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夜と薄明の狭間で (詩)

昼と夜の粒子が混じり合う黄昏時
薄暮に染まりゆく街を眺め
やがて訪れる長い夜を思う
私は溜め息をつき
憂える

夜はあなたへの思慕が
一段と深くなる

会いたい
でも会えない
声が聴きたい
でも聴けない
欲望が私を苦しめる

何の便りもない日々
あなたの存在を確かめる術もない

もう会えないの?
夜がふけるにつれ、不安が加速する
心が不安定になる

暗闇の中で目蓋を閉じる
一向に眠気は訪れず
夜が開けるまで
止めどなく感情が渦巻く

夜が、闇が
じわじわと私を締めつけてくる
全てを絶望に変えてしまう
次第に闇が重圧を増して私に伸し掛かる
呼吸することすら苦しくなり
息も絶えだえになる

やがて闇の濃度が薄くなり
室内にぼんやりとした薄明の色が漂いだす頃
ネジが切れたように
ことり、と浅い眠りに落ちる
束の間の安堵が私を包み込む

やがてまた、
夜が私を苦悩に落とし入れることなど
忘れてしまったかのように



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