコを吸いにベランダに出た。三日月は外壁工事の防護ネットに濾されてぼやけ、午前四時の寒さ、静けさを一人で見守っている。すごく眠そうだけど、頑張っている。 鋭角の下弦の月。若さを感じるような細さ。なんでこの時間にこの位置におらなあかんのか、あんま分かってないような感じで、愛おしい。警戒心もなく、知らない場所で頑張ってる感じがする。若い雀のような、ガキの使いのような、自分でここに来た感じではないような。そんな月。鋭角の下弦の月。 業者用のごみ収集車が近くを

          透明日記「なんか四時に起きたし」 2024/06/03