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透明日記「書く・読む・歩く・観る」 2024/07/12

昨日の夜、ニュースでアナウンサーが謝っていた。それを思い出して、朝に文章を書く。

朝は雨足が強くなったり、弱くなったり、止んだと思えば、細く降る。風が出ていて涼しい。クーラーを切って、窓を開けて過ごした。

昼ごろ、近所のタイ料理屋に行く。エビチャーハン、春巻き、大根一切れとパクチーのスープ、ココナッツミルクにバナナの浸かったやつ。1100円。

店内に入ると、異国。刺激の強い匂いに鼻腔が広がる。白いプラスチックのコップに水が出てくる。コップには何やら文字が書かれ、タイのフードコートみたいな感じがして、日本から出たようで、いくらか開放的な、いい加減な気分になる。

薄明かりの狭い店内にタイの音楽が流れていた。どんなリズムだったか忘れた。店を出て十分ほどは頭で鳴っていたが、大きな交差点を渡るときには消えていた。横断歩道のピユーピユーという音に消された。

タイ人のおばちゃんが良かった。簡単に頭をくくって、眉間にしわのしかめっつら。半袖短パン、非常にラフ。完璧な正装。そのおばちゃんの母のような眼鏡の老婆が、調理場で深い笑みを湛えて座っていた。会計で満腹かと聞かれた。お腹いっぱい、うまかった、また来ると言って出た。

カフェで満腹のお腹を休めながら、タバコを吸う。「富士日記」の続きを読む。何気ない感じが午後の休息にぴったり合う。楽しくなってきたところで本を閉じ、カフェを出て散歩する。

川が増水している。川の中の木が流されまいと踏ん張っている。踏ん張る木にカラスが留まる。

黒いトンボが四枚の羽をひらひら交差させて飛んでいた。蝶のように舞う。黒い羽には品があった。目の前を先導するように、しばらく道を共にした。

トンボがたくさん飛ぶ。地面に歩くのもいた。歩いているトンボは気色悪い。害意を及ぼす兵器のように歩く。無数にトンボが歩く光景を想像させられ、ギョッとした。ナウシカっぽい。

夕方に雨は降らず、雲があらゆる表現を西の空に広げる。日記の写真は東の空、散歩帰り。視界が途切れる西の彼方、低いところに、緻密な彫刻を施したような雲の塊が横に伸びていた。ゴシック様式の雲。

彫刻の上に、さわあっとした淡い、藤色めいた薄雲が広がる。随所に擦れたような穴があり、西の方の穴には薄い橙色の光が溜まっていた。

その上に白っぽい雲がのっぺり広がる。のっぺりがこちらに迫るように伸び、ある程度近くになると、灰色の鱗状の薄い雲となって頭上を包む。雲を透かし、太陽が光る。

音楽を聴きながら散歩。川幅の広くなった川は見ていて楽しい。ただ、嵐の日に川を見に行って流される人の気持ちは分からない。

家の用事をいくつか済まし、夜が来る。豆腐としいたけの味噌汁、麻婆茄子、ごはん。

食後、フィンランドのホラー映画を観る。楽しかった。北欧ホラーというジャンルがあるらしい。他のも観てみたい気がする。

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