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感情に賛成し、行動に反対する
「ネガティブな感情や欲求を持つと、それは行動につながってしまうので、そのような感情や欲求を持ってはならない」という価値観が、どれだけ多くの人達を追い詰めているのだろう。と、時々嘆きたくなることがある。
「感情に賛成し、行動に反対する」という言葉は、精神科医の成田善弘先生が、自殺企図やリストカット等の激しい行動を繰り返す人への関わり方として挙げていたものだが、まずはその正反対の対応(感情に反対
「境界例状態」からの回復の物語
挫折を知らなかった1人の青年が、職場での不適応を機に自信を失った。
それまでは「仕事ができる、有能な人間であること」を自らの拠り所にしていた青年は、委ねるものを失い、「自分を支えてくれる、確かな存在」を求めて彷徨っていた。
自分を受け入れてもらうために、周囲の人たちの言動に過剰なまでに気を配った。相手に不快感を与えないよう、必死に言葉を選んだ。しかし、発した後には、相手がどのようにその言葉を受
イライラの背景にあるもの(2)
ある特定のタイプの人にイライラしてしまう場合、イライラの背景には自分が「その人のようにならないため」に多くの心的エネルギーを配分している傾向があり、その人のイライラさせる振る舞いを自分がほんの少しだけでも取り入れることが出来ると、その人に対するイライラが軽減するだけではなく、自分の抱えている課題を解決するきっかけに繋がることがあります。
気づかい能力が高いゆえの孤独
気遣い能力が極めて高いのにそのことに無自覚である人は、ごく平凡な気遣い能力の他者と関わるたびに、自分が相手に行っている気遣いと相手から戻ってくる気遣いとのギャップに苦しみます。
そして大抵そのギャップが生じる理由を「自分は相手から嫌われているのだ。」と結論づけます。
そういった関わりが恒常化していくうちに「自分は誰からも愛されることはないのだ。」という信念まで出来上がってしまう方もいます。
「空虚感」を満たすもの
「あのね、そういう患者さんは背伸びばっかりしていて、ちっとも身近なことをやろうとしないのよ。その子、自分の洗濯物、自分で洗ってる?まずは、そういうところから始めないとダメなのよ。」
研修医になりたての頃、外勤先のベテラン女性医師が、昼休みによくそんな話を私にしてくれた。
当時は医師として右も左もわからず苦労していた時期で、家のことよりも仕事のことばかりが頭にあった。患者さんについて、もう少し専