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言葉はいらない (詩)

ドアを開けた瞬間から
2人の時間が始まる

「遅れてごめんね」
そう、私が言うと
ふんわり微笑む彼の笑顔が
私を迎え入れる
それだけで、もう何もかもが満たされる
とたんに彼への想いが溢れ出す

彼と向き合う
彼が私の名を呼ぶ
「ずっと、待ってたよ」
熱い眼差しに射すくめられ
私は一時、
めまいを覚える
次第に歓喜に包まれる

視線が絡み合う
彼が私を欲してるのが分かる
もう、言葉はいらない

不意に彼が立ち上がり
私の後ろに周り込む
後ろから彼の腕が私を包み込む
湧き上がる幸福感に、私は身をゆだねる
彼の体温が伝わり、全身に広がっていく
私の髪を撫でる彼の手から
想いが伝わってくる

もう、言葉はいらない

首を横に向けると
彼の顔が近づいてくる
私は彼へと、唇を寄せる
もう、言葉はいらない






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